113.ケール攻防戦 勇者
最近、執筆してる時の作品の切り替えが容易になってきました。
(浅山 茜視点)
「ハァ……ハァ……ゴフッ!」
ーポタポタ……
「ピョンピョンピョン!……そのハンマーを使い出してから一気に強くなりましたピョンが……その代償として瀕死になるなら楽勝ですピョン!」
確か私は……【雷神の大槌】で……ラビリンス分身体の大群を……倒しまくって……
それで……限界を迎えたんだっけ……
「ま、まだ……私は……負けてない……」
「よく言いますピョン。……全身から血が噴き出していて、体もボロボロ……筋肉という筋肉は断裂を起こして、骨折も多数……そんな状態で戦闘を続行出来ているのが奇跡ですピョンよ……」
「あはは……これが精神力の差だよ……ゴフッ!」
でも……もう限界かも……
ラビリンス分身体は……次から次へと……補充されてってる……
このままじゃ……ジリ貧だよ……
「痩せ我慢はそろそろ良いですピョンか?」
「早く倒しますピョン!」
「でも、近付くとマズいですピョン!」
「なら、遠くから……」
「させないよ!」
ーブンッ!……ドガァァァァァァァァァ~ン!
「「「「「「「「「ピョ……」」」」」」」」」
ージュッ……
私は【雷神の大槌】を振るって、目の前のラビリンス分身体を消滅させた。
でも……
「……さて、それじゃあ次の私達と勝負する番ですピョン!」
「あ、あはは……もう……無理だよ……こんなの……」
倒しても……倒しても……ラビリンス分身体を……全滅させる事は……出来ない……
そう……したかったら……ケール中枢部に居る……"迷兎機神"を……名乗る個体を……倒さなきゃ……
でも……もう無理……
「ピョ~ンピョンピョン!……ようやく諦めましたピョンか!」
「そこそこ時間がかかりましたピョンね?」
「でも、もう終わりですピョン!」
悔しいな……
こんな屑に……負けちゃうとか……
どうせ……殺されるなら……シトラスちゃんが……良かったなぁ……
……うん……こんな所で……死ねないかも……
「……まだ……私は……やれるよ……」
「ハァ……本当にしつこいですピョンね!」
「だって……私には……絶対に負けられない……理由があるからね……」
「負けられない理由ですピョン?」
勿論……ここの人達を……守る事も……考えてる……
でも……そのために……命までは……投げ捨てられないんだよ……
「……また……シトラスちゃんと……戦うんだ……そのためにも……私も……住民の皆も……犠牲になんか……させないの!」
ーブンッ!……ドガァァァァァァァァァ~ン!
「「「「「「「「「ピョ……」」」」」」」」」
ージュッ……
……多分……また……来る……
なら……
「【戦乙女】の……神器12番……【蒼天の……翼】!」
ーバサッ!
ラビリンス分身体に……追い付かれない程……一気に駆け抜けるだけだよ!
ーバッサバッサ……ヒュン!
そうして……私はその場を……飛び去った……
ケール中央部に……佇む……機神の……もとへ……
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(笹﨑 光枝視点)
「ピョン!……お前は……」
ースパッ!
「ピョ……」
ードサッ……
「ふぅ~……結構居るでありんすね~……」
まさか、ここまでケールが侵攻を受けていたとは思わなかったでありんす。
……あの中央部の巨大ラビリンスを倒せば、どうにかなるんでありんすかね~?
おっと、また次が来たでありんす。
「勇者ミツエ……死者は大人しく死んでおいて欲しいですピョン!」
「その死者を呼び覚ます様な事をしでかしたのはお前達でありんすよね?……まあ、あちきの復帰戦としては充分でありんすが……」
「私は"迷兎機神"になったんですピョンよ!?」
「……それなら、神殺しをするだけでありんす!」
人に仇なすだけの神など、百害あって一利なしでありんす!
そう、あの魔王を生み出し続ける邪神の様に……
「神殺し……言ってくれますピョンね!」
「言うでありんす。……そして、さっさと壊れるでありんす!」
ースパッ!
「ピョン!?」
……やっぱり、今のあちきは勇者時代と同じ精神の仮面を被ってるでありんすね。
でも、その方が戦力になれるでありんす!
「……兼人さんがあちきを甦らせてくれた以上、絶対に役に立つでありんすよ~!」
そうしてあちきは走り出したでありんす。
ケール中央部に佇む、巨大なラビリンス分身体のもとへ……
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(扇羽 司視点)
「くっ……滅茶苦茶後手に回ってるっしょ!」
「正義君……」
ボクは正義君を抱え、【美しき双翼】でケール中央部へと飛んでいた。
「俺チャンがちゃんと予測出来てたら……こんな事にはなってなかったっしょ!」
「そんなに自分を責めないでくれ。……正義君は充分頑張って……」
「慰めの言葉は要らないっしょ!……司チャン、ごめんっしょ……」
「いや、良いよ……」
こんなに余裕のない正義君を見る事になるとは思わなかった。
それだけ、相手の良いようにしてやられたのを後悔してるんだろうね……
「……それにしても、まさかラビリンスが機神を名乗るとは思わなかったっしょ……」
「確かにそうだね。……まるで、自分が魔王より上とでも言いたいとしか……」
明らかに、魔王を下に見てないかい?
「まあ、それはどうか分からないっしょ。……もしかしたら、ラビリンスにとっては神よりも魔王の方が上かもしれない訳だし……」
「……そうだけど……」
「でも、どうもそれだけとは思えないっしょ……」
「そ、そうなのかい?」
いったい、ラビリンスは何を企んで……
……おっと、そろそろかな。
「ん?……そろそろな訳?」
「うん、もうすぐ到着する頃で……え?」
僕達が巨大なラビリンス分身体の前まで来ると、そこには2人の先客が居た。
1人は、全身血まみれになった茜君。
もう1人は、黒い振り袖を着用したミツエさん。
……もう、何が何だか分からなかった。
「……取り敢えず、情報を整理したいっしょ……」
「うん、ボクもだね……」
そうしてボク達は2人の前で着陸すると、その事情を聞き出すのだった……
そして数分後……
「そ、そんな事があった訳……」
「……そ、壮絶だね……」
茜君は全身を血まみれにしながらもラビリンス分身体を片付け、兼人君は自身を犠牲にする覚悟でミツエさん……いや、光枝さんを甦らせた。
「……そう考えると、勇者って異常者しかなれないのかもしれないっしょ……」
「……かもね……」
「ん?……それは……どういう……意味?」
……茜君はどうも理解し切れてないみたいだね。
「……他人としか言えない人達のために命を捨てられる人間は異常者以外の何者でもないっしょ!」
「でも……私は……捨てる気ないよ?」
「そもそも、茜君の場合はそこまで傷付く事には納得してるんだよね?……つまり、そういう事さ……」
「あ~……確かに……お兄ちゃんが……ここまで……傷付くのって……好きな人のため……だけだね……」
そう考えると、藤四郎君が勇者になれなかったのも納得だ。
彼は、見ず知らずの他人のために命を捨てられないだろうしね。
……まあ、彼は彼で惚れっぽさが異常者レベルなんだけどね。
「じゃ、最後の雑談も終わった事だし……勇者4人による神殺しと行くっしょ!」
「そうしようか……」
「そう……だね……」
「あちきに任せるでありんす!」
こうして、ボク達による神殺しは幕を開けた。
勿論、勝てる確信はないけれど……確信がないからって何もしないのは勇者じゃない。
勇者であるからには……無謀な神殺しだって挑戦するだけさ。
……まあ、ラビリンスを神だと認める気はないんだけどね。
ご読了ありがとうございます。
4勇者vs迷兎機神 ラビリンス……の前に、ダレスとダルクの方を描写します。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。