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108.ケール攻防戦 侵入

やっとアイデアが湧きました!

(浅山 藤四郎視点)


俺達がケールに来て、1週間……つまり7日程度経過した。


「トウシロウ、また部屋で筋トレっすか?」


「もう少し、街を散策されてはいかがデスか?」


ダレスさんとダルクさんが構ってくるのにも慣れて来た。


……ただ、この2人の好意は本当に好意なのかという問題から、下手に関係を進めてはねぇが……


「……部屋で筋トレしてて何か悪いか?」


「いや、悪くはないんすけど……ちょっとは外に出たらどうっすか?」


「嫌だな」


「どうしてデスか?」


……この1週間、俺は部屋に籠ったままだ。


とはいえ、それには理由がある。


「……この近未来都市の風景や設備に慣れちまうと、どんどん元の世界に戻りてぇって気持ちが失せていく気がするんだよ!」


ぶっちゃけ、これまでの街は中世ファンタジー風な街並みと、魔法のお陰でギリギリ現代レベルまで引き上げられた設備だったからこそ、元の世界に戻りてぇと思えた。


だが、こんなSF小説に出て来る様な近未来都市に慣れちまったら、いよいよこの世界に残りてぇって思っちまう……


「……それは……何とも言えないっすね……」


「デスが確かに、他の街から来られた方もこの街に残りたがる傾向がありマスし……」


「やっぱりか……そういう訳だから、俺は部屋を出ねぇぞ?……良いな?」


「……分かったっすよ……」


「では、私達も行きマショう……」


こうして、ダレスさんとダルクさんは去って行った。


……ただ、この先あんな事が起こるとは、この時の俺は予想だにしていなかった……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(俯瞰(ふかん)視点)


ケールを覆う結界の前にて……


「ッキィィィィ~!……さっさと作戦を開始するッキィィィィ~!」


ルササが近くに居るルウフとラビリンスに向かってそう叫んだ。


「まあ待つグル。……実行前に、今回の作戦を改めて振り返るグル!」


「……チッ!……これだからルウフは困るッキィィ!」


「何とでも言えグル……」


「ムッキィィィィィィィィ~!」


ルウフは作戦を振り返る事の重要性に気付かないルササに呆れつつ、作戦を説明し始める。


「……まず、このケールという街は地下に存在する街だグル!」


「その通りですピョン!」


「……だが、その関係もあって何度も拡張を繰り返した街でもあるグル。……その結果、ケールを覆う結界も随時サイズを変更出来る仕組みのものになったグル!」


「その通りですピョン!」


大声でケールを覆う結界の解説をするルウフと、それに賛同の声を上げ続けるラビリンス。


なお、ラビリンスは何日もルウフにスパルタな仕事を割り振られ続けたため、少しハイになっていた。


「……もっとも、そんな仕組みにした弊害も存在するグル。……この結界は耐久性こそ他の街の結界と変わらないグルが、他とは違い()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という脆弱性を抱えていたんだグルァ!」


「……ですが、それだけなら今まででも侵攻出来た筈ですピョンが……」


「良い質問だグル!」


「いや、ルウフの仕込みだろッキィィ……」


ケールの結界はサイズを変更出来る代償として、1ヶ所が破られれば結界全体が崩壊するという弱点があった。


しかし、それで侵攻出来る程ケールは甘くなく……


「ケールは結界が破られると、結界が破られた地点に向かって数多の兵器による集中砲火が実行される仕組みになっているグル!……そして、崩壊した結界は僅か10分で修復されてしまうグル!」


「そ、それは厳しいですピョンね……」


「うむ。……かつてミノガルが挑戦した事もあるグルが、その時は結界を破った直後に集中砲火を食らい、防戦一方になっている間に結界を修復されてしまったグル!」


「……これ、やはり無理ですピョンよね?」


兵器の集中砲火をすり抜け、結界が修復される前に侵攻を行う……


その難易度は、いくら魔王軍幹部と言えど不可能に近かった。


「いや、可能だグル!……そもそも、そのためにラビリンスに大量の分身体を用意させたんだグルが……」


「……で、何をするんですピョン?」


「ラビリンスの分身体には、本官達を守る肉壁になって貰うグル!……恐らく、100体の分身体が50体以下になるグルが……」


「いや、勘弁してくださいピョン……」


ラビリンスの分身体を肉壁にする……


それは、ラビリンス本人にとって複雑とも言える作戦だった。


「生憎、他に選択肢は無いグル。……そして、ラビリンス分身体を肉壁にしている間に、いずれかのラビリンス分身体がマグマワームを召喚。……その後、マグマワームが掘った穴を通ってケールに侵入し……」


「……あ~もう、まだッキィィ!?」


「もう少し待つグルァ!……最後にラビリンスが(・・・・・・)()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だグル!」


「……私がケールの中枢システムを乗っ取り、結界を永遠に張らせない様にするんですピョンね?……とはいえ、タイムリミットは10分間ですピョンか……」


ケールの中枢システムをラビリンスが乗っ取り、結界を張らせない様にする……


これが、ルウフの立てた作戦だった。


「可能であれば、もう少し将軍が生き残っていた頃に実行したかったグルが……結界と兵器を失ったケールは最早、恐れる敵ではないグル!」


「あ、終わったッキィィ?……なら、もう結界を破壊しても良いッキィィ?」


「うむ、良いグル!」


「なら遠慮なく……【猿真似】、【筋肉増強(マッスルインクリーズ)】だッキィィィィ~!」


ームキムキムキ……


ルササが【猿真似】、【筋肉増強(マッスルインクリーズ)】と叫んだ瞬間、ルササの筋肉が一気に膨張した。


まるで、ミノガルの【筋肉増強(マッスルインクリーズ)】の様に……


「……おい、ラビリンス!……早く分身体を用意するグルァ!」


「はっ!……分かりましたピョン!……【迷宮創造(ラビリンス)・簡易版】解放ですピョン!」


ーブワ~ン……


「「「「「「「さ~て、それでは肉壁として犠牲になりますピョンか……」」」」」」」


ラビリンスは、事前に自作の迷宮へと収納していた自身の分身体を一斉に解放し、肉壁にする準備を整えた。


「あ、念のためコイツも……」


ーブワ~ン……


「ゴボォォォォォ~!」


続けてラビリンスが迷宮から解放したのは、全身がマグマで覆われた巨大なワーム系の魔物だった。


「もう良いッキィィ?」


「うむ、準備万端だグル!」


「じゃあ……壊れるッキィィィィ~!」


ーパリィィィィィィ~ン!


ルササは如意棒に似た棒状武器で結界を突き、そのまま破壊した。


と、次の瞬間……


ーピ~!ピ~!ピ~!


『結界が破壊されました!……結界が破壊されました!……至急、攻撃を開始します!』


ーヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!……


ーバシュ!バシュ!バシュ!バシュ!……


ービュン!ビュン!ビュン!ビュン!……


ルササが結界を破壊したために、次々と発射される数多の兵器。


だが……


「「「「「「「……それでは、【防御障壁】を展開しますピョン……」」」」」」」


ーパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!


「ふむ、予想通り一定時間は保ちそうだグル!」


多数居るラビリンス分身体の【防御障壁】により、兵器による攻撃はルササやルウフに届かなかった。


そして……


「……それじゃあさっさと蹂躙するッキィィ!」


「うむ、そうだグルな。……ここから10分間、結界の効果は何一つないグル!」


「じゃあ、好きに出来るッキィィな?」


「そうだグル!……それでは、マグマワームでケールへと向かうグルァ!」


「ゴボォォォォォ!」


ードゴゴゴゴ……


こうしてマグマワームはケールに向かって地面を掘り進め始め、ルウフ達もその後を追って行った。


……後に残ったのは兵器の猛攻によって【防御障壁】を張る魔力が切れ、そのまま破壊されたラビリンス分身体50体弱の遺骸だけ。


残りの50体近くは、そのままケールに侵入してしまったのだった……

ご読了ありがとうございます。


ケール攻防戦、始まります。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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