表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
視線の先は  作者: あさぎ
1/4

1.私と莉子の事

 


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 目の前、すぐそばには……想いを寄せる相手がいる。


 今が絶好のチャンス。言わなきゃ、あの言葉を。




「……」


 でも、いざ伝えようとすると……これから起こる事への不安と恐怖で心がいっぱいになっていく。



『彼女』はきっと、この想いには全然気づいてない。

 気づかないどころか、まさかこんな感情を持たれてるだなんて思ってもいないだろう。


 なのに突然こんな事言ったら、もしかしたら迷惑かもしれない……




(……やっぱり、やめとこう)




 喉元まで出かかった言葉を無理矢理飲み込んで、何もなかった事にした。


 自分が何か言わなければ、何もない。いつも通りの平和な日常が続いていくだけ。


 それでいい、それでいいんだ。

 もし、この言葉を伝えてしまったら……きっと今のままじゃいれないから。




 ああ、また言えなかった。


 これでもう何度目だろう。意気地なし、情けない自分。


『彼女』の笑顔を間近で見た時、いつかはちゃんと言うぞと決めたのに。


 でも、そのいつかがなかなか来ない。




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇







 学校からの帰り道。いつものように女子二人、お喋りしながらダラダラ歩いていた。


 私、佐田(さた)(ひかる)とその親友の莉子(りこ)

 二人とも同じクラスってだけの不思議な仲だ。


 仲は良い。自分で言うのもなんだけど、ずっと一緒にいても会話が途切れないくらい仲は良いのだ。喧嘩だってほとんどない。


 でも、不思議な事にお互い何も共通点がないのだった。


 むしろ、大体全てにおいてまるで正反対。

 私が赤なら莉子は青、動と静。雰囲気としてはざっくりそんな感じ。


 私は茶色がかった癖っ毛で、Tシャツにデニムみたいな動きやすくてラフな格好が好き。

 莉子はサラサラ黒髪ストレートで、ブラウスにスカートとかフェミニンな感じの服装が好き。

 これだけでももう、まったくの真逆。




 休みの日の過ごし方だってそう、全く違う。

 部活はお互い帰宅部だけど……私はアウトドア派で莉子はインドア派。


 買い物行ったり遊びに出かけたりと外に出たいタイプの私と、自分の部屋で本でも読んでゆっくりしたい莉子。

 流石に私が誘えば来てくれるけど、基本的に彼女は家にいるのが好きらしい。




 あとそうそう、他に女子高校生の好物といえば恋バナ……だけど、好きなタイプもこれまた全然違う。


 私の好きなタイプは知的で無口な人、できれば背が高くてメガネの。

 でも、莉子は外見より中身派で……気が強くて物事をはっきり言える人だそう。







 と、こんな感じに性格はまるで正反対だし、何か特別共通点があるって訳でもないけど……なんとなく波長が合うからと、なんだかんだいつも一緒にいたのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ