流れ星の正体
夜の帳が落ちた山道を、山の上にある畑から採れたての野菜が入った籠を背負い家に向けて歩む。
下り坂の途中の平坦な場所で足を止め、私は満天の夜空を見上げた。
見上げる星々の前を数個の流れ星が横切って行く。
もう70年以上昔の幼い頃、村長の息子が持っていた天体望遠鏡を覗かせて貰ってから、頭上に広がる星々と宇宙に興味を持ち、宇宙飛行士になることを夢見て文武両道に励む。
だが宇宙局への入局の内定を貰いあとは大学を卒業するだけの時、私の夢は絶たれる。
海の向こうの大国と西の大国が主導し世界の多数の国々が賛同して計画された月面基地建設計画に混ぜて貰えなかった北半島国が、それを造る技術も無い癖に10機の衛星を打ち上げた。
案の定、打ち上げられた直後に衛星はコントロール不能になる。
北半島国はコントロール不能になった10機の衛星をよりにもよって衛星軌道上で爆破。
爆破された衛星の破片によって爆破された衛星の近くを飛んでいた、東の島国や西の大国を始めとして多数の国々の観測衛星や北の大国のキラー衛星が破壊されたり損傷を受けたりする。
北半島国の衛星の破片によって損傷を負った北の大国のキラー衛星は攻撃されたと勘違いして、地上からの指示で自爆するまで周辺の衛星を無差別に攻撃した。
これらの事により数十機の衛星が破壊され、地球の衛星軌道上はデブリに埋め尽くされる。
結果、人類は宇宙に進出する事が不可能になったのだ。
北半島国の衛星打ち上げは月面基地建設計画に混ぜて貰えない腹いせだったのだろう。
先程の星々の前を横切っていった流れ星も、地球の重力に捉まったデブリが落下して燃えただけのものだった。