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果ての愛を見たいのです

作者: ユナ

交差点。どこにでもある普通の交差点。

車は少なく、人も居ない。簡単に言えば簡素である。

ただこの交差点ではひとつの未来が決まっている。



【今日ひとつの事故が起き、たくさんの人が不幸になる】



先程も言ったように、ここは普通の交差点。

ただ見えるのだ。99%の人には見えなくても1%の人に見える。この未来の原因が。




「どうも、成仏屋です。ご贔屓に!!」



──成仏屋。この世界での不幸な出来事のうち95%は、人が死ぬ時に抱えた思いの塊。簡単に言うと【地縛霊】というものが原因だ。

それを人知れず成仏させ、先にある不幸の未来を回避する慈善組織。



それが、特殊日本慈善成仏組織。



─────人呼んで成仏屋



そして、物語はある人物によって加速していくのだった。





*


2023年 8月15日 東京 神田


「はい、君クビ!」




はい、という事でクビになりました。

俺の名は「灰崎 翔吾」(はいざき しょうご)

よくいる普通の新卒サラリーマン(19)だ。

お金もなく、人望もなく普通の童貞です。そして更に今仕事が出来ないという属性も追加されました。



「クビですか?」


俺はまぁそう聞くよな。いきなりのクビ発言だもん。まぁ、クビになる要因があるか?と聞かれれば、数え切れないんだけどさ。



「取引先にお茶をこぼす、遅刻はする、仕事はできない、コミュ力も無い、更には根性もないと来た。君、義務教育で何学んできたの?」



上司の言葉が俺の心臓に刺さり、傷を抉っていく。正直掘りすぎてマントルが見えてそうな感じだが、何も言い返せない。だって正論だもん。

正直良く今までクビにならなかったなって、誇れそうだ。



──────あの、何とかクビだけは金がないんですよ。

え?何?お前は他人だからもう出ていけ?マジですか?ちょっ!最後ぐらい!話を!



~会社の外~



はい、ということで会社から追い出されました。全く、運送会社の社長だからって、言動も行動も高速にしなくていいんじゃない?まぁいいや、ハロワ行くか。ん?電話来た。




「もしもし、父さんだが、お前を勘当する。お前の仕事ぶりを今社長から伝えられたよ。あの人とは俺も古い付き合いでね。土下座をしたさ。二度とうちの敷居を跨ぐことは許さん!帰ってくるな!!」



電話が切れました。ブロックされてます。え?詰んでない、これ?家族からの縁も切られて、会社との線も切られた。

人生詰んだな。仕方ない、どっかで食事をするか。こういう時は美味しい物で、忘れよう。



────臨時休業



────身内の不幸により




────本日の営業は終了しました




ふざけんな!!なんで俺のお気に入りの店が全部やっていないんだ!

今8月よ?お盆ですよ?繁盛時でしょうが!

はぁ、お腹減った。仕方ない、コンビニで飯でも。



「プルルルルル」




あぁ!もう!何だまた電話か!ふざけんなよ!もういいって!はい何!?



【・・・・・】




無言なんですけど?何?イタズラ?暇なのか?こいつは。そんな無駄なことをしている暇があるのなら仕事しろ!(ブーメラン)



【二】



に?何?二って?2?似?煮?



【ニャア!!!】




──────ドカン!!!!!!!!




俺の後ろで大きな音がした。その後に大量のガラスが落ちてくる音。そして人々の悲鳴。後ろを見ると、煙が出ていた。どうやら先程の騒動はビルから爆発が起きたらしい。

いやそんな事はどうでもいい。重要なのは。



─────あのビル。さっきまで仕事してた!




俺はビルに向かって走る。目の前からこっちに向かって避難してくる人達が来る。反対側に行きたい俺とは邪魔になる。少しづつ、そしてゆっくりとビルに近づいていく。



【プルルルルル】



また電話だ。俺は少し落ち着いた場所に行き、電話に出る。あの声とこの爆発が無関係だとは思えないからだ。




「もしもし」



【あれ?何で死んでないんニャ?お前はあそこの会社で働いてたはずだニャ?】



「俺狙いなのか?」



【お前からはいい匂いがプンプンするのニャ。不幸のどん底の泥のような、卑下するような匂いが】




─────何を言っているのか、全然分からない。分かったのは2つ。




・爆発を起こしたのはこいつ。



・こいつの狙いは俺。




【まぁいいニャ。死んでないのならもう一度爆発するまでニャ。お前の場所を教えろニャ】



教えると思ってるのか?生憎そんな自殺志願者じゃないのでね。人生に絶望したが、まだ死にたくは無いんだよ。



【それならそれでいいニャ。ここら一体をランダムに爆発するまでニャ。

お前の命ひとつのせいで何千人の人間が死ぬかニャ?】



こいつ。どうするか。場所を言うか?いやそんな事したら俺だけじゃない。ここら一体の人も死んじまう。だからといって言わなきゃ、みんな不幸に。

どうすれば!!




────はいよ。すまないね少年。少し携帯借りるよ?



え?と俺が携帯を見ると、その手には携帯はなく飴が握られていた。そして肝心の携帯は後ろのタバコを吸っているおじさんに取り上げられていた。



「よお、地縛霊さんよ。あんまり、若者をいじめるもんじゃないよ?」


型崩れしたスーツを身にまとい、タバコを吸う人が電話の先の奴を威嚇する。




【お前は!成仏屋ニャ!?くそ!早すぎるニャ!仕切り直すニャ!】



プツッと電話が切れる。おいおい、そんな慌てて切らなくてもいいじゃんと、そのおじさんはため息をつく。そして、俺に気づいた。



「すまんな少年。お前さんついてないね」



ここからが俺と成仏屋の最初の出会いだった。




「成仏屋?」



それが俺の初めてあった人とのコミュニケーションだった。それ以外に聞くことがないぐらい、成仏屋という言葉が聞き慣れなかった。

目の前のおじさんは少しキョトンとしている。


「あれ?聞き覚えが無かった?有名になったと思っていたけど、意外と外ではマイナーなんだね。【井の中の蛙大海を知らず】ってこういうことか」




なんか一人で納得しているよ。成仏屋って名前の通りなのかな?



「うん、そうだよ。俺達は地縛霊を成仏させることを専門とする。日本特殊慈善成仏組織。人呼んで成仏屋さ。よろしくね」



あぁどうも。じゃなくて!どうゆう事だよ!あの猫みたいなやつは?なんで俺が狙われてるの?俺はこれからどうなるんだ!



「はいはい、質問は一個ずつ答えるよ。ただ、少し歩こう。ここも知られるだろうし」




そう言っておじさんは道を歩いていく。既に周りの人は避難をしていて、人は一人もいない。なので楽々と歩道を歩く。



「んーと。何から話そうかな。まぁいいや、単刀直入に言おう。君さ最近不幸じゃなかった?」




?どういう事だ?まぁ最近遅刻はするわ。お茶をよくこぼすわ。会社クビになるわ、家から勘当されるわで、不幸続きだが?




「めちゃくちゃやってるね。少しは加減しなさいよ。簡単に言っちゃうとね。その不幸全部今君が電話で話してたやつのせい。奴が君を不幸にしていたのさ」




は?どういう事だ?なんで俺が不幸になるのとあいつの目的が合致するんだよ。



「先程も言ったように。奴の名は「邪」(よこしま)人呼んで地縛霊って奴だね。君はその地縛霊に育てられたエサなのさ」




おじさんの話を要約するとこう。




・敵は地縛霊


・俺を不幸にして、最高の餌にしていた


・地縛霊は不幸な人間を食べると力が増す


・奴らの目的は人間になる事









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