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絶景やったのになんでやねん!



 夕方が迫る雲の上の、空の中で俺達は今日初めてのご飯を食べた。。


 ジュウシーで淡白な肉に木の実と塩の旨味が染みてる。。


 皮はパリパリで中はホクホク。。


 う、美味すぎて、声が出ない。。



 ーーーーーー ロッシ ーーーーーー


 

『そっちいった!』

「ああわかってる!」


 ガイン!


 ビィィィィ!!


『っくっくっく!俺から離れたのが運の尽きだぜこの野郎!!』

 ゴガン!

 ゴロゴロゴロ!!


 ピ、ピィィィ、、ィ、、



「鑑定!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


【 名 前 】ビックカイト(仮死)

【 年 齢 】1歳

【 種 族 】鳥獣

【 職 業 】なし

【 レベル 】9

【 H P 】70/5

【 M P 】10/10

【 S P 】3

【 体 力 】20 /5

【 攻撃力 】35

【 防御力 】12

【 俊敏性 】53

【 魔 力 】16

【 スキル 】噛みつき 突撃 仮死 つつく

【 装 備 】なし  


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ロッシ!こいつ死んだふりしてるよ!」

 ドゴン!


『鑑定!』

 

『お!次はちゃんと倒した!』


「やったーーー!」

『よっしゃーー!』


 

 。。。。。




 朝日と共に目を覚ました俺達は。

 そっこービックカイトを探した!

 今のビックカイトが二匹目!

 だから俺達は今二匹目のビックカイトを倒したところだ。

 残念やけど今回レベルは上がらへんかった。


 大空の中で雲と一緒に浮いている気球。

 その船の中でに俺とチェスカの肩に乗っている。

 俺達の目の前には亡くなった二体の鳶みたいなモンスターのビックカイトがる。

「さ!ロッシ!スキルゲットしよう!」

『おう!じゃあ俺から!』

 俺はまたビックカイトの羽をむしり取ってからガブリと噛み付いた。

 バクンと簡単に噛み切れた。

 もしゃもしゃもしゃ。

 うぇ、不味。。

 フワン。

 あ、今口の中でフワンと何か吸収した感じがした!

 ゴクン!


「スティール!」

 横でチェスカもスティールを使ってた!


『ステータスオープン!』

「ステータスオープン!」

 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


【 名 前 】なし

【 年 齢 】15時間

【 種 族 】ベビープテラ

【 職 業 】転生した赤ちゃん恐竜

【 レベル 】2

【 H P 】110/100

【 M P 】35/35

【 S P 】14

【 体 力 】110/70

【 攻撃力 】10

【 防御力 】37

【 俊敏性 】22

【 魔 力 】9

【スキル】スティール 尻尾攻撃Lv、1 噛みつきLv、1

【 共有スキル 】捕食 鑑定 突撃Lv、1 仮死

【ユニークスキル】つっこみLv、1

【 装 備 】なし

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


【 名 前 】フランチェスカ ソフィア

【 年 齢 】15歳

【 種 族 】子供の人間族

【 職 業 】なし

【 レベル 】5

【 H P 】70/70

【 M P 】40/40

【 S P 】17

【 体 力 】100 /85

【 攻撃力 】5

【 防御力 】9

【 俊敏性 】7

【 スキル 】鑑定 捕食 突撃Lv、1 仮死

【共有スキル】スティール 尻尾攻撃Lv、1 噛みつきLv、1 

【ユニークスキル】ボケLv、1

【 装 備 】

 スパナ ゴーグル 作業服


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー



「おおーー!僕にも仮死と噛みつきがついたよ!こんなに簡単にスキルが手に入るなんて本当にスゴいよ!」


『本当にすごい世界やんなー、俺の前の世界にはスキルも魔法も魔物も何もなかったわーー。チェスカの元いた世界はどんなんやったん?』

「僕のいた世界はもっと野生だったよ!知性も低かったしね!食うか食われるかの世界で1日生き残るのも命懸けの世界、毎日が危険と隣り合わせだった」

『まじかすごい世界やな、俺の世界は平和そのものやったわ』

「それこそすごい世界だよ、この世界も僕の世界程じゃないけど結構、実力主義で食って食われるかの世界だよ」

『マジで?結構この空を見てたら平和そうやのにな』

「だね!確かにここは平和そうだ!」

『って言うかこの世界ってどんな感じなん?村とか町とかあるん?』

「あるよ!僕の生まれた村は雲の上の村で、雲の上にも境界線があって国がある」

『マジか!?』

「ああ!マジだよ!雲底うんてい雲は乗れるんだ!木も生えてるし川もある!」

『すげー!!じゃあ森とかも!?』

「ああ!雲の山だらけだ!」

『やばー!でそこにモンスター的なのがいるってことか!?』

「いるよ!いっぱいいる!」

『やばーー!めっちゃ戦いたい!で強くなりまくりたい!」

「ロッシ!この世界は本当に恐ろしいんだ!あんまり舐めない方がいいよ!」

『大丈夫!問題なし!なんでかって言うと!』

「うん」

『チートスキルを持ってくれてるチェスカがいるからな!』

「ロッシ、、!そうだね!僕らが二人だったら最強になれるよ!」

『やろ!ダンジョンとかもあったりしたりして?』

「あるよ!ダンジョンには入れると認められた人だけどね!」

『そうなんや、で、それはどうやって入れるん?」

「冒険者ギルドで冒険者になって冒険者ランクを上げるんだ!」

『おーー!冒険者ギルドきたーーーー!!!チェスカは冒険者なん?』

「いや僕はただの人だよ、何もない人さ。。」

 チェスカはふっと悲しい目をして俯いた。

 なんか辛い生活してあんやろな。

 恐竜から人間に転生してって考えたら、逆に恐竜の記憶があった方が大変そうやもんな。。

『そうか!じゃあここからはただの人じゃ無くなるって事か』

「え?」

『ここからは俺の相方やでただの人なんて事にはさせへん!』

「ロッシ!」

『チェスカ!この世界を楽しみまくろうぜ!!』

「この世界を、楽しむ、、、そんなこと考えたこと無かったよ」

『どんな時も楽しまなあかんやろ!」

「だね!」

『じゃあ!チェスカの大切な人を探しながらこの世界見て回ろうぜ!』

「いいのかい?」

『当たり前やん!しながらいろんなスキルゲットしてやりたいこと探そ!』

「うんうん!そうしよう!」


 バサバサっと俺は羽ばたいて飛び始めた!気球の外へゆっくり飛び出す!


 広大な空が広がってる!

 

 こんな広い世界を見て回れるんや!

 綺麗な景色とかもいっぱいいあるんやろうな!

 

 楽しみで仕方ない!


「ロッシーー!おかしいんだ!一回こっちに来てくれーー!」


 バサバサ!

『チェスカ、どうしたん?』

「いやお腹すいたからこのビックカイトをさ料理しようと思ったんだけど、この船の上じゃ無理だからさ雲底雲降りようと思ったんだけど、なんでだろうここの空、雲底雲がないんだ」

「そうなんやーーこの世界初めての俺はよくわからへんけどその雲底雲がない場所ってないん??」

『ないはずなんだよ』

「ほら見てみて」

 チェスカは船の看板の上にあった鉄屑を外へと落とした。

 落ちていく鉄屑はボスンと下の雲へと落ちた。

「ほらね」

『いや普通や!ボスンって雲に入るのは普通や!』

「違うよ!あれじゃ立てないじゃないか!?」

『うん!それが普通!雲に立てへんってそれが普通や!』

「雲の上でご飯も作れないんだよ!?」

『それも普通やっちゅーねん!』


「ロッシ、君の世界では普通じゃないかも知れないんだけどこの世界では一番底の雲が雲底雲うんていぐもじゃ無いのはおかしな事なんだよ」

『そう、そうなんか』

「見てくれロッシ、あそこにまた君のいた塔がある」

『ああ、あるな』

「僕たちはずっとここをくるくる回ってる、この世界ではこれもすごいおかしな事なんだ、かれこれ僕はもう五日間もこの中にいるよ」

『普通はどこか行ってしまうんや?』

「うん風が吹いているのにずっとその空域にいることはおかしいよ」

『そうなんか、、あ、じゃあこの空域を鑑定とか出来ひんのかな?鑑定したらなんか脱出のヒントとかあるかも知れへんやん!』

「ああ!そうだね!考えもしなかった、面白いやってみるよ!鑑定!!」


そら


『鑑定!』


【空】


『「鑑定!!」』


【【空】】


『なんでやねん!そらはわかってるねん!空だけに答えはからって、やかましわ!』

「まぁまぁやっぱり空は空なのさ、どうやってここ空域を脱出するのかと、この鳥をどうやって料理するのか、今はこの二つが問題だよ」

『そうやな、、まず俺のいたあの塔に一回戻る?そしたら料理はできそうやん』

「そうだね、じゃあ一回戻ろう」

『じゃあ近づいたら俺がロープを持っていくな!』

「わかった、じゃあ僕は接岸の準備をするよ」

『オッケー!俺、前に飛ぶのまだ下手くそやから心配やわ』

「そうだね、ロッシ、今練習してみたらどうだい?」

『あー、せやんな、、やるわ!』

「ここから前に出て帰ってきたら良いんだよ」

『やな、じゃあやってみるな』

 俺はバサバサっと羽ばたいて看板から浮き上がった。

 ここまではいけるねん。

 お、横でチェスカが目をキラキラさせて見てる。

 多分羽の角度を変えたら良いと思うねん。

 バサバサ!

 よし変えてみよ。

 少しだけ羽の後ろを上げて角度をつけた!

 スカ!

 ベシャ。。

『いて、、』

 角度をつけすぎたんか。

「ロッシ頑張れ」

『ありがと』

 俺はまたバタバタと羽ばたき出した。

 さっきは角度を付け過ぎたから今回はもっと少しだけ。。

 バサバサ!

「前に進んでるよロッシ!」

 ゆっくりだけど前に進んでる。

 もうちょっとすすましたい。

 力強く羽ばたきながら角度を。

 俺はもう少しだけ角度をつけた。

 バサ!

 ギュンッ!

『おわ!』

 バン!

『いててて、、』

「大丈夫かいロッシ!?」

『うん、大丈夫、でも今のなんでやろ?』

「うーーーん、僕から見ると強い羽ばたきで斜め下に勢いよく飛び出したように見えたよ」

『角度つけすぎたんかな。。めっちゃ繊細やな。。』

「難しそうだね、でも羨ましいよ!飛ぶ練習ができるなんて、僕は羽ばたくこともできないからね!」

 チェスカがニコニコ笑ってる。

 ほんまやな!

 俺は羽があって飛ぶことができるようになるんやから、こんなラッキんーなこないわ!

 今まで何回羽があったらって思ってきたか!

『ありがとう、チェスカ!テンション上がったわ!』

 俺は恐竜なりにニコッと笑ってみた!

 それから俺はまた羽ばたき始めた!

 バサバサ!!


 。。。。


 俺はチェスカに応援されながら必死に飛ぶ練習を続けた!


 そして半日後にはだいぶん安定して前に進んでいけるようになった。

 ゆっくりやけど。

 その間に一回白い塔を通り越して、今またぐるっと回って白い塔に近づいてきてる。

『飛ぶトレでくたくた腹ペコや!絶対白い塔に着岸しような!』

「ああ!僕も今日何も食べてないから腹ペコさ!早く着岸してご飯としよう!」

 もう陽が傾き始めてるもんな。


 青い空の中にところどころ浮かぶ小さな入道雲。

 どこを見渡しても雲と空しかないこの世界の中で。

 真っ白な雲の上に唯一ある一本の飛び出した白い塔が迫ってきている。


 どうやってあんなん作ったんやろ?

 ファンタジーって不思議やわ。。


 って思ってる間にぐんぐん俺達は白い塔に近づいた!

『よし!じゃあ行ってくる!』

「ああ!ロッシ頼んだよ!!」

 俺は足元にあったロープを咥えて空へと飛び出した!

 バサバサバサバサ!

 ゆっくりやけど俺は横へと飛び進んでいった!

 お、おも、、ロープって重い、それに飛ぶのにめっちゃ負荷かかって邪魔!!

 このまま横へ飛び進めていって白い塔に引っかかるところまでいければ良いんや!

 俺は必死に羽ばたいた!


 バサバサバサバサ!

 バサバサバサバサ!!


「もう少しだロッシ!塔が近づいてる!もう少し頑張れ!」

 わかってるーー!!!


 バサバサバサバサ!

 もうちょいーー!

 バサバサバサバサ!


 来た!白い塔!

 ロープの長さも足りてる!!!

 

 横を向くと目の前から白い塔が近づいてた!

 このロープを柱に巻きつけたる!!!


「頑張れロッシーー!!!


 柱が目の前や!引っ掛けるぞ!

 ッグン!っと柱にロープが当たって引っ張られた!

 うお!

 すごい力や!

 俺は飛空艇の反対側から柱に回り込んだら勝ちや!

 頑張れ俺!!

 ッグっと引っ張られる力を利用して俺は塔の中へと回り込んだ!

 このまま柱の裏に回り込んでロープを絡み付ける!!!

 ギューーーンっとロープに振り回される遠心力が掛かる!

 このロープを離したらあかん!

 でも離さんかったらいける!

 柱を回り込める!!!


 目の前にロープ!

 よしこのロープを上から回り込めたら!!!

 グルン!!

 ッビン!っとロープがはった!

 っよっしゃーーーーーー!

 絡みつけれた!!!!


 ロープに引っ張られて飛空艇も塔の裏へと回っていく!

「ロッシーーーー!君はすごいよ!」

 そう叫びながらチェスカがロープを滑車で滑ってきた!!

 シャーーーーっと大空の中チェスカが滑ってくる!

 めっちゃ気持ちよさそう!!!

 命綱もなしに手で滑車を持って滑ってくるチェスカ。

 落ちたら死ぬのにな。

 やっぱ先駆者の効果出てるわ。

 アホすぎるやろ。。


 シャン!

 ザザ!

 チェスカが白い塔の広場に飛び込んだ!

「フゥーーー!最高!堪らないねこのスリルを超えた瞬間!!」

『チェスカ命綱くらいつけろよ危ない!』

「命綱なんてつけたらつまらないだろ!?」

『アホか!死んだら意味ないねん』

「ロッシ僕のことを心配してくれたのかい?」

『してへんわ!』

「可愛い恐竜の赤ちゃんだなー!」

『恐竜の赤ちゃん言うな、心配もしてへん』

「本当かい?」

 ニコニコの顔を俺に近づけて覗き込んでくるチェスカ。

 腹たつ顔やなーー。。

 俺はピョンっとチェスカの頭の上に乗った。

「ずるいぞロッシ僕の頭に逃げるなんて」

『心配したったのにいじりにくるからや』

「ははは!ごめんごめん!ご飯作ろう!」

『それやー!腹減ったーーー!これ以上待たされたら幼児虐待で訴えるとこやったわ』

「誰が虐待犯だよ!」

『はははは!』

「じゃあちょっと待ってくれよ!」

 そういうとチェスカは飛空艇の繋がれたロープを引っ張った。

 もちろん俺も飛びながら引っ張って船を塔まで手繰り寄せた。

 塔のそばまで引っ張ってしっかり括り付けると。

 

 ゴソゴソ。。

 チェスカは胸元から何か木で出来た筒を取り出した。


『チェスカ、、お、おまえ、どこから何を出してんねん!?』

「これかいこれは雲筒さ!」

『あ、ああ雲筒かーー。。っちゃうわ!どっから出してんねんって!』

「なんだよロッシ胸元に決まってるじゃないか!」

 チェスカかが胸元を見せてきた!

 うん、たわわな果実が目も前で谷間を作ってる。。

『なにやっとんねん!?』

 あかん、体は大人っぽくなってきてるのにまだ心は子供で恥じらいがない。。

 これは俺が守ったらんと、冒険者ギルドとかいったら大変なことになるわ。

『あのな、チェスカ、胸とかお尻とか俺は恐竜やから良いけど、人間の大人の男に見せたらあかんで!』

「そうなのかい?」

『せやで!俺は恐竜やから良いけどいな』

「ああ、わかったよ!」

『ほんまにわかった?』

「ん、なんだかわからないけど心配してくれてるのはわかった」

『ははは!で今からどうしたらいいんや?』

「そうだね!ロッシ船尾からもう一本ロープを取ってきてくれないか?」

『わかった』

「それを後ろの柱に括って停留させるんだ」

『あーーおけおけ!』

「それでこれを飛空艇と白い塔の間に。。」

 チェスカが胸元から出した木の筒を飛空艇の横で開けた。

 ボワボワボワっと雲が噴き出てくる!

「っさ!ロッシ!ロープを!」

 その雲で緩衝材になるん?

 ほんま?

『あー、わかった!』

 俺は即座にロープを取ってきた!

「はい!ロッシこっちだ!」

『はい!』

 俺達はロープを船尾の側の柱に巻き付けて引っ張った。

 白い塔に飛空艇が横付けされていく。

 でも飛空艇は白い塔に当たらずに、チェスカが出した雲がクッションになった。

『え?なにの雲?不思議雲や。。』

「不思議雲じゃないよあれは!筒雲さ!船底にこの筒をつけておいたら雲がたまるんだ!それをしばらく筒の中に詰めておいたら雲が結合してこうやって綿固まるのさ!

『すげーー!俺はボフンっと筒雲に飛び乗った!』

 まるで綿菓子の上に乗ったみたいにホフンっと俺のからを優しく筒雲が受けてめてくれた。

『気持ちいーー!筒雲最高ーー!』

「最高だろ?圧縮の期間と量で硬さが変わるんだよ!」

『へーー異世界すげーー!』

「ははは!じゃあご飯作ろうか!!」

『それや!作ろ!!!』

「じゃあちょっと待ってくれよ!」

 そう言うとチェスカは飛空艇の中からブリキで出来たコンロと黒い石を五つ持ってきた。

 筒雲の前にコンロを置いてチェスカは座った。

『何これ炭?火は?』

「っふっふっふ!声は火鳥に魔石さ!」

『魔石!?』

「これをこうすると!」

 チェスカはカツンと魔石と魔石を火打ち石のように打つけると、ボワっと魔石に火かついた!

『すげーー!魔石すげーー!!』

 俺は知らないうちに羽をばさつかせていた!

 もうテンション上がったらこれは仕方ないわ!

 キャンプファイヤーのように炎を上げる魔石!

 個数と魔石の大きさで火力は調整できるらしい。


 そして俺達はビックカイト二匹を羽をむしって丸焼きにした!


 ジュワーーっとビックカイトから油が落ちていく。

 だんだん狐色に染まっていくビックカイト。

 裏表をゆっくり焼いていく。

 裏返す度に木の実と塩がミックスされたミックスソルトを塗り込んでいく。

 ビックカイトの油とミックスソルトが混じって香ばしい香りを漂わせている!

 

『はーーーうまそうやーー。。』

「ロッシそろそろ食べられるよ!」

『やったー!食べよ食べよ!!』

「よし!じゃあ!」


「『いただきます!!』」


 一匹のビックカイトをチェスカが持って、膝の上にいる俺とチェスカ、一緒に一匹のビックカイトに齧り付いた!

 夕方が迫る雲の上の、空の中で俺達は今日初めてのご飯を食べた。。

 ジュウシーで淡白な肉に木の実と塩の旨味が染みてる。。

 皮はパリパリで中はホクホク。。

 う、美味すぎて、声が出ない。。

 俺とチェスカは目を閉じてしっかり噛み締めて飲み込んだ!!


「『うまーーーーーーい!!』」

『あかん!死ぬほどうまい!』

「久しぶりに携帯食料じゃない物を食べたよ!最高だね!」

『ほんまに最高や!』


 そして俺達はビックカイト一匹全部食べきった!!

『幸せやーー!!』

「幸せだーー!!」

 ボフンと腹一杯の俺達は筒雲に倒れ込んだ!

 最高や。


 白い塔の向こうには信じられないほど大きな夕陽が辺りの雲を朱色に染めながら沈んでいく。。

 まさに絶景。

 その絶景を独占して眺める贅沢さ。

 横には相方のチェスカがいて安心感と満足感。。


 そう思ってるとチェスカが俺を抱き上げて膝の上に置いた。。

 さらに幸せやないか。。。


 。。。。


 俺達は夕陽が落ちて空が焼けていくその様子に魅入られていた。。

 上の雲も下の雲も焼けているみたいや。

 自然の芸術か。。

 すごい。。

 絶景や。。


 。。。。


「あれ?なんだろうあれ?」

『ん?何が?』

「ロッシ、日の沈んだところから何か向かってきてないか?」

『あ、確かになんか糸みたいなのが空をにあるな』

 真っ赤に染まる夕焼け雲の間を糸のような物がすーっと伸びていく。


 ???


 だんだんこっちに近づく。

 近づくにつれて糸は太くなってきてる。。

 めちゃくちゃ長いみみずの様に見えてきた。。


「あれはみみずかな?」

『なわけあるかい!』

「ははは、雲かな?」

『なんか渦巻いてるように見えるんやけど、しかもこっちに向かってきてる』

「もしかして竜巻雲、、?」

『何それ?』

「竜宮の使いのように空を泳ぐ雲さ、渦を巻くてるんだ、僕も初めて見たよ」

 目をキラキラさせるチェスカ。

『めっちゃこっちに迫ってるんやけど。。大丈夫なんか?』

「いや、ダメだよ!何艇も飛空艇があの雲にやられてる」

『え“!?のんびりしてる場合ちゃうやん!めっちゃこっちに向かってきてるで!!』

「そうだね!避難しよう!」

 慌てて俺達は片付け始めた!

 魔石の炎を消して飛空艇にって。。

 良いこと思いついた!

 俺のツッコミのスキルにあるアイテム収納に入れたら良いやん!

『アイテム収納!』

 そう叫ぶと俺の前に丸い輪っかが出てきた。

 絶対この中に入れたらいんや。

『チェスカとりあえずこの中に入れよ!!』

「おお!そうか!さすがロッシ!」

 俺達は手早くコンロ、魔石、焼けたビックカイトを入れた。

「よし行こう!ロッシ最後のロープを外してくれ!」

 ニコニコしてチェスカが叫ぶ。

『わかった!』

 ガタガタガタ風が強くなってる。

 ってかすぐ側まで竜巻雲がせまってるやん!!

 渦を巻いた細長い雲は近くで見たらめっちゃデカくて、この白い塔を飲み込めるほどの大きさやった。。

 やばーー。。


「早くしないとやばぞロッシ!」 

 チェスカは船尾のロープを外して飛空艇に飛び乗った!

『わかってる!』

 俺は慌ててロープをもう、、噛み切った!

『よし、、ってめっちゃ迫ってる!』

 ゴゴゴゴゴ!

 グラグラグラ!

 すごい風が襲ってきた!

 塔も揺れてる!!

 急がな、、!


 コツン。

『痛て、』

 俺の頭に何か落ちてきた。。

 なんやねんって思ってみたら白い塔の天井の装飾品の一部だった。

 俺は反射的にその装飾品を口に咥えた。

「ロッシ早く!本当にやばいよ!!!」

 バサバサ!!!

 俺は慌てて飛んだ!

 飛空艇に向かう!


 必死、今までで一番速く飛べたと思う!

 どさんっと俺は飛空艇に飛び乗った。

「ロッシ!」

 チェスカが俺を抱きしめた!


 ビューーーーー!!!!

 グルグルグルグル!!!


「やばいよしっかり捕まって!!」

『わかったーーーーーー!』


 俺達は竜巻雲に飲み込まれてグルグル回されて。。


 空のどこかに飛ばされていった。。。 



 

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