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96話 幹部会議 その8 グレート・マインド・ハック計画④



第1回 女神教 幹部会議



開催場所、参加メンバー等については、89話、まえがきを参照のこと



グレート・マインド・ハック計画 4本柱

①質・量、両面におけるメディアの買い占め。徹底した繰り返しによる刷り込み。

②ビッグデータを活用した、個人の嗜好にあわせた思考誘導。

③世界人口80億を見すえた世界伝道。

④魔法能力者が奇跡を実演することによる“本物”であることの証明。

 結局、俺がCМに出演することで話がまとまった。


「よし!! これで収まるべきところに収まったということですね」


 高塚局長が、手を叩いて言った。


「それでは、グレート・マインド・ハック計画の2本目の柱の説明に移らせていただきます」


 高塚局長がそう言うと、パワーポイントの資料が次のスライドに切り替わった。


 スライド上部には「2.ビッグデータを活用した、個人の嗜好にあわせた思考誘導」というタイトルが表示され、その下に大きく映っていたのは、州ごとに赤と青、そして白に色分けされた、アメリカ合衆国の地図だった。


「皆さんは、オックスブリッジアナリティカという会社名はご存じですか?」


 高塚局長が一同に質問する。


 オックスブリッジアナリティカ、聞いたことのない会社名だ。


「かつて存在した選挙コンサル会社で、2016年のアメリカ大統領選挙や、イギリスのEU離脱の国民投票にも影響を与えたとされる会社です」


 だから、アメリカ合衆国の地図が表示されていたのか。


「彼らは、本やモノの購入履歴、通勤経路や日用品をどこで買っているか、いきつけの店、どこに旅行で行ったのかということまでが丸わかりになる位置情報の履歴、SNSにおける個人のプロフィールや情報発信している内容、家族・友人とのメッセンジャーアプリでのやりとり履歴、読んでいるニュース記事の種類・内容、ギーグルの検索履歴、視聴しているyourtube動画の内容など、何千、何万もの個人情報を不正に入手し、個人に紐づけて、膨大な数の有権者のプロフィールを作成しました。そのうえで、各人に応じてカスタマイズした広告動画を配信したのです。スイングステート、地図で言うところの白い州で集中的にキャンペーンを行い、赤い党の候補を勝利に導いたとされます」


 確かに、そこまでの情報が集められれば、各個人がどんな人間かということはわかりそうな気がするな。


 世の中には、怪しい新興宗教を信じやすい人もいれば、強固に信じない人もいる。信じやすい人にターゲットを絞ってリソースを投入した方が効率的だ。俺たちの時間・お金といった資源は限られているのだから。


「彼らは、秘密裏に活動していたのですが、2018年に活動内容が暴露され、社会的に糾弾され、会社は倒産しました。しかし、私は彼らの残党と雷通の米国支社を通じてコンタクトをとっており、彼らを再び結集させ、仕事を依頼することも可能です。私としては、圧倒的な物量の広告、オピニオンリーダー、インフルエンサーを通じた意見形成に加え、このようなビッグデータを活用した、広告発信の最適化も行っていきたいと考えています」


「ちょっと待ってください」


 ここで手を挙げて、質問する者が出てきた。


 信者の中では、最高の知力値88を誇る、日輪憲明だ。


「先ほど高塚局長がおっしゃったような、サイコグラフィックを用いた広告を行うには、オックスブリッジアナリティカだけではなく、ビッグテック企業の協力も必要だと思われるのですが……」


「日輪くん、確かに君の言うとおりだ。ビッグテック企業の協力が必要だ。世界5大テック会社に加えて、日本においては、ポータルサイトyafoo Japanや大手メッセンジャーアプリ、大手決済サービスを展開しているXYZホールディングスの協力も得たいところだな」


「それについては協力を得られる当てがあるのですか?」


 再び日輪くんが高塚局長に質問する。


「ビックテック企業の半分近くは、収益の柱が広告だからな、圧倒的な資金力と雷通のコネクションがあれば、協力をとりつけることもできるだろう。最悪、教祖様のお力を借りれば何とかなる」


 話を聞きながら、確かに高塚局長の言う通りだなと思った。


 世界5大テック会社の創業者や現経営幹部のほとんどが、長者番付にランクインするような金持ちばかりだ。協力をとりつけさせるついでに資金も、ごっそりいただくのが良いのかもしれない。


 もちろん彼ら・彼女らは、世界レベルのVIPなので、厳重な警備体制を敷いているだろうし、辿り着くのは容易ではないだろう。しかし、それだけの労力をかけてでもやる価値はある。


「最初から教祖様のお力を借りることを考えているのは、少し気になりますが、まぁ、良いでしょう」


 日輪くんも納得したようだ。


 日輪くんは20歳のニートで、高塚局長は48歳、雷通のメディア企画局長、年齢も地位もはるかに高塚局長の方が上のはずなのに、日輪くんはなぜか上から目線だな。


「次の柱の説明に移らせていただきます」


 高塚局長がそう言うと、次のスライドが表示された。


 次のスライドは、上部に「3.世界人口80億を見すえた世界伝道」というタイトルが表示され、その下に「目標信者数200万」という文字、さらにその下には、国ごとの人口規模が、円の大きさによって表された、世界地図が表示されていた。


「我々の目標のひとつである、信者の総魔力値の合計が1,000万を超えるには、約200万人の信者が必要とされています。日本国内だけで、その目標を達成しようと考えた場合、総人口の約1.6%、老若男女とわず、200人、人間がいたら、そのうちの3人以上は、信者でなくてはいけないことになります」


 200人いたら3人以上か、結構、厳しそうだよな。


 高塚局長は説明を続ける。


「私は女神教の素晴らしさを信じて疑わないので、日本国内だけでも、その目標達成は十分可能だと考えますが、今回の我々のミッションには失敗は許されません。より確実に信者200万人を達成する必要があります。そこで、提案したいのが……、『世界伝道』です」

ここまでお読みくださり、ありがとうございます。


投稿が大変、遅くなり、申し訳ありませんでした。エタる気はなくて、どんなに時間がかかっても、作者が死なない限りぼちぼち書いていきたいと思っています。


次回も宜しくお願い致します。

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