89話 幹部会議 その1 開会の儀
第1回 女神教 幹部会議
◇開催場所:雷通PRコンサルティング 事務所内 第一会議室
◇開催時刻:【8日目】 13時~
◇参加者 20名
※ナンバーは信者番号の下3ケタを表記
【No.001】 畑大悟 (38)
(教祖、元コンビニ店員、洗脳の魔法使い)
【No.002】 天宮ナギ (23)
(教祖の妻、誘惑の魔法使い、元デリヘル嬢)
【No.017】 鳳レイカ (21)
(教祖の妻、火炎の魔法使い、デリヘル嬢)
【No.005】 吉松晋介 (58)
(デリヘル店長)
【No.040】 寺田ひかる(20)
(大学生、女神教の専任アルバイト)
【No.056】 西園寺公彦(92)
(内科クリニック院長、狂科学者)
【No.057】 ガス (29)
(黒人ボディーガード、院長の助手)
【No.072】 高塚秀夫 (48)
(広告代理店、雷通のメディア企画局長)
【No.420】 黒羽洋介 (28)
(広告代理店、雷通のCМディレクター)
【No.086】 ジカキン (35)
(チャンネル登録者数10万人程度のyourtuber)
【No.088】 一乗寺豪 (35)
(3等陸佐、陸上幕僚監部の班員)
【No.090】 小林輝彦 (28)
(大手ゼネコン八島建設の社員)
【No.091】 霧山透 (29)
(銀行マン、NMBC銀行本店 法人審査部)
【No.092】 井出圭介 (35)
(警察官、警部補、高輪警察署、警備課の係長)
【No.073】 日陰洋二 (29)
(公安調査官、関東公安調査局)
【No.061】 後藤清 (35)
(交番勤務の警察官、晴海忠との連絡係)
【No.067】 高橋直樹 (20)
(交番勤務の警察官、巡査)
【No.301】 日輪憲明 (20)
(東大中退のニート、知力88で全信者中トップ)
【No.411】 山村善蔵 (67)
(山村鉄工の社長)
【No.099】 セイヤ (24)
(宦官、会議中のお茶出し担当)
俺は会議室に来ていた。
ここは広告代理店、雷通の子会社、雷通PRコンサルティングの事務所内にある、第一会議室である。
室内には、会議机が、ロの字型に並べられている。
今、ここに1回目の女神教の幹部会議に出席する、総勢20名のメンバーが集まっていた。
集まったメンバーを眺めてみると、結構、20代前半から後半にかけての若者が多いなという印象だ。
本当はもっと、社会の上層部に位置するような、肩書や権力を持った人間を大勢、集めたかったのだが、前半は、ムチムチ猫耳メイド女学院の顧客リストから選んだ人材を洗脳していたし、後半も、監視カメラの有無や、人の集まり具合を見ながら、条件に合致した場合のみ洗脳するという縛りがあったために、なかなか思うような人材を集めることができなかった。
ムチムチ猫耳メイド女学院は、そもそものコンセプトからして、あまり年長者向けではないし、価格的にも大衆店であったので、いくら、その中から有望そうな人材を選び出しても、言っては悪いが、これくらいの人材しか集められなかったのだ。
もっと効率良く、エリートを集める方法があったはずであり、その点は大きな反省点である。
今回の参加者は、大半が、年長の権力者ではないが、そのかわりに若くて勢いはあるはずなので、その点を肯定的にとらえようと思う。
会議の進行について、吉松店長と事前に打ち合わせをして、俺が司会をすることになった。
この手の司会をやるのは何年ぶりだろう。
真面目だった中学時代、誰もやりたがらなかった学級委員長の仕事を、推薦という名の押し付けによって、やらされた時以来ではないだろうか。
果たして、うまくやれるだろうか。
まぁ、失敗しても良いか。
ここに集まっている信者は皆、洗脳されていて、ロボットみたいなものだしな。
洗脳魔法の力は偉大なもので、会議が開始される13時の5分前には、すでに参加者の全員がそろっていた。
宦官のセイヤが、猫耳メイド姿で、せわしなく参加者に、お茶やコーヒーを出している。
動きがとても、ぎこちない。
こういう仕事、慣れてないのだろうな。
本来、セイヤは会議に参加する予定はなかったのだが、ナギの発案で、お茶出し係として会議の場に同席することになった。
猫耳メイド姿になっているのも、ナギの指示である。
戸惑うセイヤの姿を見ながら、ナギは「セイヤ、よく似合ってるちば」と言って、意地悪そうにニタリと笑っていた。
本当、女って怖いな。
大体の参加者は、お茶を運んでくるメイド姿のセイヤを見て、ギョッと驚いた顔をするので、こちらとしてはちょっとしたドッキリ気分で楽しい。
そんなしょうもない話は置いておいて、参加者が全員、集まったようなので、少し早いが、会議を始めることにした。
「これより、第1回、幹部会議を始める。全員、起立」
俺が会議の開始を告げて、起立を命じると、全員が一斉に、椅子から立ち上がった。
「まずは女神様から、お言葉をいただくことにする。全員、俺に復唱して、祈りを捧げるように」
そう言って、俺は、胸の前あたりで、両手の人差し指と親指を使って、∞マークをつくった。
他の参加者たちも、俺にならって、∞マークをつくる。
それを確認してから、俺は目を閉じて、祈りの言葉を唱えた。
「偉大なる女神ニグラト様。どうか、あなた様の使徒である我々をお守りください。そして、我々の前に、そのお姿をお示しください」
俺が言うと、後に続いて、他の19名の参加者も同じフレーズを口に出して唱える。
目を閉じて、強く念じながら、俺も含めた20名の信者で、祈りの言葉を唱える続けること10回、ついに変化が生じ始めた。
ロの字型に並んだ会議机の、ロの上辺の真ん中あたりに、俺は座っていたのだが、後ろに、直径1.2mくらいの光の円柱が出現し始めたのだ。
「えっ、何が起こってるんだ?」
「すごい!!」
異変に気付いた参加者たちが口々に驚きの声をあげる。
やがて、光の円柱は、自動ドアのように両サイドに開いた。
そして、そこから姿を現したのは、金色の光を放つ、女神ニグラト様だった。
俺が初めて会った時と同じように、まるで見えない椅子に、脚を組んで腰かけているような姿勢で、俺の後ろ上に浮いていた。
女神様の足が、俺の上、70cmくらいの位置にあるので、今回はかなり近い。
それに、体の大きさも、初めて会った時は、身長3mくらいあったが、今回は1.7mくらいで普通の人間サイズだった。
「皆さん……、ごきげんよう……」
女神様が、やさしく言った。




