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84話 俺が法だ

 俺は1日の洗脳を終えて、西園寺内科クリニックへやってきた。


 西園寺内科クリニックに来た目的は、以下の3つである。


 ①院長に、俺との性行為が原因で、ナギの魔法が開花したことを報告する。

 ②療養中の晴海忠を見舞い、彼に今後の任務を与える。

 ③クリニック内、居住スペースの“特別室”にいる女性2人の性行為の相手をする。


 さっさと目的を、こなしてしまいたい。


 まずは院長との面談を行うことにした。


 クリニック地下の研究室にいた西園寺院長に、俺との性行為が原因で、ナギの魔法が開花したことを伝える。


 ちなみに、院長の外見は、相変わらず、白衣で、頭に包帯をグルグル巻いたミイラ男みたいな姿である。


 話を聞いているうちに、院長の目が、みるみる大きく開いていくのが、包帯の隙間からでもわかった。


 院長は、手を叩いて、大喜びし始めた。


「これは僥倖(ぎょうこう)!! 正直、研究は暗礁に乗り上げておったのです。魔法が存在することは確かなのに、教祖の神聖な体にメスを入れることも叶わず、ようやく昨日の深夜に確保されたという魔法使いも、負傷しており、治療を優先せよとの御命令、目の前に、おいしいニンジンがぶら下げられているのに、いつまで経ってもありつけないような状況で、悶々としておりました……。しかし、これならば……」


「ちょっと待ってください。それはナギを、解剖するってことですか? 前にも言いましたが、俺の許可のない解剖は許されませんよ」


「おお、そうでしたな。私としたことが、先走ってしまった……。申し訳ない」


 諫めつつも、俺は、そろそろ真面目に、魔法使いの体を研究用に院長に提供することを検討しなくてはいけないな、と思っていた。


 俺は効率厨なのだ。


 女神様の啓示を受ける前から、残忍な事件を起こした殺人犯は、新薬や人体実験の実験台として、その「ゴミ」みたいな命を、社会の発展のために役立てるべきではないかと考えていた。


 「ゴミ」の命と引き換えに、女神教の魔法戦力が強化されるのならば、それも悪くない。そいつが役に立つ魔法を使えるようなら、実験台にすることは、ちょっと考えないといけないけれど……。


 「ゴミ」をどうやって定義するかだが、この場合、俺が決める。


 俺は、教祖にして、独裁者だからな。


 ここ30年くらいの事件で言うなら、川崎市で起こった女子大生強姦コンクリ詰め殺人、岡崎市で起こったカップル教師の強姦殺人事件、明石市で起こった女児ハンマー連続撲殺事件の犯人は「ゴミ」だと思っている。


 奴らは、己の欲望を満たすため、被害者を苦しめて殺している。本当ならば、被害者以上に悲惨な目にあって、死ぬべき人間だ。


 世界が変貌した後、女神教が国家のような存在になった場合、どうやって裁判のルールを決めるか、という問題があるが、まずは俺が判断したい。


 多忙で、俺が直接、判断できない場合は、俺の任命した裁判官が、俺の過去の判断を参考にしながら、類似のケースはどうすれば良いか、ということを考えれば良い。


 もし、あらかじめ明文化されたルールが欲しいということであれば、法学者や、各分野の専門家と話し合って、既存の法にとらわれない、新しく、原始的なルールを作っても良い。


 新しい世界には、会社法もなければ、登記簿や法務局もないのだ。


 しかし、よく考えてみると、俺の判断だけで複雑な社会を回すのは、難しいかもしれないな。


 危険な薬品の管理ルールや、建築基準法みたいなモノは、今の法を、ある程度、踏襲しても良いかもしれない。


 いやいや、ここは勢いで突っ走るべきだろう。


 世界は一度、大胆にリセットされるべきなのだ。その直後に、多少の混乱が起きることは仕方がない。


「教祖よ、ぼーっとしているが、どうされたのか?」


「いや、すいません、院長先生。つい、いつものクセで妄想に浸ってしまって……」


「おおっ、教祖も、妄想がお好きか? 私もだ。私の場合は、妄想というよりは、仮説だが……。そして、仮説が思い浮かぶと、どうしても検証するための実験がしてみたくなるのだ。そのためにも……」


「ええ、ええ、わかってますよ。解剖できる魔法使いをよこせ、と言うんでしょう。わかりましたよ。すぐに、とは行かないでしょうが、何とか、院長先生が解剖できる魔法使いを探してみましょう」


「本当か? 本当に、魔法使いを解剖しても良いのか? ついに……、ついに……、魔法使いを解剖できるのか?」


 院長先生は両手をグッと握りしめて、まるで、欲しいオモチャを買ってもらえることになった子供のように興奮している。


 コンビニ店員時代からそうなのだが、人から頼りにされると、応えてあげたくなってしまうのだ。


 ただ、これって人体解剖にGOサインを出したに等しいわけで、我ながら、常識のタガが外れつつあるなと感じた。

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