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72話 ハーレムもの、猥褻カルト教団のお約束

 天宮ナギが、包丁を持った中年女性に襲われているところを助けたのはマンションの管理人だった。


 管理人は、俺の胸倉を両手で掴んだまま、怒りの表情で、睨みつけている。


 管理人の表情を観察しているうちに、俺は異変に気付いた。


 両方の黒目に、まるで加工写真のように、♡マークが入っていたのだ。


「か、管理人さん、待って欲しいっちば……、そこまでしなくて良いっちば……」


 ナギが慌てて、とりなそうとしている。


 ずっと胸倉をつかまれたままなのも、鬱陶しいので、俺は、右手を伸ばして、管理人の頭に押し当てた。


「き、貴様……、何を……」


 人生の中で、胸倉をつかまれるシチュエーションなんて、ある程度、誠実に生きていれば、ほとんど、ないことだと思う。


 今、管理人につかまれているのを除いては、高校時代、Hという、お調子者だけど、疑心暗鬼な性格の男子生徒がいて、自分の悪口を言われていると思い込んだHが、唐突に、俺の胸倉を掴んできた時くらいだ。


 あの時、俺は、漫画か何かの話を友人としていただけで、別にHの悪口を言っていたわけではない。


 それまで、Hとは、たまに会話のやりとりするくらいの、ちょっと良好なくらいの関係だったのだが、それ以来、人間関係は完全にブレイクしてしまった。


 そう言えば、あの時のHも、管理人みたいに、歯をむき出しにして、猿が相手を威嚇するときのような、怒りの表情を見せていたっけ……。


 あの時は、ただただ、驚かされたし、その後は大いに失望させられた。


 Hの、見当はずれな勘違いを行う軽率さと、アホさを思い出して、俺は少し苛ついていた。


「クソジジイ、さっさと寝ろ……」


 いつもより、少し乱暴に魔力を、管理人の頭に流し込む。


「女神さま……」


 管理人は、その場にバタリと倒れ込んだ。


 洗脳して、思考や記憶を書き換える時、それまでの人生を覗き見ることができる。


 俺は正確に、どの時点から、管理人が、おかしくなったのかを把握した。


 俺とナギが、エレベーターで降りてきて、管理人との距離が、約10m程度に縮まった時点で、不思議な抗えない力によって、ナギのことを守らなければならない、ナギに対して献身を行わなければならないという意識が芽生えている。


 これって俺と同じで、洗脳系の魔法ということだな。


「なぁ、ナギ、お前……、魔法が使えるようになったんじゃないのか?」


 ナギに質問をしてみる。


「えっ、ナギが? ナギ、全然、そんな自覚ないよ……」


 とりあえず、ナギのステータスを、女神スマホでチェックしてみることにした。


信者No.00000002

名前:天宮(あまみや) ナギ(本名 平井 渚(ひらい なぎさ)

年齢:23

職業:デリヘル嬢(ムチムチ猫耳メイド女学院 店員)

   ヒラ信者⇒教祖の暫定の正妻

  (現時点で、他に教祖の後継者を産む予定の人間メスがいないため)

知力:31⇒35

体力:48⇒55

腕力:42⇒50

耐久力:30⇒42

俊敏性:52⇒65

外見:90⇒92

人間的魅力:62⇒65

経済力:年収2,000万円⇒年収1,000万円(太客喪失のため)

    借金1,500万円

魔力:10pt⇒200pt


魔法:誘惑(テンプテーション)【NEW】

 天宮ナギが“誰かを誘惑したい”という意図を持って、魔力を周囲に放射しているときに発現する魔法。

 半径10m以内の範囲に入った、一定の魔法耐性を持たない“異性”を誘惑し、(とりこ)にすることができる。虜にされた“異性”は、自発的に天宮ナギを守り、天宮ナギの利益になるような行動をとる。

 現在のところ、誘惑魔法に耐えるには、魔力値15ptが必要。天宮ナギの魔法使いとしての能力が上がると、この誘惑魔法に耐えるのに必要な魔力値は上昇する。また、魔法の射程距離も広がる。

 効果が及ぶ“異性”は、人間で、オスの身体を持つ存在に限らない。メスの肉体を持つ人間や、人外の生物でも、天宮ナギを美しいと感じ、ペアリング対象となる存在だと認識すれば効果が発動する。


特技:田舎娘を装い、相手の心の隙に付け入る。

   常連客、約50人を意のままに操り、設定した誕生月にはブランド品を貢がせることができる。

  (※この特技は魔法ではない)


 おおっ、すごい、やはり魔法が使えるようになっている。


 魔力値は200pt、魔法使いとしてみたら、ステルス魔法を使う晴海忠(はるみただし)より上じゃないか。


 しかも、他の能力値も上がっている。


 包丁ババアの攻撃を、素早く回避できていたのは、俊敏性が上がっていたことも関係していたのか。


 誘惑魔法か……、少し、俺の洗脳魔法とかぶっているな。


 ただし、いちいち頭に右手をタッチして、魔力を注ぎ込まなくても、効果が発動するのは、なかなかに便利だ。


 そのかわり、距離が限られていたり、効果の対象が、14p以下の魔力値の“異性”に限られてしまったりするようだけど……。


 この魔法は、俺がナギと、性行為をしたから開花したってことだよな。

 

 よく、猥褻(わいせつ)カルト教団の教祖が、若く、美しい女性信者に、霊力を注ぎ込むための秘密の儀式をしてやる、とか言って、行為におよぶことがあるというけれど、それを地で行っているわけだ。


 色々、気になるな。


 たとえば、もう1回、ナギと行為をしたら、さらなる能力向上が起こるのだろうか?


 あと、ナギ以外の、たとえば、リョーコやレイカ、ミンちゃん、メイド女学院の他のデリヘル嬢といった、(コンビニのスウィーツコーナーにいたおばさんを除く)女性信者にも、同じことをしたら、どうだろうか?


 西園寺院長に、このことを話したら、さすがに俺を解剖したいとは言わないだろうが、精液を研究させて欲しいとは言ってきそうだな。


 あのジジイは、マッドサイエンティストだから、犬とかトカゲとか、人間以外のメスに、俺の精液を入れてみたら、どうなるかとかも試しそうだ。ああ、おぞましい……。


 というか、そもそも、女性器に、俺の精液を注ぎ込むことが、魔法が開花する条件なのだろうか。


 過去のカルト教団では、教祖の髪の毛に霊力があるとか言っていた例もあったっけ。


 それに関しては、全くのインチキでしかないが、もし、俺の精液自体に、魔法を開花させる力があるのなら、口やケツから、俺の精液をいれることで、男性の信者でも魔法が使えるようになることもあるんじゃないだろうか。


 そのへんも含めて、西園寺院長に研究させてみるのは良いかもしれない。


 もし効果があるようなら、経口薬や座薬をつくらせよう。


 あのジジイなら、真っ先に自分で人体実験しそうだ。


(だい)ちゃん教祖様? 大ちゃん教祖様? おーい……」


 例によって、ナギが俺の目の前で、ブンブンと手を振っている。


 いかんいかん、また考え事に夢中になっていた。


「それで、ナギは魔法を使えるようになったと?」


「ああ、ナギ、確かにお前は魔法使いだ。それも、誘惑の魔法を使う、魔法使いだ」


「やったっちば!! これで、ナギ、魔法少女っちば!! ナギ、昔からアニメの魔法少女に憧れていたの……」


 いやぁ……、23歳の女が、魔法少女を名乗るのは、ちょっとキツイやろう。 

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