53話 死体スライドショー
「これより、外道会、毎年恒例の“食餌会”を開催いたします」
ステージ左端の演台の前に立っていた、スーツ姿のアゴヒゲ男が、宴の開幕をつげる。
「まずは、外垣会長から、開会のお言葉をいただきます。会長、どうぞ、ステージへ!!」
司会のアゴヒゲに促され、外垣が、ステージのど真ん中にあがる。2人の護衛もいっしょだ。
服装は車を降りたときと変わらない。“VERY HAPPY”と書かれた薄ピンクのランニングシャツを着ている。
外垣は、真ん中のスタンドに設置された、マイクをひったくると、話し始めた。
「今年も、皆といっしょに、この宴を開くことができて、ワシは、とても幸せや。この1年間、いろんなことがあったなぁ……。ショウちゃん、あれ頼むわ」
アゴヒゲスーツが「ハッ」と返事すると、ホール内の照明が消えて、ステージ上のスクリーンに画像が表示された。
加工をされたり、奇妙な形に並べられたりした死体の写真が何十枚もあって、それを並べて一覧表示させたものが映し出されている。
オレの兄である晴海正や、オレの義姉、姪っ子の死体写真も、この一覧表示されている中に混じっていそうだ。
「ギシッ、ギシシシッ、ワシら、この1年間も、たくさん、殺したよなぁ……」
ギザギザした歯が見える、ピラニアの笑みを浮かべながら、外垣は嬉しそうに話しだした。
「中でも、ワシの最近のお気に入りは、これやねん……」
今度は、1枚の死体画像が、大きく映し出される。
その“これぞ真の親子丼”と題された死体写真は、忘れもしない。
オレの義姉と姪の死体写真だ。
2人とも全裸の状態で、姪の首がついた、義姉の死体が、義姉の首のついた、姪の死体を、ディルドーでバックから突いている。
「ギシシッ、皆は、どう思う? ワシ、正直、“晴海正のセルフフェラ”はイマイチやったと思ってるねん。だって、あんなポージングはありふれてるやろう。中南米のロス・セタスあたりが、やってそうやん」
オレは、今すぐ、外垣を殺して、喋るのをやめさせたかった。しかし、会場内が暗く、動きにくいこともあって、すぐには決行できなかった。
「でもな、この“親子丼”は違うど。ワシの“げーじつ性”が、よう出とる。見てみぃ、この顔……」
今度は、姪っ子である、早苗ちゃんの死体の顔がアップで映し出される。
目は閉じられており、鼻から血が出ていて、口元は少し歪んでいる。
早苗ちゃん……、兄の自慢の娘だった。
美しい娘だった……。死体の顔写真は、オレの知る生前の早苗ちゃんと別人のように見えた。
外垣は、画像をみながら、急に内股になり、両手で股間をおさえはじめた。
「アカン……、この顔、見てたら、思い出してきて、また勃ってきてもうた。この母娘には、本当にお世話になったんや。生前も散々、楽しませてもらったし、死んでからも……、最高のズリネタや……」
そう言って、外垣が、股間から、そっと両手をはなすと、アソコがギンギンに勃起しており、目で見てハッキリわかるくらい、ズボンが大きく帆を張っていた。
それを見た、会場は、爆笑の渦に包まれる。
中には「会長、ご立派です」と声をかける者もいた。
外垣はギシッ、ギシシッと笑っている。
「皆、笑わんといてぇな。でもな、ほんま、ワシは思うとるんや。皆にも、楽しんで、殺しをやってもらいたいと……。殺せば、社会の奴らは、ワシらを怖がるようになる。そして、ワシらは、ますます強くなれるんや。だから……、殺して、殺して、殺して、殺しまくるんや!! 後先のことなんて、考えんでええ、なんせ、ワシらは外道なんやからな!!」
再び、死体一覧の画像が映し出される。
「警察? 検察? ナンボのもんじゃい!! 裁判官? ナンボのもんじゃい!! ワシらを捕まえて、裁こうとする奴らがおったら、そいつらの家族ごと、皆殺しにしたったら、ええんや!!」
今度は、制服を着た警察官や、法服を着た裁判官の死体写真が映し出される。
「仮に刑事や検事が、40代として、父親、母親は60代くらいか? そいつらの年老いた両親を見つけ出して、散々、痛めつけてから、殺してまえ!! ついでに死体を、面白おかしく加工して、メールで画像を送りつけたれ!! 嫁はんや娘がおったら、見つけ出して、犯してから殺せ!! 殺してから犯してもええわ!! それが外道会や!! 何人、逮捕されようが、最後のひとりがやられるまで、ワシらは、やめへんで!!」
次に映し出されたのは、老夫婦や、幼い女の子の死体写真だ。
「誰も、ワシらを裁くことはでけへん!! 裁かせなど、させん!! なぜなら、ワシらが外道会やからや!! 外道会は最強!! 外道会は最悪!! ワシらに楯突いたモンは、みんな死ぬ!! こいつら、みたいにな!! そうやろう、みんな?」
外道会の幹部たちが、一斉に「ウオオオオッ!! そうだー!!」と強く返す。
中には「俺たちは外道会だ」「俺たちゃ、腐れ外道だ」と言っている者もいた。
その光景を見て、外垣は、ギシシッ、ギシシッと満足げに笑っていた。
外垣道重、オレは必ず、お前を殺す……。




