47話 透明人間の逆襲
外道会の構成員に追われ、走って逃げていたオレは、曲がり角で転倒し、万事休すかと思われた。
しかし、そこで奇跡が起こった。
なぜか、オレを追っていた外道会のヤクザが、横を素通りして走っていったのだ。
不思議に思って、自分の方を見ていると、体が透明になっていた。
「クソッタレ!! 晴海のガキャー、どこ行きやがった!!」
「チクショウ、全然、見当たりませんね」
オレが自分の身に起きた変化に戸惑っていると、先ほど、素通りしていったヤクザ2人が、悪態をつきながら、戻ってきた。
奴らは、2mくらい離れたところで話している。
しかし、オレの存在に気づく様子はまったくない。
どうやらオレは透明人間になってしまったようだ。
しかも、肉体だけではなく、身に着けていた衣服や道具も透明になっているらしい。
それだけではない。
逃亡生活で、久しく風呂に入っていなかったため、オレの体からは悪臭がしているはずだ。
姿は、透明で見えないとしても、臭いでオレが近くにいることに気づいても良さそうなものだ。
しかし、目の前のヤクザたちが、臭いについて話している様子もない。
おそらく臭いも消えているのだ。
何らかの理由で、オレは今、コイツラから察知されない存在になったということだ。
今、自分が置かれている状況が、どういうものなのかを考えていると、ふと、ある想像が頭をよぎり、オレは急いで、手前にあった家のブロック塀をさわってみた。
確かに、ブロックの感触がある。
さらにブロック塀を指で押してみる。
透明で見えないけれど、オレの指がブロック塀を押し、ブロック塀がそれをはねかえしているのを感じた。
良かった。死んで、幽霊になってしまったわけではないようだ。
オレの実体や質量は、確かに存在している。
幽霊になっているわけではないことが確認できたところで、問題となるのが、この目の前にいるヤクザどもをどうするか、ということだ。
答えは、すでに出ている。
外道会の奴らは許せない。皆殺しだ。
この2人を殺す。
重要なのは方法だ。
いくら、存在が察知されないと言っても、接近戦を行えば、拳や蹴りがとんできた方向から、奴らに、大まかなオレの位置がばれてしまう。
だから、離れた安全な距離から、確実に仕留めなければならない。
オレは今、拳銃と短刀を持っている。
拳銃はグロック19で、会長の岡田を狙撃した時に用いたものだ。
まだ弾が10発ほど、残っている。
短刀は、逃亡生活がはじまってからは、護身用として肌身離さず持ち歩いている。
都合の良いことに、これらの武器も透明になっていて、見えないようになっていた。
オレは、ヤクザどもから少し離れ、3mくらいの距離をとった。
そして、ふところから短刀を取り出すと、スーツを着たヤクザの禿げ頭に、狙いを定めた。
勢いをつけて、短刀を放つ。
短刀は、オレの体から50cmくらい離れたところで、透明化が解除され、視認できるようになり、ブスッとスーツヤクザの禿げ頭に命中した。
「ぎええええ!!」
スーツヤクザが叫ぶ。
「兄貴ぃぃっ!!」
隣に立っていた、若いヤクザが声をあげた。




