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2話 女神スマホと洗脳第1号

 目が覚めると、確かに右手の甲に∞のマークが刻まれていた。


 あれは夢ではなかったのか。


 布団の中から、左手のまわりを、ごそごそ探ってみると、女神様から貰った、あのダサいピンク色のスマホも確かにあった。


 布団の中から取り出して、試しに電源ボタンを押してみる。


 この女神スマホって、電力とか、ОSはどうなっているのだろうか。アンドロイドやiOSは入っていないだろうし……。


 起動すると、例の女神様の∞マークがディスプレイに大きく表示されて、ホーム画面が映し出される。おそらく魔法でОSが動いているかのように見せているのだろうな。動力も電気ではなく、魔力かもしれない。そういうことを考えていると、魔法や魔力で何でもアリということになりそうだが……。


 入っているアプリは4つだけだった。


①電話

 電話の受話器のアイコンが表示されている。電話帳機能も入っているようだ。電話帳には、電話番号の表示はなく、現在、登録されているのは女神様と俺の名前だけだった。これで女神様と通話ができるということだろうか。


②魔力探知MAP

 四角形の上を、人が歩いているかのようなピクトグラムのアイコンが表示されている。起動させてみると、通常の地図に加えて、点滅する青い点がたくさん表示されている。青い点は、移動しているモノもあれば、じっと停止しているモノもある。自分だけが赤い点で表示されている。どうも、この青い点は人間のようだ。点の大きさも、それぞれ微妙に異なっている。魔力探知MAPというアプリ名から察するに、人間の魔力を探知して、それを地図上に映しているようだ。


③信者ステータス管理

 人間が祈っているようなピクトグラムのアイコンが表示されている。教団の組織図や信者のステータスを表示することができるようだ。ただし、まだ信者がいないので、今、確認できるのは俺のステータスだけだ。試しに自分のステータスを表示させてみると、以下のような数値だった。


信者No.00000001 

名前:はた 大悟だいご

年齢:38

職業:教祖、預言者、コンビニ店員(奴隷労働者)

知力:68

体力:49

腕力:52

耐久力:58

俊敏性:42

外見:43

人間的魅力:41

経済力:年収200万円、貯金50万円

魔力:10万pt

魔法:洗脳

特技:クリスマスや年末年始でもシフトに入れる(頼まれたら断れない)。


 うーむ、他に信者がいないので平均値がどれくらいか、わからないが、三国志や戦国時代を舞台にしたシミュレーションゲームの武将のステータスとして考えると、明らかに低いな。知力は一応、大学を出ているし、本とかも読んでるからね。なんとか平均よりは高そうで良かった。やはり突出して魔力の値が高いな。


④ミッション管理

 四角の中にチェックが入ったアイコンが表示されている。通常のタスク管理アプリに類するもののようだ。試しに起動させてみると、以下のような情報が表示された。


 ◆主ミッション

 【1】信者数を増やし、信者の合計魔力値が1,000万を達成する。

   (あと90日)


 信者数:1人

 達成状況:10万/1,000万 未達成!!


 【2】異世界(並行世界)を呼び出す器となる召喚魔法使いを見つける。

   (あと90日)


 達成状況:未達成!!


 ◆下位ミッション


 ※現在のところ下位ミッションは発生していません。




 アプリの確認結果は、このような感じだった。


 女神様からは洗脳魔法で、信者を増やすようにと言われたが、よく考えてみると、1,000万ポイントというのは、かなりハードルが高いな。


 人間の平均的な魔力値が5~10だと女神様は言っていた。1人当たりの魔力値が5として考えても、これから198万人の人間を信者にしなければならない。90日で割ると、1日2万2,000人の信者を獲得しなければならないことになる。


 計算してみたら、1日は8万6,400秒なので、睡眠や食事、トイレの時間なく、ぶっ通しで4秒に1人くらいのペースで人間を洗脳し続ければ、目標を達成できるが、どう考えても、それは時間的にも、肉体的にも無理だろう。


 洗脳魔法で、直接、人間を洗脳する以外の方法でも信者を獲得しなければならないということだ。


 選挙で、ポスター貼りや、地道なあいさつ回りを"地上戦"、インターネットやテレビのメディアを使った浮動票狙いのPRを"空中戦"と呼ぶことがあるが、信者獲得において、ゆくゆくは"空中戦"が必要になってくるだろうな。


 そのためにも、まずは金と権力を手に入れたい。長者番付に入るような、何千億円という資産を持った超大金持ちと、贅沢を言えば、内閣総理大臣を洗脳して信者にしたい。俺の洗脳魔法さえあれば、それも不可能ではないはずだ。


 ただ、今はまだ信者が1人もいないし、人間を洗脳したこともない状態なので、まずは第1号として誰かを洗脳しなければならない。


 そんなことを考えていると、スマホからアナウンス音声が流れた。


「【下位ミッション:洗脳魔法で信者を1名、獲得する】が発生しました」


 どうやら、これで下位ミッションが発生したようだ。


 しかし、最初に誰を洗脳すれば良いのか、なかなか迷うな。女神様は、頭に右手をかざせば、洗脳ができる、みたいなことを言っていたが、どれくらいの手間と時間がかかるものなのか、実際にやってみないとわからない。


 アルバイト先のコンビニの店長や同僚を洗脳するか? 逃げられはしないだろうか。


 それとも、夜道で、誰かを尾行して、後ろからこっそりと忍び寄って、右手をかざしてみるか。38歳の変なおっさんが後ろから近付いてきたら警戒されるだろうな。


 逃げられず、洗脳に手間取っても問題にならないようなシチュエーションが望ましい。


 いろいろ悩んだ末に、俺はある答えに辿り着いた。インターネットで電話番号を調べて、電話をかけてみる。


「ハイ、こちら、ムチムチ猫耳メイド女学院です」


 受話器の向こうから、受付の店員の声が聞こえた。

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