美味しいボルシチの作り方
これは、書きたい気持ちが物凄くあったのですがネタがまったくなかったので、でっち上げました。
凄い動機ですね。創作意欲だけあって中身がないとこうなる見本です。
ボルシチを作ろうと思ったがビョーツがなかった。加柄八十吉は表に出て近所のよろずやへ向かう。限界集落の一角に傾きかけた個人商店。店の引き戸を開けると焼き物のタヌキを思わせる店主が人懐っこい笑顔でお出迎えだ。
「おいおやじビョーツはないか」
「んはぁ? なんだって」
「ビョーツだよビョーツ」
「知らんもん」
八十吉も困った。ネットで見たビョーツは紫色をした何かだった。何の野菜かまではわからない。無理矢理考えて出した答えは……。
「紫キャベツみたいな何かだよ」
「はぁー。紫のキャベツがあるんか!」
当てにならないと八十吉は思い。何も買わずに店を後にした。こうなったらネット通販しかないと思い、スマホをいじる。逆光で画面が見えづらい。
自宅に戻って落ち着いてスマホをいじる。ネットスーパーは隣の県の都心部にあった。二つの山を越えている。生ものの配送は絶望的だった。
「くそ。美味しいボルシチをこさえたら、物珍しさで客がつくと思ったんだけどなぁ」
八十吉は諦めて天井を見る。天井にはいくつもの染みがあった。
「田舎過ぎて天井舐めまで出てくる」
八十吉が見てる間に薄透明の天井舐めが出てきて天井を舐めている。ごく日常的な光景だと思っているので騒ぎもしない。
「なんだ人間。わしが見えるのか」
「ああ昔から見えてる」
「お主凄いのう。よしここで出会ったのも何かの縁。一つ褒美を授けよう」
「なんだ」
「おいしいボルシチの作り方じゃ」
「ああそれは無理。ここじゃ無理」
八十吉は天井舐めに全てを話して二人でうなだれるのだった。
しかもビーツと書くつもりで寝起きだったから間違えてビョーツと書いてしまいました。
怪我の功名なのでこのままにしておきます。