第9話:動き出す者達(3)
「オーラ・・」
「まぁ、どんな自然系能力でも攻撃だけじゃなく防御に使うことは出来る・・ただし防御の方は色々コントロールしないといけないけど・・」
そう言いながら拓也に向けて手をかざすディオ。
「悪いけどあまり時間をかけるのも本部に悪いから・・抵抗しなければ君も無事でいられる・・」
「だけど、本部って所に連れて行かれて・・その後どうなるか判らないんだろ?」
そう聞く拓也。
「そこから先は上の人の判断だからね・・それじゃ・・」
腕に気の力を集めていくディオ。
「ミナモ・・モエ・・お前たちだけでも無事でいられるなら・・」
だが、その時
『悪いが・・そいつをお前に渡すわけにはいかない』
突然何処からかそんな声が聞こえた。
「!?」
驚く拓也とディオ。
「雷柱陣」
と、ディオの足元からディオを囲むように四本の雷の柱が出現した。
「こいつは・・」
とっさに腕を引っ込めたディオ。
「雷・・まさか・・」
そして、二人の前に姿を見せたのは雷の能力者・レイドなのであった。
「お前・・リュートと一緒にいた・・」
「レイドだ・・・」
そう告げたレイド。
「レイド!お前、何しに・・いや、それよりも何で仲間に向かって技使ってるんだよ」
そう叫んだディオ。
「その理由は簡単だ・・この風の能力者は・・リュートの戦いたい相手だからな」
「リュートが戦いたいとか関係ないだろ!大体この能力者は本部にとって・・」
ディオがそう言うと
「だがそれでも俺はリュートのために動くとあの時から決めている・・」
そう言いディオから拓也の方に視線を戻した。
「お前・・」
「風の能力者・・一つだけ言っておく。俺はお前を助けに来たわけじゃない・・リュートと戦う前にお前の力を見ておきたい」
そう告げると手のひらに雷の力を生み出すレイド。
「・・どちらにしても本部のやつと戦うことになるのか・・」
そう言い刀を構える拓也。
「結局戦いに来たのなら邪魔をする必要ないだろうが・・どうせお前もそいつを・・」
「行くぞ!」
両方の手のひらに雷の力を集めたまま拓也に向かっていくレイドなのであった。
(レイドの雷・・少しでも受けたらやばいだろ・・)
そう考えレイドとの距離をとろうとする拓也。
「確かにいい考えだな・・リュートの水と違って俺の雷は触れれば大ダメージは免れない・・だが・・」
と、移動しながら手を拓也の方に向けたレイド。
「!?」
レイドの行動に気付く拓也。
「雷閃!」
レイドの手に平に集められていた雷が閃光状となり拓也に向かっていった。
「っ!」
とっさに刀に集めた風を雷閃に向けて放った拓也。
そして、風の一撃とぶつかった雷閃は軌道が反れ拓也への直撃はまぬがれた。
「今、雷を・・」
「よくあの瞬間で反応したな・・さすがリュートが認めている能力者だな・・」
そう告げたレイド。
「あいつ・・こっちが少しでも隙を見せたらやられるな・・」
そう言う拓也。
「・・お前の力は一応見れた・・後はリュートに任せる・・」
そう告げたレイド。
「待てよレイド!それじゃ本部は納得しないだろうが!お前、本部のナンバー3を敵に回すつもりか」
そう言うディオ。
「リュートのためなら・・俺が全ての罪を受けることぐらい・・」
「あいつ・・」
と、レイドはディオの周りの雷の柱を解除した。
「・・・」
無言のディオ。
「今回は見逃してやる風の能力者・・いや、拓也。だけどなまともに戦ったらお前が負けていたんだからな・・それを覚えておけよ」
そう言うと去っていくディオ。
「拓也・・必ずリュートの元までたどり着け・・本部の能力者としては言ってはいけないことだがな・・」
そう言い残しレイドもこの場から去っていくのであった。