プロローグ
「はぁ……それで、何やってんの?レイジさん?」
木が生い茂る森の中を鎖をつけられた男と少女が歩かされていた。そこは道が整備されていなく、さらに夜なので視界が悪く、さらに歩くことを困難にした。さらに、二人を監視する武装した男が数名いる。監視している男たちは馬に乗っていて、腰にはファンタジー物の作品に出て来そうな剣がつけている。いや、監視されるのは二人だけではない。他にも、30人ほどの人間が鎖をつけられ歩かされている。歩かされている人たちの表情はとてつもなく暗い。なにせ、この先に待っているのは、奴隷という身分を得ることだからだ。そんな誰一人話さない中で男と少女は、ひそひそと他人事のように話す。
「仕方ないじゃないか、俺だって抵抗したさ。だが流石に相手方の方が一枚上手だったぜ」
「あんなに、自信ありげに言ったのに……だから一目散に逃げようや、って言ったやん」
「いや〜レーニャちゃん、女の子に期待されたから頑張ったけど、気持ちでは勝てなかったわ。すまんな」
レーニャと呼ばれている少女は、150センチにも届いていない身長。丸みを帯びた顔には、紅色のくりっと大きな瞳が並んでおり、幼く見える。
髪は少し薄めの金色で、ミディアムヘアー。
服装はフード付きのローブで全体を隠している。
「レイジさん……何がしたかったん?」
レイジさんと呼ばれている男は身長は180を超え、マッチョとは言えないが細くはないほどの鍛えられた肉体であり、短髪で顎にヒゲを少々生やしていて、顔はイケメンとは言い難い。見た目から30代くらいだろう。
「レーニャちゃんに、きゃぁ〜レイジさんカッコいい!結婚して!って言われたかったです」
レイジは野太い声を無理やり高くした声で話す。聞くほうとしては悪寒がするほどの出来栄えだ。
「警察は……来るわけないか」
「俺の動機は?ね、ね?」
「えーと、キャーレイジさんカッコいいー結婚して?」
「その表情もいいよ!」
「……」
レーニャは道端で糞を足で踏みつけ、それに気がつき靴の裏を見た時のような反応をした。そんな表情を見たレイジは焦って弁明しようとする。
「ごめん、本当に引かないで……冗談だから。あと、こうなったからにはレーニャちゃんを助け出すから」
「……本当に?」
「任せてくれたまえ」
「そ、なら良いけど……で、どーすんの?」
「俺に任せてくれ」
レイジは急にレーニャを抱えて、横に飛んだ。横には、急な坂があり、そこを二人は転がり落ちた。レーニャは視界が男の胸元で、こう思った。
何で、男の俺がこんな目にあっているの?と、この二人が何故こうなったか、それはある日の朝から始まる。