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第43話 内緒にしていた、昔の夢!

「あー、まぶたを閉じるだけで鮮明に思い出してしまう……!」


 昨夜は本当に地獄だった。

 犯人はもちろん、目の前にいるロリ天使だ。


「これでも俺はロリ天使のことを、途中まで信じていたんだぞ……! なのに、ガチで『最後まで』やりやがって……!」


 彼女たち39人のうち、体調のすぐれない子を除いた31人が、ロリ天使の毒牙にかかってしまった。

 行為は朝まで行われ、ロリ天使に身体を返してもらった時には、ベッドの上は散々、かつ卑猥な状況だった……。


 ひとまず、俺はメイドを呼び付け、残りの8人の女の子にも協力してもらい、ぐったりしていた彼女たちを介抱してもらった。


 ――そして、その場に何とも居づらくなってしまった俺は、逃げるようにして外へ散歩に出掛け、いまに至るというわけだ……。


「ちょっとハッスルし過ぎちゃいましたね。えへへ……」


 ロリ天使は舌をペロっと出して、ポリポリと頭をかく。


「えへへ、じゃないわ! メチャクチャしやがって……! あんなの、俺がただの変態みたいじゃねーか!

 ああ、もう今日か明日には城中で噂されるんだろうな〜! くそ、これで俺の平和な生活は完全に消えた!」


「いや〜、誠司さん。あれも彼女たちには必要なコミュニケーション、だったりしまして……あはは……」


 ちょっと苦しい言い訳なのが分かっているのか、ロリ天使は苦笑いをしている。


「信用できるか! それも、約束をすぐに破る奴をな!」


「だから、あれは言葉の()()ってやつですよ〜! あの状況で、女の子の人数が多いから助けてって言われたら、誰だって『ああ、誠司さんはこの30人以上の女の子と○○したいのに、体力的な制約で全員と○○できないんだ。だからこのロリ天使ちゃんに頼ろうとしてるんだな』って思っちゃいますよ〜!」


 くそっ!

 言葉は通じるのに、会話が通じない。


「俺の身体もいじっただろ!? 1人あたり4、5回もやりやがって……!」


「あはは、あれは魔法的な何かで一時的にいろいろ強化しただけで、身体には何の影響もないんですよ〜!」


「無邪気な顔してエグいことしやがって……」


「えへへ、それほどでも〜☆」


 ロリ天使は『無邪気な顔』=『可愛い顔』と脳内変換したのか、少し照れている。


 だんだんコイツの謎な思考パターンが読めてきた。

 自分の都合のいい情報をピックアップして盛り付け、あとの余計な情報は全てシャットアウトしているようだ。


「――分かった。俺の負けだ」


 俺はあっさり引き下がった。


 人間というもの、何を言われてもヘラヘラしている相手に対して怒り続けるのは、実は非常に難しい。

 大抵の場合はこちらが折れてしまったほうが楽だ。


「先に仕掛けてきたのは、あの女の子たちのほうだからな。

 ロリ天使がいなければ、彼女たちの要求をどうやって満たせたか分かったもんじゃないし」


「やったー! わたし、やっぱり誠司さんのお役に立ててましたね! 嬉しいです〜☆」


 ロリ天使は子どものような無邪気な笑みを浮かべて、バンザイし、その場で宙返りした。


「しかし、これから毎晩あんな大事件が発生するのか? 少し憂鬱なんだが……」


「大丈夫ですよ〜! あの31人は最低でも1週間は足腰が立たないように徹底的にやりましたから☆」


「この変態が……!」


 昨夜のことは、俺も感覚を共有しているため、五感ともに鮮明な記憶が残っている。

 性欲多感な時期にこれを体験してしまったら、たぶんもう日常生活には戻れなくなっただろう。


 俺がおっさんで良かった。

 いまの身体は15歳でも、心は35歳だ。


「はぁ〜。それにしても誠司さん、男1人に女の子31人って凄いですよね! 32Pですよ、32P!

 スプラトゥーンでも最大8人プレイなのに、32人同時プレイなんて……!」


「なにを言ってるのかよく分からんが(ゲームか?)、お前、一応女のクセによくあんなことができるな」


「えへへ〜! ……いままで誠司さんにドン引きされるかなと思って黙っていたんですが、

 実は、わたし……男の子になって女の子と○○するのが昔からの夢だったんです!

 キャー! 言っちゃった! 恥ずかしい〜☆」


 もう既にドン引きしてるから大丈夫。


「なるほど、だから最初から謎のテンションでハーレムを作ろうとしていたのか?」


「はい! あ、いや……もちろん誠司さんのためですよ☆ えへへ……」


 『はい!』って。



 そんな感じでロリ天使とワチャワチャ会話をしていると、後ろから何者かの気配を感じた――。


「セージ……!」


「ん……? この声は、ラキか?」


 後ろを振り向くと、ラキが立っていた。

 一見可愛らしい少女に見えるが、食い込んだショートパンツと、背中に掛けている馬鹿デカい斧が特徴的な、エルフの女の子だ。


「ちょっと、ツラを貸せ……。あそこの小屋で待っている……」


 そう言って、ラキは辛気臭い顔をしながら、親指で近くのログハウスを指す。

 そして、俺の返答を待たずスタスタとログハウスまで向かっていった。


「おいおい、拒否権無しかよ。いきなり現れて小屋に入れとか。

 まぁ、暇だからいいけど……」


 暇を潰せるのは正直ありがたい。

 しばらくは、あの部屋に戻りたくないからな。


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