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第27話 勇者の、本質!

 上半身が裸になった俺を見て、町民はなぜか沸き始めた。


「おい! 若いほうの勇者候補の身体……結構筋肉質だな……!」

「なんて美しい腹筋なのかしら!」

「身体の線は細いのに筋肉は鍛え上げられている! あの歳であそこまでバランス良く筋肉を練り上げるとは……!」

「着痩せするタイプだったのね!」


 まさか、数万人に俺の裸を見られるとは。

 めっちゃ恥ずかしいわ。


「クックック……! さぁ、どうした? お望み通り生身の身体になったのだ……全力で来い!」


「くっ……うぉおおおおお!!」


 ニセ勇者は先ほどと同じように、勢いよく剣で斬りかかる。

 だが――。


 『ガキンッ!』


「なっ――!?」


 俺の左腕に、全体重を乗せて斬りかかったニセ勇者であったが、それでも一切傷を付けることはできなかった。


「……そんな……そんなことがあり得るはずが……! この超魔装具(ちょうまそうぐ)の魔術強度はA級なんだぞ……!」


 ニセ勇者はプルプルと震え、唖然とした表情で、ただ立ち尽くしていた。


「あと16秒……!」


「あと14秒……!」


「あと12秒……!」


 タイムリミットが刻一刻と迫ってくる。

 そんな膠着状態が続くと、ニセ勇者は何かを思いついたかのような表情をして「そうだ……!」と呟いた。


 ニセ勇者は身体を引き、女の子の集団へ振り返った。


「お前たち! 奴へ向かって一斉に魔法で攻撃しろ! 魔法が使えない奴は武器の投擲(とうてき)だッ!!」


 そんな命令が下されると、女の子の集団は即座に「はっ!」と返事をし、俺の身体を遠くから取り囲むようにばらつき始めた。


「おや? はっはっは! 他力本願が捗るなぁ! 決闘の場としてはマナー違反ではないか?」


「黙れ! 勇者という存在は、常に勝利を収め続けなければならない! 勝利するための過程など、問題ではないんだッ! 最終的な勝利者になれば、将来語られる歴史の中で、汚れた過程は権威付けのために修正されるッ!! いまここで最も避けるべきは、オレが負けることだッ!!」


「ふふ、ここにも勇者の本質を勘違いしたものが一人いたか……!」


 ――すると、女の子の集団が、俺に向かって攻撃を繰り出した――!


「『雷撃感電魔法(エレクトロショック)』ッ!」

「『氷撃投槍魔法(アイスジャベリン)』……」

「食らえ! トマホークッ!!」

「『超重力魔法(ギガグラビトン)』!」

「爆弾弓、三連矢ッ!」


 その他、やいのやいのと、合計39人による攻撃が一斉に迫ってきた。

 取り囲むように撃ってきているので、避ける術はない。

 ロリ天使はそれでもなお、避けようとせず無防備な状態であるままだ。


「ふふふ……!」


 ――そして、彼女たちの攻撃が俺の身体に着弾する。


 『ドォオオオンッ!』


 すべての攻撃を、ほぼ同時に受けた。

 しかし、俺の身体は一切の痛みを感じることがなく、五体が尚も存在することが感覚として分かった。


 目の前は真っ白だ。物理的に。

 色々な攻撃を受けていたので、煙で周りが見えない。


「は、ははは……! 卓越した戦闘能力を持つ者たちによる最大級の攻撃だ……! 骨すらも残っていまい……!」


「……あと8秒……!」


「――えっ……」


 煙が徐々に薄れていく。

 ニセ勇者の姿が見えてきた。

 同時に、ニセ勇者からも俺の姿が見えているはずだ。


「ば……馬鹿な……! 間違いなく、39人それぞれの最大級の攻撃だったはずだ……!」


「――飾るなぁ! 超魔装具(ちょうまそうぐ)、嘘で塗り固められた勇者のブランド、かりそめの仲間……! はっはっは! 飾る飾る! ……さて、浅学の貴様に、本物の勇者の条件というものを教えてやろう……!」


 ロリ天使はニセ勇者に人差し指をさして、高圧的な表情をして言葉を続ける。


「勇者とは『飾らない』存在だ! 『飾る』という行為は即ち、他者からの評価を気にすることから漏れ出る行為である! 勇者は他者からの評価で成り立つ存在ではない! 動じぬ心と、たゆまぬ研鑽で磨き上げた器で以って、初めて天より選ばれ、勇者の精神が注がれるのだ! 用意した舞台装置の上で踊るは、ただの演者! 本物の勇者はそこにはいないッ!!」


 そんなご高説を賜るロリ天使が話を終えると、ニセ勇者はプルプルと震えながら、口を開いた。


「なぜ……なぜ、まったくダメージが無いんだ……!? 理解できない……お前はいったい……!」


「残念だったな……。我こそが、真の勇者だ。まがい物である貴様には、とても理解の及ばない存在だ……! さて、タイムリミットまで、あとわずかだ……あと5秒……!」


「うぅ……くっ……」


 ニセ勇者はうなだれている。

 もはや万策が尽きたようだ。


「あと4秒……!」


「……! いや、待てよ……! あそこなら、ダメージが通るかもしれない……!」


 そう呟くと、ニセ勇者は一気に闘志を燃やし、両手で剣を構えた。


「この一撃に全てを掛ける……!」


「……ほぉ? なにかアテがあるのか?」


「ある! 2ヶ所だ!」


「はっはっは! それは楽しみだ! 早く見せてみよ! あと2秒……!」


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