第12話 スカートふわり、元・女兵士(無職)!
「おい、そこの女兵士、一緒に外へ出るぞ」
「は、はい……!」
俺はとりあえず周りの兵士たちに宣言した通り、この女兵士を借り受けることにする。
助けることにだけ気が行ってしまい、ノープランではあったが、とりあえず外へ出る道案内を頼もう。
「か、身体がこわばって、上手く体勢が……!」
女兵士が逆立ち土下座のまま、グラグラしている。
おいおい、またあんなことになったら、もっとわけの分からん展開になるぞ。
俺は彼女の両足を掴んで、ゆっくり床に付けた。
「ああ……勇者様、申し訳ございません。お手を煩わせてしまうなんて……!」
「気にするな。これからはしばらく俺と行動を共にしてもらう。怪我でもされたら面倒だからな」
「は、はい! 恐悦至極に存じます……!」
そんな畏まった口調で喋られてもなぁ。
こいつらの頭の中で、俺のポジションはどうなってるんだよ。
「頭を上げてくれ、最初の命令だ。城の外へ出る道案内を頼む。俺は町に行ってみたい」
「はい、承知しました!」
女兵士はゆっくりと立ち上がった。
おお、俺よりは身長が高いな。
彼女の身長は170cmくらいはあるだろうか。
いまの俺は中学生の年齢なので、追い付くのは高校生になってからだ。
「ご案内いたします。どうぞこちらへ……!」
俺は女兵士に連れられて、この馬鹿でかい城の外へ出ることにした。
*
「遅いな、女兵士のやつ……」
女兵士は途中、兵士詰所に立ち寄った。
城の外へ出る前に、詰所で事情の説明と引き払いの準備をするとのことだった。
近くには王族専用の一時的な休憩スペースがあり、俺はそこで待っている。
休憩スペースといっても完全な個室で、メイドもいるしソファーもあるしで、自分の部屋とあまり違いはなかった。
俺がうたた寝していると、ドアからは『コン、コン、コン、コン』とノック音が鳴った。
「入れ」
俺がそう言うと「はっ!」という返答のあと、『ガチャリ』とドアが開いた。
メイドだ。
そして、横には先ほどの彼女がいる。
「女兵士を連れて参りました。といっても、頭に『元』が付きますが……」
元・女兵士ってことは、兵士をクビになったのか。
俺が罰を与えると言ったので、兵士のままでいるのは不要と判断したのだろう。
すると、元・女兵士は俺に向かって片膝をつき頭を下げた。
よく見ると私服になっている。
スカートが可愛い。
それに、鎧を着ていた時は気づかなかったが、相当胸が大きいな。
巨乳だ。
「先ほどの元・女兵士のイノビーです! 改めまして、何卒よろしくお願い申し上げます!」
イノビーって本当に名前だったのか。
他の兵士に呼ばれていたのを聞いたとき、コードネームかなんかだと思っていた。
『い』の『B』とか、軍隊がよく使いそうなネーミングだからな。
彼女のことはよく知っておこう。いまのうちにアレを使っておくか。
「『なんでも鑑定魔法』」
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イノビー・ハイスランプ
称号:【元・王国付き兵士】【元・なりたて班長】【無職】【猫好き】【実は料理が得意】
HP 100%
MP なし
体力 【強い】
魔力 【犬の餌】
攻撃力 【強い】
防御力 【普通】
敏捷力 【強い】
※『~力』というステータスは9段階評価となります。評価の高い順から『神』『ヤベーやつ』『非常に強い』『強い』『普通』『弱い』『非常に弱い』『ナメクジ』『犬の餌』と表記されます。
――――――――――――
称号のところに、もう『元・兵士』だとか『無職』とかの文字が躍っている。
更新早いな!
「イノビーだね。これからもよろしく頼む」
「は、はい!」
俺はゆっくりとソファーから立ち上がった。
「それじゃあ、城の外まで道案内を頼む。あ、あと、可能ならでいいけど、町に行くのは初めてだから付き添いも頼む」
「はい! もちろんそのつもりでございます! 勇者様は私の命に代えましてもお守りいたします!」
相変わらずせわしない子だ。
――ふと、俺の道具袋にもぞもぞ動く物体があることに気がついた。
「誠司さ~ん! ハーレム作り順調ですね! もう2人目ですか!? 今度は巨乳の女の子! お盛んですね~!」
ロリ天使だ。
もう起きたか。
道具袋の隙間から腕だけ出してブンブン振り回している。
「……ハーレム作りとかが目的じゃないよ。あの子を助けるには近くに置いておくしかなかった……」
俺は手のひらで口元を覆い、小声でロリ天使に話しかけた。
「ふふふ……! 最初はそんな真面目なことを言っておいて、頭の中ではもう次のステップのことを考えているんですよね!? めっちゃ分かりますよ~! それ~!」
こっちは相変わらず下世話な子だな。
この卑猥な妄想へのモチベーションはどこから来るんだ?




