輝くキミを見られるのは……
太陽と月、そして地球。太陽の周りを地球が、そして地球の周りを月が廻っている。
地球は、光り輝く太陽。それに照らされた夜の月。それから、光り輝く主役のような太陽の影でひっそりと佇む昼間の月。そんな姿を知っている。
太陽は、己の光によって朝昼夕と様々な顔を見せる地球と、己の隣で自己主張することもない気弱な月の姿を。
月は、地球のすべてを、太陽の輝く姿を。
けれども、月は最も美しい、太陽に照らされた姿を太陽に見せることは出来ず。
地球は、そんな月を想い、今日もまた月に語りかける。
「僕の知ってる物語に、かぐや姫ってのがあるんだ」
「月……かぐや……ストロ「それ以上はいけない」……」
「竹から出てきたかぐや姫は、月の民のお姫様だったんだ」
「……それで?」
「彼女は大人になると月から迎えが来て、とうとう帰ってしまうのだけれど、その美しさは当時の帝さえも虜になってしまうほどだったそうなんだ」
「ふーーん」
「で、問題はここからだ。かぐや姫のそのあまりの美しさに、彼女は月の民のお姫様ではなく、月そのものが人の姿で現れた、現代語で言う月の擬人化した姿だっていう説があってね」
「説も何も、それって作り話なんじゃないの?」
「夢もロマンもないような話をしないでよ……」
「そもそも。月と地球が会話してる時点で……」
「キミは太陽君に美しい姿を見せたいわけだろ? まぁ、昼間のキミも美しいと思うけれどね」
「無視……」
「で、このかぐや姫の説のように、キミも人の姿で太陽君の前に現れればいいってわけさ!」
「まぁ、なくはないね。でもさ」
「なにさ?」
「あの大きな太陽くんの前に、小さな人間の姿をした私が現れたところで、彼は私の存在に気づいてくれるかな……?」
「あっ……」
「……もしかして、気づいてなかったの……?」
「しっ、失念していただけさ! 気づいていなかったわけじゃないよ!?」
「同じことだよ……」
それから、太陽君にも擬人化してもらえばいいと気づくまで、僕と月とで話しあったのだった。
ノリだけで書いた。ネタに困ったら加筆して連載にするかもしれない。5話くらいで。