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天 落 者  作者: 吉吉
第1章 異世界転落
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雷雲の世界

「これはーーまた…………」


 絶句するしかなかった。なにせ19階層は雷雲が立ち込める場所だったからだ。雲は低く濃い灰色で、常にゴロゴロ鳴っている。そして時折雷が落ち爆音を辺りに響かせている。

 周りは急な上り坂ばかりで、その先の一部は雷雲の中に消えてしまっている。


「これ……死ぬだろ?」


 進むためには雷雲に入るか、もしくは近づかねばならず、そうすればほぼ雷に打たれて死んでしまう。かといって、雷雲を避けていてはこの層は攻略できない。


 どうすりゃいいんだ?

 魔法で雷は防げるのか?

 それとも何か他に防御手段があるんだろうか?



 様々な疑問が湧いてくる。神が創った大迷宮である以上、攻略不可能な筈はない、と思いたい。とりあえず考えよう。



 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜



 目の前が真っ白に光り、雷鳴が轟き、雷がオレに向かってくる。だがオレに当たる前に一瞬止まり、そのまま地面へと流れていく。


「ふぅ、これならある程度は大丈夫だな」


 オレが今使っているのは、基本的な防御魔法だ。基礎魔法の中で『シェル』と言うものがあったのを思い出したのだ。これは属性の魔力で全身を包み込むもので、これで雷のエネルギーを上手く地面へと流す事に成功した。ただ、雷のエネルギーが強かった為、二重に掛けてある。最初に地属性のシェルでエネルギーを弱めて、2つ目の水属性のシェルで地面へと流すのだ。


 新しくゴーレムを創って何度か検証した結果、これが一番楽に雷雲の中を歩けることがわかった。一応他にも金属の檻を作ってその中に入りながら移動させてみたり、ストーンピラーを避雷針がわりにしみたりしたが、それだと移動が大変だったので、シェルを使う方法に落ち着いた。


 因みにこちらの世界の雷は地球よりも遅い。なんと見てから避けることが可能なのだ。どういう理屈かはわからないが、雷に魔力を感じるので、もしかしたら魔力によって雷が作られているのが原因かもしれない。




「それじゃ、行くか」


 オレは雷雲へ向かって歩き出す。


 雷雲の中は雲が濃く数m先の地面すら見えないので、慎重に歩いていく。もちろん周りの気配にも常に気を配っている。


 出てくる魔物は、雷を纏って突っ込んでくるサンダーバードや、糸に雷を纏わせて獲物を捕まえるスタンスパイダー、サンダーアローを撃ってくるサンダーフォックスなどだ。


 一番手強かったのが、雷に近い速度で突っ込んでくるライトニングウルフだ。体高は3mほどで黄色い水晶のような牙を2本と、額に曲刀のような鋭い角を1本持っている。そして角に雷を集めた上で突っ込んでくるのだ。


 魔法のシェルを2重にしていても、すれ違っただけでダメージを受け少し痺れてしまったので、『茨の庭』(ソーン・ガーデン)を使って速攻で倒した。この層の敵は触れただけで痺れてしまうので、17層の炎の魔物と同じように注意が必要だ。


 倒すと雷属性の魔石と魔晶角が手に入ったので、今度休みの時にでも研究してみよう。うまくいけば、雷属性の魔法を使えるようになるかもしれない。他には皮と肉が手に入った。



 魔物を倒しながら彷徨うこと数時間、明らかに怪しい場所を見つける。そこは崖になっているのだが、その崖の一箇所から道が続いているのだ。道幅は1mくらいで、両側が断崖絶壁になっており、その道だけが雲の中に浮かんでいるような印象だ。


 ここで魔物に襲われた場合、かなり危険だ。雲のせいで崖の下が見えないが、もし落ちたとしたら恐らく助からないだろう。


 なので、そこから立ち去りたかったのだがーー。


「この先に迷宮への入り口があるのか……」


 そう、『この先にある』という感覚が感じられたのだ。ならば、行かないわけにはいかない。念のため、体力を回復するためにハイポーションを飲み、断崖絶壁の道を進む。


 100mほど進んだところ、急に雷雲が無くなり視界が開け広い場所が現れた。断崖絶壁を渡りきったのかと思ったが、どうやら18層のイグルーと同じセーフティールームのような場所のようだ。ここでは石造りの建物があり、18層のイグルーのように煮炊きできる場所と石造りのベットが置いてあった。それ以外の場所は崖と雷雲の壁があるだけで何もない。


「また寝たらイベントが発生するのか?」


 そういや寝たら夜になって、何かイベントが起こるっていうのは、昔やったゲームにあったな。まぁ今回も何か起こるとは限らないが。


 折角なので、軽く食事をして休むことに。景気づけに黒牛の肉を食べる。炎属性と雷属性の肉はまだ確認していないが、これはこの大迷宮を攻略してから色々試してみることにした。思った以上に魔物が強いので、あまり他のことに意識を取られたくないからだ。




 しばらく仮眠をとって、外へ出る。相変わらず薄暗い。どうやらこの層には夜はないようだ。念のため、もう一度辺りを確認してみると、来た方向と反対側に雷雲に覆われた道が出来ていた。その先から複数の魔物の気配がある。それ以外には来た道しかない。


 そして、『この先に何かある』という感覚は、魔物がいる方向から感じられた。なので慎重に魔物の気配がある道を進んでいく。100mほど進んだところ、先程と同じように視界が開け、広い場所に出る。が、先ほどと違うのは魔物の姿が複数あることだ。


「リーダーだな……」


 そこにいた魔物は一番戦いたくないと思っていたライトニングウルフだった。しかも3匹のライトニングウルフと、一回り大きいリーダーの群れだ。オレは4匹のライトニングウルフと睨み合う。だが、ライトニングウルフは動く様子は全くない。


 とういう事だ? しばらく観察してみたが、やはり動く気配はない。ふと、足元を見るとまだ断崖絶壁の通路の上にいて、中に入っていなかった。


 多分ルビークイーンアントの時と同じように、この開けた場所に踏み入れなければ襲われないんだろう。いわば中ボスの部屋みたいな感じか。


 なら、油断せずに最初に有利な状況を作った方がいいな。


 オレは足を踏み入れると同時に、『茨の庭』(ソーン・ガーデン)を発動する。運良く1番先頭にいたライトニングウルフが突っ込んできたのと同時だったので、難なく1匹減らすことに成功した。そして、『茨の庭』(ソーン・ガーデン)がオレを守るようにライトニングウルフの進路を塞ぐ。


 残りのライトニングウルフは、『茨の庭』(ソーン・ガーデン)がバリケードの役割をしているので、近づいて来れない。左右は断崖絶壁なので、可能性としては『茨の庭』(ソーン・ガーデン)を飛び越えて来るくらいだろうか?


 オレは気配を頼りに、『茨の庭』(ソーン・ガーデン)の隙間からメタルバレットを撃っていく。向こうも隙間からサンダーアローやサンダージャベリンを撃ってくるので、躱したりストーンウォールを使って防いでいく。程なくして、もう1匹仕留めることに成功した。残るはリーダーともう1匹だ。


「さて、そろそろ時間だな」


 魔法庫から地属性のバレット専用の魔道具を出す。そして、『茨の庭』(ソーン・ガーデン)が消えた瞬間、魔道具を発動する。『茨の庭』(ソーン・ガーデン)に込めた魔力が無くなり、魔法が消えたのだ。


 突然消えた魔法にライトニングウルフは戸惑い反応が遅れる。そして、メタルバレットを全身に浴びて消滅する。だが、残念ながらリーダーは即座に反応して、後ろに飛び退いた。お陰で数発しか当たらなかった。


 だがこれで1対1になったので、周りを囲まれる心配はない。リーダーは『茨の庭』(ソーン・ガーデン)を警戒しているのか近づいてこない。こちらとしても掠っただけで感電しかねないから、接近戦は遠慮したい。ただそうすると遠距離から魔法の打ち合いになるのだが、お互いスピードが速いのでなかなか当たらない。


 なんとか動きを止めるか、それかあの身体に纏っている雷をなんとかできればいいんだが。魔法を撃ちながら考えているとアイデアが浮かんできた。よし!



 オレは魔法をウオーターボムに変えて乱発する。ウォーターボムは着弾すると破裂して、広範囲に水属性の攻撃が出来る魔法だ。予定通り攻撃は躱されるが、ライトニングウルフリーダーの周りの地面は水浸しになる。だが、それだけでは纏っている雷は地面へは流れなかった。


 それならとサンダーアローを躱しつつ、今度はウォーターボムを放ち、躱される直前にウォーターアローを当て爆発させる。流石にこれは躱せなかったようで、見事にライトニングウルフリーダーはずぶ濡れになった。お陰で纏っていた雷が水を伝って地面へと流れていく。


 しかし大きく吠えると身体から発する雷が強くなり、身体に着いた水が全て蒸発してしまった。そして、今の攻撃がとても不愉快だったようで、オレを睨むとそのまま突っ込んでくる。


 オレは直ぐに『茨の庭』(ソーン・ガーデン)を発動する。ライトニングウルフリーダーは読んでいたようですぐに跳んで避けようとする。が、地面に溜まっていた水が一瞬で前足にまとわりついてきて跳ぶのが遅れる。その隙が命取りになり、ライトニングウルフリーダーの身体に『茨の庭』(ソーン・ガーデン)が炸裂、消滅する。


「ふう、上手くいったか」


 先程ウォーターボムを乱発した時に、『水人形』(アクア・パペット)を何体か紛れ込ませていたのだ。『茨の庭』(ソーン・ガーデン)を使うと同時にライトニングウルフリーダーの足を『水人形』(アクア・パペット)に掴ませ動きを阻害、それによって魔法を無事に当たることができたわけだ。


「さてと……」


 オレはドロップアイテムの回収を始める。リーダーからはロングソードくらいある雷属性の魔晶角と、ショートソードサイズの魔晶牙、大きい魔石、あとは肉と毛皮だ。


 他のライトニングウルフからは魔晶角3本と魔晶牙が4本、魔晶爪は10本あり、その内2本太いのが混ざっている。あとは魔石と皮と肉だな。



 結構大変だったので、一度戻って休もうか? とも思ったが、大迷宮ではボスは何度も復活する以上、このライトニングウルフ達もまた復活するかもしれない。また戦うのは厄介なので、先へ進むことにする。



 来た道の反対側にまた同じような道が続いているので進むと小さな祠が現れる。中には階段があったので階段を下り迷宮部分へ入る。


 残念ながら宝箱の気配はない。そして17層の炎の魔物と同じように、雷を纏って光っているので魔物の居場所がわかりやすい。だが掠っただけで痺れてしまうので、なるべく遠距離から攻撃して倒して進んでいく。




「さて、この層ではどんなスキルが手に入るのか……」


 魔方陣の部屋までたどり着いたので、鑑定してみる。


 記録術

 ーー脳内で記録を管理できる 記録は人 物 事 等でそれぞれ数や情報 時間等を管理できる



 ん? これは記憶術とは違うんだよな? 名前が似てて紛らわしいが、記憶石と記録石の違いみたいなもんか。まぁ手に入れればわかるか……。オレは魔方陣の上に乗った。



 ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎


 今回は目の前にいる青年が主人公なんだろうか? とても利発そうな顔で自信に溢れており、生き生きと仕事をこなしている。あまりにも楽しそうにテキパキと仕事をしているから、少しイラッとしてしまった。オレはこんなふうに仕事は出来なかったからな。


 青年がやっている仕事は、どこかの町の商店の経理の仕事だろう。店のお金や在庫、仕入れなどの管理を1人でこなしている。


 見ていると、いつ、どこで、いくら使ったかをしっかり覚えているようで、主人の要望に合わせてすぐに帳簿を開いて渡している。それ以外にも仕入れ値や単価を過去のデータと比べて、1番安く買える所から仕入れていたり、商品の売れ方に合わせて仕入れを変えたり、定期的に大量に買ってくれる人へもミスなく完璧に対応している。


 1度覚えた情報は忘れないようで、やはり彼が記録術を持っているんだろう。


 やがてその有能さの噂を聞きつけてきた、大きな街の商店へスカウトされていく。その後、彼はその街の役所へスカウトされ、更に領主、王都、そして王宮内へと出世していった。


 だがここでいつものパターンだ。


 青年は自分の能力に絶対の自信を持っていたのだろう。そして、自分の仕事に誇りを持っていたんだろう。だから帳簿の中に、普通の人なら気がつかない不自然さを見つけてしまった。そして横領に気付いてしまう。


 青年は正義感から過去の財務書類を漁り証拠を集めて国王へと進言しようとしてーー逆に濡れ衣を着せられてしまう。


 横領の主犯は財務大臣だった。そして、その部下達も知っていて自分の私服を肥やすために協力していた。更に大臣も、そしてその部下達も貴族であった為、平民の出である青年に今の地位を脅かされることを良しとしなかった。元々平民と一緒に仕事をする事が嫌だったのもあるのかもしれない。


 結果、証拠は握り潰され、青年が横領をしたという事実を捏造され、青年は投獄されてしまう。


 数年後、その財務大臣達の横領が度を過ぎて発覚し、国王によって粛清されたが、その時既に青年は、絶望から獄中で自害してしまっていた……。



 ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎ ◻︎



「胸糞悪いな……」


 映像を見終わって、1番最初の感想だ。そうなんだよな、糞みたいな奴らは自分の為なら他人のことなんて何にも思わないんだよな。あの青年のように真面目にやっていても、結局ああいう奴らが足を引っ張るんだ……。

 そう思いながら、オレの頭の中にはアイツの顔が浮かんでくる。


 いや、アイツだけじゃない。両親、過去のクラスメイト、同僚等、過去に不愉快だった奴らの顔が頭の中によぎってくる。


 そうだ……、そうなんだよ……。結局殆どの奴らは自分の都合だけしか考えてないんだ。過去の嫌な出来事が頭の中に思い出され、フツフツと怒りが込み上げてくる。青年と過去の自分を重ね合わせてしまったというのもある。



 もちろん、中には他人を思い遣ることができる人もいるのはわかっている。わかっているがーーそれでも、そうわかっていても、この怒りはおさまりそうになかった。



 その後、通路を魔物を倒しながら進んでいくが、腹の中に熱いものが滾っているのはおさまらない。


 突っ込んでくるサンダーバードの突撃を躱してナイフで斬る。

 サンダーアローをシェルで無効化してストーンバレットでサンダーフォックスを仕留める。

 ライトニングウルフの攻撃を躱してストーンピラーで串刺しにする。



 魔物を倒して気が付いたが魔法の威力が上がっている。今まではサンダーアローをシェルだけでは完全に無効化できなかったし、ライトニングウルフの攻撃も近づいただけで少し痺れていた。しかし、それが無くなっている。


 雷属性の攻撃に慣れてきたのか? と思い確認してみるが、どうやらそうじゃないようだ。怒りによって無意識に普段より強く魔力を込め過ぎていたようだ。


 魔法は魔力を込めればその分威力が上がる。しかし、どうやらオレは自分では気付かずに魔法の威力の上限を決めてしまっていたようだ。


 おそらく、普段からあまり目立たないようにと思っていた為に、自分の魔法にリミッターを設けてしまってたんだろう。


 それが怒りの所為でリミッターが外れて、魔力を無意識に強くこめていたんだろう。そういえば、普段から魔力には余裕があるのに、全力で魔力を使う事ってあまりなかった。強いて言えば、人工の魔石と魔晶石を作った時くらいか。


 まぁ結果オーライだ。これで雷を一々気にせずに戦っていけそうだ。そういや腹の中は熱いままだが、意外と頭の中は冷静だな。力は滾っているのにそれをうまくコントロール出来ているといった感じか。こんな感覚は初めてだが、悪い感じではないな。折角だからこのままボスまで行ってしまうか。



 ボス部屋の前まで来たオレは、その扉を開けてゆっくりと中へ入る。扉が閉まると同時に雷が襲いかかってくるが、オレには当たらず地面へと流れていく。奥を見ると、巨大な紫色の蛇がこちらを睨んでいた。



 サンダーボルト・キングサーペント



 ボスの名前だ。大きさはかなりデカい。口を開いてこちらを威嚇しているが、その開いた口の大きさだけで2mはある。胴は直径1mはあり、長さは何mあるか分からないくらい長い。


 上顎から2本の太くて黄色い魔晶牙を生やしており、額からも1本の黄色い魔晶角を生やしている。皮は紫色で周りに纏っている雷の光を反射して光っている。


 巨大で凶悪な魔物なんだがーーだが、何故だろう? 不思議と全く怖くない。


 と、今度はサンダージャベリンを飛ばしてきた。これはシェルだけでは防ぎきれない。なので地属性の防御魔法のカーテンを目の前に展開、カーテンで威力を削がれたサンダージャベリンは、オレには届かなかった。


 やはり不思議だな。怖くない上に、冷静に相手の魔法の威力と対処法がわかる。なんというか、理想的な状態ーーとでも言えばいいんだろうか?


 考えていると、今度は大口を開けてこちらを呑み込もうとしてくる。なのでストーンピラーで跳んで避ける。と、急に方向転換して空中のこちらへ迫ってくる。オレは冷静に足元にストーンボムの魔法を発動、それを蹴って更に跳ぶ。


 サンダーボルト・キングサーペントはそのままの勢いでストーンボムを咥え、破裂。口の中に鋭い岩の破片が突き刺さり、声を上げてのたうち回る。


「思ったよりダメージがあったな……」


 今の攻撃で怒ったサンダーボルト・キングサーペントは今度は身体全体を使って迫ってくる。これはおそらく、巻きついて絞めあげようとしているんだろう。もし、巻きつかれてしまったら、その身に纏っている雷で痺れて身動きが出来なくなり、そのまま潰されてしまうだろう。なので、


『茨の庭』(ソーン・ガーデン)


 『茨の庭』(ソーン・ガーデン)を全方位に発動、丁度オレを囲むように迫っていたサンダーボルト・キングサーペントの体に次々に突き刺さっていく。


 そして動きを止めたサンダーボルト・キングサーペントの魔石へと跳び、フレイムピラーを圧縮した刃で魔石を両断、サンダーボルト・キングサーペントは消滅していく。


「今回は意外と苦戦しなかったな」


 おそらく怒りの所為で力が滾っていたのと、強い魔物との戦いに慣れてきたというのがあるのだろう。それに意外と冷静に状況を見る事が出来たのもあるか。この自分の状態はかなり使えるので覚えておこう。そう思いながら、出てきた宝箱へ向かう。



 まずは雷の魔晶角で出来たロングソードと、魔晶牙で出来た槍。そして魔晶牙と皮で出来た軽鎧。


 他には魔晶牙2本に魔石と肉と皮。そしてアンチドートの壺だ。相変わらず壺シリーズが出てくるな。一体壺シリーズはいくつあるんだろうか? まぁ、あって困るものではないし、何よりここまで出たんなら全て集めたくなってくるな。


 昔ゲームで全ての武器や防具、アイテムを集めるのが好きだったから、そういう部分は昔から変わってないんだろう。そういや、一緒に出てくる武器や防具はバラバラだが、これも全種類あるんだろうか?


 それぞれ固有の武器が決まってるのかと思ったが、炎と雷の属性でロングソードが出たからな。もしかしたら武器や防具も種類があるのかもしれない。時間があればそれを集めてみるのも面白いか。


 そんなことを考えながら、オレは階段を下りていった。




お読みいただきありがとうございます。

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