魔法陣の意味
「さて、いくか」
16層に降りてきて3日目、オレは出発する事にした。結局初日だけでは考えがまとまらず、2日目をまるまる使って、考えをまとめて魔道具作りに力をそそいだ。とりあえずこれで試して、ダメならまた考えよう。
まずはリベンジ、初日に戦ったアイアンベアーリーダーと戦ってみる事に。まぁ復活しているかどうかわからないので、もし居たら、の話だが。
坑道のような横穴にたどり着き、気配を探る。ん、気配はある。道中の魔物の気配と奥に強い魔物の気配だ。あとはこの気配が、アイアンベアーリーダーであればいいんだが。大迷宮の仕様を全て把握してるわけではないので、もしかしたら別の強い魔物になっている可能性も0ではない。
前回同様、道中はメタルバレットで倒していき、最奥を目指す。そこに居たのは
「よし、アイアンベアーリーダーだ」
アイアンベアーリーダーはこちらに気がつくと、雄叫びを上げ威嚇しながら近づいてくる。相変わらず動きはそんなに早くない。まずはストーンピラーを複数放ち少し動きを少し止める。ストーンピラーに囲まれたアイアンベアーリーダーはもがいているが、腕の付け根あたりを押さえられているので、うまく爪で破壊できない。
その隙に近づき、魔道具から魔石に向かって魔法を放つ。放った魔法は水属性、ウォーターピラーを元にし、それを1mm以下の極細の水流にして放つ。魔法によるウォーターカッターだ。水圧も高くしてるので威力はかなり高く、1秒ほどで魔石と身体を貫通する。そしてアイアンベアーリーダーは倒れ消滅する。どうやら小さくても、魔石にダメージが入ると倒せるようだ。
うん、なかなか良い威力が出たな。まぁ欠点としては、距離が離れるほど水流が霧散してしまうので、至近距離じゃないと威力が出ないというところだが。1〜2mくらいが限度だろう。だが、メタルバレットが効かない魔物に効果があることはわかった。
とりあえずこの魔道具は使えるな。さて、ドロップアイテムを回収して攻略を進めるか。今回のドロップアイテムはーー初日と同じアイテムに加えて、アイアンベアーリーダーの肉がドロップしていた。そういや魔道具作りに熱中していた所為で、一昨日ドロップした普通のアイアンベアーの肉を食べ忘れていた。熊肉は食べたことはないが、地球では癖があるって聞いたことがある。とりあえず鑑定してみると
アイアンベアーリーダーの肉
ーー硬さが常に変わらない肉
また中途半端な説明だな。まぁ美味いとか不味いとか、個人の好みによって変わる説明がつくよりはいいけど。とりあえず硬さが変わらないということは、焼いても変わらないし、冷めても変わらないってことで良いんだよな? 肉によっては焼きすぎると硬くなったり、焼いた後冷めたら硬くなったりするからな。まぁ今晩試しに食べてみるか。
その後攻略を進めていってわかったが、やはりこの層は鉱山のようだ。あちらこちらに坑道があり、その中に地属性の魔物がいる。ただ中には、木で補強されていない坑道もあり、そこは他より崩れやすそうなので、注意が必要だろう。
魔物も金属や鉱物に関係するものが出てきて、シルバーモールは銀の体毛を持つモグラで、ミスリルタートルは甲羅がミスリルで出来た陸亀だった。ドロップアイテムは銀の毛皮とミスリルのインゴットだ。ミスリルは魔道具を作るのに使えるから有難い。
他にもゴーレム粘土を使ったものとは違う、ロックゴーレムやアイアンゴーレムも出てきた。ロックゴーレムは岩の塊が動いており、倒すと魔力を通しやすい魔力岩を落とした。アイアンゴーレムはこちらも鉄の塊が動いていて、倒すと鉄塊を落とした。普通の冒険者だったら鉄塊を手に入れても持ち帰らないんじゃないだろうか?
そんな感じで進んでいき、途中で気になる坑道を発見。オレが気になるということはそういうことだろう。中は木で補強されていない形の坑道で、奥にはかなりの魔物の気配と1つの強い魔物の気配がある。進んでいくと数匹のアリが出てくる。蟻と言っても大きさは1m以上あるのだが、魔霧の森の蟻よりも小さいのでそこまで怖くはない。
鑑定するとジュエルアントと出てくる。よくみるとそれぞれ色が違うようだ。いや、色が違うというより、違う色の鉱物が身体から生えていると言った方がいいか。透明だったり赤黒かったり紫だったりしている。
サクッと倒したいが、魔石が胸に下向きについているので狙いづらい。なので今回はメタルバレットで頭を粉砕していく。倒すと地属性の魔石の他に、それぞれ身体から生やしていた鉱物をドロップする。
鑑定すると、水晶やガーネット、アメシストなど宝石の名前が出てくる。大きさは全部オレの手のひらより大きい六角柱の形をしている。おかしいな? 宝石は全て六角柱の形じゃなかったはずだが……。まぁ地球じゃないしいいか。
というか、宝石は需要はあるのだろうか? 魔石の方が魔法を補助したり、魔道具として身を守ったりできるから、便利だと思うんだが。
さらに奥に進むと、ウジャウジャ出てくる。まぁ蟻だしな。と言うわけで、ここで以前に作って出番の無かった魔道具を、昨日改造したものを出す。
使える魔法はストーンバレットとメタルバレットのみ。それ以外の魔法は使えないが、魔法を限定することによって消費魔力の低減と魔法の発動速度を上げている。
自作の地属性の魔晶石を使っていて、弾速、弾数、そして弾の大きさを調整できるようにしており、さらにそれを連射も出来るように改良した20cmほどの短杖だ。メタルバレットを連射する場合はなかなか魔力を消費するが、それでも大量の魔物を相手にするときはかなり役に立つ。
それを向かってくるジュエルアントに向かって乱射する。流石に全身穴だらけになるので、アイテムをドロップしない個体もいるが、それでも100匹以上倒して50個くらいは宝石がドロップしている。他にもジュエルアントの外骨格の一部がドロップしている。形的に腹の部分だ。ここが一番大きく加工し易いのだろう。
やがて、ジュエルアントの襲撃が収まったので、宝石と腹の部分を回収して奥へ進む。
その後は蟻たちの襲撃はなく、1番奥と思われる場所に到着する。そこは広い空間になっており、そこにいたのは5匹の2mほどの蟻に守られた、5mはありそうな巨大な蟻だった。恐らくあれは女王蟻で周りにいるのが兵隊蟻だろう。
と、いきなり5匹の兵隊蟻が口から液体を放出してくる。咄嗟に後ろへ跳んで躱すと、液体がかかった地面が煙を上げて溶けていく。たしかーー蟻酸だったか。あれは受けると不味いな。見ると蟻たちはギチギチ顎を打ち鳴らしているが、動こうとはしない。よく見ると、後ろに跳んだせいでオレは部屋から出て通路に立っていた。
警戒しながら動き、部屋の中へ一歩踏み入れると、また蟻酸を飛ばしてくる。来ることが分かっていたので、今度は余裕で躱す。どうやら部屋の中に入ると襲ってくるようだ。この飛ばしてくる蟻酸は岩以外も溶かすのだろうか? 念のため床を溶かしている蟻酸を鑑定してみると、
ジュエルアントの蟻酸
ーー生物、鉱物問わず溶かす ジュエルアント自身は溶けない 麻痺毒が含まれる
ゲッ! 麻痺毒かよ。と言うことは、蟻酸がかかった時点ですぐに対応しないとヤバイ。装備や服を溶かし、皮膚を溶かした時点で血管に入ってしまうだろうから、そうなると麻痺して動けなくなる可能性がある。まだ即効性の毒じゃなきゃ大丈夫かもしれないが、用心する事に越したことはない。
もしかしたらさっきドロップした外骨格は、これで防具を作って蟻酸を無効化しろってことなのかもしれない。まぁ力押しでなんとかなると思うが。というわけで、一気に通路から部屋の中へ入り、同時に5匹の兵隊蟻に向かってウォーターバレットを放つ。もちろん口を狙ったので蟻酸は飛ばせない。そして一気に近づくと5匹まとめてストーンピラーで顎をカチ上げる。魔石が露わになったところでメタルバレット。これで残るは女王蟻だけだ。
だが女王蟻はガチガチギチギチ顎を鳴らすだけで何もしてこない。何かあるのか?
暫くしても何もしてこないので、何か分かるかと鑑定をしてみる。
ルビークイーンアント
やはり名前しか出てこないか。しかし何なんだろうか? もしかして卵を産むことしかできず、動くことも出来ないのか? だとしたらやりづらいな。魔物でも無抵抗のヤツを倒すのは少し気がひける。
ーーが、多分この奥なんだよな、迷宮部分への入り口は。
仕方がない。オレは祈るような形で軽く手を合わせてから、ルビークイーンアントの魔石へメタルバレットを撃つ。メタルバレットは弾かれることもなく、魔石を破壊しそしてルビークイーンアントは消滅する。後には大きい地属性の魔石とルビークイーンアントの腹の部分の外骨格、そしてオレの太ももくらいのサイズがある六角柱の赤い宝石がドロップしている。多分ルビーだろう。
ルビークイーンアントは、防御力も無かったようだ。そして、ルビークイーンアントが消えたあとには、下へ向かう階段があった。なのでドロップアイテムを回収して階段を降りる。
階段を下りた先は、思った通りに迷宮部分だった。が、魔法陣の気配はあるのに、ボス部屋の気配がない。どういうことだ? もしかして、迷宮部分への入り口は他にもあって、ここは魔法陣のある場所への入り口だったんだろうか? だとしたら面倒だな。だが最初にボス部屋のある場所にあたって、そのあと魔法陣を探すよりは良かったか。
進むと相変わらず地上部分の魔物が出てくるが、対処法は分かっているので、サクサク倒していく。ドロップアイテムは魔物の素材が大半だが、たまにエクストラポーションやマジックポーション、ハイマジックポーションを落としていくので、キチンと回収していく。
そして魔法陣のある場所へ。いつも通りに鑑定してみると、
制限魔法ーー人と物、物と物との間に制限をかけたり解除したりすることが出来る
と出てくる。これは、契約魔法みたいなものか? 対象が人と人だったのが、物にもかけられるようになっただけだろう。とりあえず、魔法陣に入るか。
「ウッ」
魔法陣に入ると急に視界がブラックアウトし、意識が飛びそうになる。それに耐えていると、頭の中に何か映像のようなものが浮かんでくる。
これは、他の国なのだろうか? どこかの街の大通りが写っている。服装はこの国で見たこともない服を来ているが、かなり高価そうだ。大通りを歩く人たちは皆笑顔で楽しそうだ。そして全員が左の手首に金属のプレートみたいなものを腕時計のようにつけている。そんな人の流れを眺めていると、ゆっくりと視界がぼやけていき、やがて宮殿のような場所へと場面は変わった。
その宮殿のような場所の入り口で、やって来た人が左腕を扉にかざす。すると勝手に扉は開いていく。そして、その人が通った後は扉はひとりでに閉まる。
また場面は変わり、パーティー会場のような場所になる。そこでは同じように、左腕をかざすと飲み物が出てくる蛇口があったり、左腕をかざすと蓋が開き、暖かい料理が取り出せるような鍋もあった。きっと左腕のプレートがIDカードのような役割を持っていて、それを持っている人だけが、この場所を利用出来るのだろう。
なるほど、今回のこの現象はこの制限魔法の使い方を教えてくれるものだったのか。こういう使い方が出来るのだったら、かなり便利そうだな。
そう思っていると、今度は街の外のような場所へと視界が変わる。そこでは、10m以上ありそうな街の塀に寄りかかり、今にも生き絶えそうな人々が写っている。ボロボロの服を着て、肋骨も見えている。
と、遠くから馬車がこの街に向かって来た。ボロボロの人々は、その馬車に群がろうとしているが、どういうわけか、石畳の道の中へ入れないでいる。そのまま馬車は通り過ぎ、門の前で御者が左手をかざすと門は開き馬車は街の中へと入っていく。
あとには打ちひしがれた、ボロボロの人たちが残されただけだ。
「なんなんなだ、これはっ」
つい、声が出てしまった。。いきなり意味の分からない映像を見せられて、少し戸惑ってしまう。なんでこんなものを見せられなきゃいけないんだ?
暫く考えていると突然爆音が響き、街の壁が破壊される。そして、そこに群がる普通の服を着た人々。クーデターか何かだろうか? たが、普通の服を着ているだけで、鎧や武器は持っていない。その代わりに鍬や、農業用の大きなフォークをもっており、街の中へ突入していく。
そして場面が街中に移り、慌てて逃げ惑う高価な服を着た人々を、普通の服を着て農具を持っている人々が殺害していく様子が映る。
気分が悪い。不愉快だ。直接頭の中に映像が流し込まれているので、見たくないのに見えてしまう。
視界が宮殿のような場所に場面が移り、農具を持った人々が扉を壊そうとしている様子が映る。が、扉はビクともしない。だが、それが最初からわかっていたのか、すぐに扉の横の壁を破壊し始める。魔法を使える者もいるようで、すぐに壁は破壊され、人々が宮殿の中になだれ込む。そして中の人を殺害。食料などを漁っている。
街では他にも食料庫も襲われていたようで、同じく壁が破壊され、人々が街の外へ食料を運んでいく。街の外には馬車が何台も到着しており、食料と、そして予想外だったが街の外にいたボロボロの人たちも一緒に運んでいく。
やがて、街には生きている人も食料も無くなり、火が放たれる。火は街をあっという間に焼き尽くし、建物や壁は崩れ、あとには街の門や宮殿の扉、そして家々のドアだけが不気味に立っている廃墟になっていた。
そして、そこで頭に流れ込んできた映像は途切れる……。
………………
…………
……
目を開けると、すぐ目の前に地面があった。どうやら倒れていたらしい。身体を確認してみるが、どこか打ったとか怪我をしたとかは無いようだ。身体は大丈夫なようだ。
ーーそう、身体は。
だが、心の中ではさまざまな感情が渦巻いていた。不愉快さと苛立ち、疑問……。何故あんな映像を見せられたのか。盗賊を殺した時に、人を殺すことに躊躇いは無くなっていたが、それでも目の前で意味も分からず多くの人が殺されていくのを見て、何も感じない訳ではない。
何の為にこんな事をーー、と考えていると魔法陣が光り出し、オレの中に光が入ってくる。これで制限魔法というものが使えるようになったんだろう。
この魔法を使えば立ち入り制限を行なったり、魔道具をオレ以外の人が使えないようにしたり出来るだろう。うまく使えばかなり便利な魔法だ。
そう、かなり便利な魔法なんだ。
…………
だが、だがオレは、さっきの映像の所為だろう。この魔法を使いたいとは思えなかった。
その後のことはあまりはっきり覚えていない。不愉快な感情だけが胸の中を占めており、出てくる魔物に対して八つ当たり気味に魔法を放ち、瞬殺していく。
我に返ったのは、偶然下への階段を見つけた時だった。
このまま感情に振り回されていてはいけない。そう思いながらもやはり割り切れない部分はある。目の前に神がいたら問い詰めたい気分だ。
そういえば1層の魔法陣では神が問いかけてきたな。また魔法陣のところは行ったら話せるだろうか? と、あの時の会話を思い出す。
『もし我と話をしたければ、最下層まで来るが良い。異なる世界より落ちて来し者よ!』
って言ってたか。さて、どうする……。
オレは迷った。15層攻略でとても面倒くさい事になったから、今回は19層辺りで攻略を止めようと思ってたんだが……。もし20層を攻略してそれがギルドに知れた場合、おそらく今回よりもっと面倒な事になるだろう。
たが、なんのためにあんな映像を見せたのかも気になるし、理由によっては神に文句をつけてやりたい。
散々迷い、考えた結果、オレは最下層を目指す事にした。やはりここで確認しておかないと、ずっとモヤモヤした気持ちでいなければならないからだ。
ギルドカードには到達した階層が記されるので、念のため魔法庫へ仕舞い、地上へ戻る時も全力で気配を消していく事にした。
そして最下層だが、おそらく20層だろうと予測をつける。入り口の部屋にある転移用の水晶が3つしかなく、それぞれ6層、11層、16層に繋がっているので、21層以上あるのであればもう一つ水晶があっても良いはずだ。だが水晶は3つしかないので、この大迷宮の仕様から考えて20層で終わりだろう。
と言うわけで、オレは改めて気合を入れ直し、大迷宮を攻略する事にした。まず目の前の階段を下り気配を探す。魔物とボス部屋と宝箱の気配を察知。最下層を目指す事にしたが、宝箱を無視するつもりはないので、魔物を倒しつつまずは宝箱の場所へ。
中身はアンチドート、つまり解毒剤だ。毒を消してくれる物で、聖水よりも強い毒に対して効果がある。ただ、効果があるのは毒に対してだけなので、聖水のようにほかの身体の異常に対しては効果が無い。
例えば石化や眠り、混乱や錯乱などは聖水を掛けたり飲んだりすれば落ち着くが、アンチドートではどうにもならない、という具合だ。逆に強い神経毒や出血毒、麻痺毒には効果があり、聖水では手に負えないものでも解毒してくれる。
この事は、この前ギルドの本を読み漁っていた時に知ったのだが、パラライズサーペントの毒ぐらいなら聖水で対応できる。
要は強い毒ならアンチドート、弱い毒やその他の身体の異常には聖水、と言った感じだろうか。あって困らない、と言うよりあると大分安心して探索ができるアイテムだ。それが宝箱の中に12本入っている。
このアンチドートは結構高額で、聖水の方が値段が少し安い。そして、需要も聖水の方が高い。おそらく様々な異常に対応できるからなのだろうが、どちらもいい値段がするのでそれらを買えない冒険者は、ポーションなどで回復して誤魔化しつつ、街の治癒院などで魔法で治療してもらうそうだ。
手に入れたアンチドートを仕舞い魔物を倒しつつボス部屋へ向かう。ボス部屋に入り扉を閉めると出てきたのは、
グランドタートル
と言う名前の、文字通り亀の魔物だ。甲羅の大きさは高さは5m、幅は10mくらいだろか? 甲羅のいたるところに茶色い水晶のようなものが生えていて、甲羅の天辺辺りは甲羅そのものが茶色い水晶で出来ているようだ。それが1匹だけ出てきた。魔石自体は首の付け根に見えているので、とりあえずメタルバレットを撃ってみる。
たが、魔石に当たるよりかなり前にメタルバレットは消滅してしまった。消滅? そう消滅だ。メタルバレットが当たる前に消えてしまったのだ。それならと今度は『茨の庭』を放つ。範囲はグランドタートルを覆うくらいはあるのだが、やはりグランドタートルの1〜2mくらい前で『茨の庭』も消滅してしまう。
これは、魔法の無効化か? なら全ての魔法がダメなのか、それとも地属性がダメなのか確認してみる必要がある。幸いグランドタートルはこちらに興味が無いのか、全く動こうとしない。
まずはファイアバレット。威力は下げてイタズラに刺激しないようにする。うん、通る。ウォーターバレットもウインドバレットも通る。やはり地属性だけが通らないようだ。ならばこの新しい魔道具でーー。
オレは魔道具の腕輪をはめて、魔力を込める。そして、発動する。
「 『氷柱の庭』!」
『茨の庭』の氷属性バージョンだ。オレの足元から伸びた氷の柱は、どんどん別れていきグランドタートルを覆いながらその首に足に刺さっていく。流石に甲羅にはダメージを与えられていないが、よほど驚いたのか、雄叫びを上げながら足を動かし、 『氷柱の庭』を踏み潰していく。が、首を甲羅へしまう様子はない。しまうのを忘れているのか、それともしまえない構造なのか。しかし効いてはいるが、これだけでは倒せなさそうだ。
なら動揺している今がチャンスだ。ストーンピラーで一気に首の付け根に近づき、別の魔道具を発動する。魔道具自体は短杖で先端に炎属性の人工魔晶石を使っている。使える魔法はフレイムピラーのみ。ただ、そのフレイムピラーを圧縮して薄い刃のようにしている。圧縮した分、温度も普通のフレイムピラーよりも数倍高くなっており、その熱で敵を焼き斬る魔道具だ。それをグランドタートルの魔石に突き刺し、そのまま動かして魔石を斬る。
グランドタートルはすぐに動かなくなり消滅する。そして宝箱が現れる。今回は時間がかかったから、ボス戦は1回だけだったか。まぁしょうがない。時間がある時にまた再戦すればいいか。なので宝箱を開けてみる。
中にはまず、斧と盾、そして胸当て、肩、肘、膝用のプロテクターが入っている。これらは全てグランドタートルの甲羅の茶色い水晶が使われていて、効果を見ると地属性の魔法を無効化してくれるようだ。つまり全て装備していれば、地属性相手だとかなり有利に戦えると言うことだ。
あとはグランドタートルの肉が100kgと地属性のかなり大きな魔石、そして壺シリーズがまた入っていた。今回は、砂魔ガラスの壺で、壺に一定以上魔力を込めると、砂状の魔ガラスを生み出すと言うものだ。この魔ガラスだが、多分普通のガラスより高価で強いんだろう。だが情報がないので、地上に戻ったら確認してみる事にした。
宝箱のアイテムを確認し終わったので全てしまう。そしてオレは、神の元を目指して17層へと下りていった。
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