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天 落 者  作者: 吉吉
第1章 異世界転落
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予想外の展開


前回と同じ岩山の頂上で1泊してから、探索に乗り出す。まずは魔法陣とボス部屋を見つけないと。オレは気配を探してみるが……


「ん? なんだ、気配が無いぞ?」


魔法陣とボス部屋の気配が見つからない。今まではすぐにどこにあるのかわかっていたのに……。

今度はもっと神経を尖らせて探してみるが、全く感じられない。魔物や他の冒険者の気配はわかるのにだ。


確かオレが持っているのは『迷宮適応』というスキルだった。ということは、この場所は迷宮とは違う場所として認識されているのだろうか? だとしたらしょうがない。それならシラミ潰しに探していくか。


岩山の周りは全て草原で、特に何かある様には見えないのでオレは目の前の道をまっすぐ進んだ所にある森へと向かった。




「これは、思ったよりキモいな」


目の前には魔物のトレントが群生している。森の中を真っ直ぐ進んでいると魔物の集団の気配があったので来てみたところ、トレントの群れがいたのだ。数は20を超えているだろうか? そのトレントの群れががウネウネと森の中を動いているのだ。見ていて気持ちが悪い。


トレント自体は単体ならさほど強くないらしく、倒した後の木は魔力を伝えやすい木材として重宝されていて、主に杖や魔道具に使われているそうだ。まぁオレ的には群れていてもあまり関係ないのでサクッと倒していく。いつもの如く魔石を破壊すると、魔石とトレントの木材をドロップしたので回収する。魔石を破壊したのに魔石が手に入るとはなかなか変わっている。


その後、ゴブリンの群れを倒したのだが、ドロップしたのは普通の魔石だった。他にもフォレストウルフを倒すと魔石と肉をドロップし、ウインドバードを倒した際は風の魔石と肉と羽をドロップした。


どうやらこの層は、倒した魔物の素材をドロップする様だ。地上と違うのは、一々解体しなくていいことと、骨など他にも使える可能性のある素材が手に入らない事だろうか。


そのまま森を探索しつつ進んで行くと川があり、川辺に1m程のトカゲがいる。鑑定すると、ウォーターリザードと言うらしい。倒すと水の魔石と肉をドロップした。


そして2時間ぐらい森を探索したところで、やっと森が終わった。そして、森の先は綿花畑だった。


「これは、取っても良いのか?」


試しに1つ取って鑑定してみる


綿花

ーー綿が取れる 糸にもなる 品質 良


鑑定できると言うことは、持って帰れるってことだよな? なので、1時間かけて10kg程度収穫してみた。そういえば昔TVでみたが、綿は乾燥させて種を取らなきゃいけないんだったっけ。まぁ後でゴーレムにやって貰えばいいか。


綿花畑を後にして進んで行くと、今度は果樹園の様な場所に出た。果樹園と言っても乱雑に木が生えていて、所々に果物がなっていると言った感じだが。


こちらも持って帰れそうなので、林檎と桃、梨を20個ずつ収穫する。そして辺りの風景がまた草原になり、歩くこと2時間、遠くに岩山が見えてくる。この層に降りてきた時と同じような岩山だ。


「やっとボス部屋か……」


意外と時間がかかったな。オレは岩山へと向かう。が、岩山には入り口が見当たらない。調べてみると、オレが来た方向と逆側に入り口があり、入り口の脇にはどこかで見た様な西洋の神殿の様な柱が立っている。


嫌な予感がする……。


恐る恐る中へ入ると、そこには予想通り上り階段があった。


「はぁ」


思わずため息が出てしまう。この層は無限ループになっていると言うことか。

いや、今回はほぼ真っ直ぐに進んだだけだから無限ループと決まった訳じゃない。なら今度は横に進んでみるか。


森の前まで行き、左右に分かれている道を左に進んでみる。右手にはずっと森が続いており、左手には草原が続いている。偶に道端にラズベリーやブルーベリーがなっていたので、収穫していく。グラスボアも出てきたが、すぐに倒し魔石と肉と毛皮をゲットした。


そして、4時間程歩いただろうか? 道の先に左へ向かう分かれ道が現れ、その先に岩山が現れた。当然岩山の麓に入り口があり、上り階段がある。


んー、どうしたらいいんだーーと、そういや他の冒険者達には合わなかったな。確か3組いたはずだが……。気配を探してみると、3組共森の中を探索している様だ。と言うことは、森の中にボス部屋があるのか? いや、その可能性の方が高いか。オレは森の中を詳しく探索してみる事にした。


他の冒険者達を避けつつ、森の中を探索していく。が、特に何も見つからない。魔物のドロップ品だけが増えていくだけだ。木々が生い茂っていて見通しが良くないので、探索が思うように行かない。なので何か見つからないかと、ストーンピラーで上へ飛んで辺りを見渡してみる。


すると一本だけ周りの木より背の高い木が目に付いた。近くには冒険者達の気配もある。他に行く当てもないので、そちらへと向かってみるが……。


「冒険者達の気配が消えた?」


近くにあった冒険者達の気配が突然消えたのだ。と言うことは次の層へ行ったのか、もしくは魔物にやられたのか……。


木の近くへたどり着いたが、特に変わった様子はない。冒険者達の死体も無いので、魔物に襲われた訳ではない様だ。改めて、背の高い木を観察してみる。はっきり言って、見分けがつかない。木の太さや枝などは殆ど周りの木と同じだ。上から見ない限り、この木だけ背が高いとは気づかないだろう。


次に根元を見てみるが、特に変わった様子はない。ぐるっと回って観察してみると、一箇所だけ根が少し浮き上がっており、その下に空洞が出来ていた。


「ここしかないよな」


気配を消しながら中へと入っていく。入り口は人が1人やっと通れる程だったが、中へ入ると少しずつ広くなっていき、そして地下への階段が見えてくる。気配を消し、周りの気配を意識しながら降りていくと、通路の様な場所へとたどり着いた。


「ここは、迷宮なのか?」


冒険者達の気配もするし、宝箱の気配もある。何より魔法陣とボスの気配があることで決定だろう。


しかし、大迷宮の中に地上の世界を作り、さらにその中に迷宮を作るって、どんだけ面倒な作りをしているんだろう。何か意図があるのか、それとも神様の気まぐれなのか……。


まぁ、気にしてもしょうがないか。とりあえず宝箱を先に回収しよう。と、思っていたのだが、どうやら先に他の冒険者達が宝箱の部屋へたどり着いた様だ。


「まぁこういう時もあるか」


宝箱を諦め、魔法陣の方へ向かおうとした時、強い魔物の気配が現れる。場所は宝箱のすぐ近く。もしかしてまた黒いミノタウロスか? 慌てて宝箱の部屋へと向かうと、そこには冒険者達を襲っている黒いミノタウロスと牙を生やした宝箱の姿があった。


「アレはミミックか?」


昔やったゲームにそんな魔物が出てきたな。恐らく、冒険者達が宝箱を開けたらミミックで、そして黒いミノタウロスも出てきて挟み撃ちになった感じだろうか?


冒険者達は5人。重装備で大きな盾を持っている戦士がミミックを1人で抑えていて、他の4人が黒いミノタウロスを相手どっている。ミミックは盾が大きすぎて上手く嚙み付けないようで、黒いミノタウロスも動きが遅いため、攻撃が当たらずダメージを蓄積させている。


やがて黒いミノタウロスが倒れ肉と斧がドロップする。遠くから鑑定してみると、茶牛のヒレ肉とパワーアックスと出てくる。黒いミノタウロスなのに茶牛の肉が出るのか。そんな事を考えていると、冒険者達はミミックを相手にせず、肉だけを回収して部屋から出てくる。盾を持った戦士も少しずつ後退しながら部屋から出てくる。


「危なかったぁ〜」

「流石に挟み撃ちはないわ」

「ミミックは相手にするだけ無駄だしな」

「あぁ、途中何回か攻撃してみたが、やっぱり全然ダメージが入らなかった」

「まあ、誰も死ななかったから良しとしよう。せっかく肉が手に入ったんだから、どっかで食って休もうぜ」

「ああ、そうだな」


そう言って冒険者は去っていった。ミミックは放置しても良いのかと思ったが、どうやら部屋からは出られない様だ。部屋の入り口で口を開けたり閉めたりして威嚇をしている。斧を置いていったのはアイテムバッグに余裕が無いからだろうか?


冒険者達が大分離れたのを見計らって、オレは部屋の入り口に立つ。ミミックは部屋の入り口で大人しくしている。まずは鑑定だ。


ミミックボックス

ーー箱状の物に瘴気と魔力が溜まり魔物化したもの。稀に人工的に作られたものもある


瘴気? 初めて聞く言葉だな。魔力とは違うんだろうか? あと、ミミックは魔物なんだな。宝箱が魔物化したって事は、中に入っていたお宝はどうなってるんだろうか? まだ中にお宝が残っているのなら、宝箱を壊し過ぎたらマズいかもしれない。


とりあえず様子見でストーンバレットを普通に放ってみる。が、普通に弾かれてしまう。攻撃を受けたミミックがまた威嚇し出すが、構わず今度はナイフで斬りかかる。が、軽く跡が付くだけで宝箱は壊れない。やはりお宝をしまっているだけあって、かなり頑丈に作られているのだろう。だから冒険者達はミミックを倒すのをやめたのか。


確かに長時間大迷宮に潜るのなら、無駄な労力は減らした方が良いに決まっている。簡単に倒すのなら魔物の魔石を狙えば早いんだろうが、宝箱の中だからな。

それなら……。


宝箱を固定するようにストーンピラーで囲む。そして近づき口を大きく開けた瞬間に、つっかえ棒の様にストーンピラーで口を閉められない様にする。あとは中を覗いて魔石を見つけて破壊すれば終了だ。


倒すと保存バッグと言うアイテムをドロップした。が、宝箱はそのままだ。と言う事は、宝箱の中身もあると言う事だろう。慎重に開けてみると、中にはエクストラポーション×10 が入っていた。両方鑑定してみる。


保存バッグ 2/5

ーー入れたものの時間を止め保存できる 容量0.064㎥


エクストラポーション

ーー最高級の回復薬 傷にかければ外傷を治癒し、飲めば疲労回復と治癒力が向上する



保存バッグはアイテムバッグと同じような形状で、魔法庫みたいに時間が止まる機能があるが、容量はアイテムバッグより劣っている。0.064㎥という事は1辺40cmの箱と同じ容量って事だ。


エクストラポーションはポーション、ハイポーションより上位の回復薬で、体力や傷の回復力がかなり早いらしい。これより上の回復薬はエリクシールかハーフエリクシールぐらいしかないそうだ。まぁ、オレも本で読んだ知識しかないから正確なところは分からないが。


さて、なかなか良いアイテムが手に入った。あとは、冒険者達が置いていったパワーアックスをついでに貰って、隠し部屋を見つけるか。


実は最初に感じた宝箱の気配はまだある。どうやらミミックからは宝箱の気配も魔物の気配も感じられないようで、さっき感じた魔物の気配も黒いミノタウロスのものだった。ミミックからは良いアイテムが手に入ったから、なんとか気配を見つけられるようになりたいものだが……。


まぁ、出来ないものは仕方がない。とりあえず宝箱を見つけよう。ざっと部屋を見渡すと、一箇所だけ色が違う床がある。大きさ的にミミックと同じサイズなので、ここに置いてあったんだろう。魔力の反応はないがなんか気になる。調べてみると、床のタイルが外せるようになっていて、外すとそこに階段が現れる。これは5層にあったヤツに似ているな。魔力によって開くものではないので、魔力反応で気づけないものだ。こういうものも気をつけていかないといけないんだな。


階段を1mほど降り、狭い通路をしゃがみながら進んでいくと、こじんまりとした部屋の中に宝箱があった。中にはアイテムバッグと同じような素材で、同じような透明な魔石がついた背負いカバンが入っている。鑑定すると、


アイテムリュック

ーー物をかなり沢山収納できるリュック 容量1000㎥


おっ、かなり良いものが出てきたな。これはアイテムバッグの上位互換と言う事だろうか。容量は1辺10mの空間と同じということか。確実に家一軒入るな。レベルが無いところをみると、これが最大容量なのだろう。

これなら生誕祭のイベントに出しても注目を集める筈だ。さて、それじゃあ次は魔法陣へと向かうとするか。


通路を歩いていると、魔物が襲ってくる。出てくる魔物は、この層の地上部分と同じ魔物だ。ゴブリンにトレントにフォレストウルフなどなど。地上部分と違うのは、倒すと素材の他にハイポーションや鑑定石などのアイテムも落とすというところだ。地上部分は実際の地上の仕様に近く、地下は迷宮と同じ仕様のようだ。


魔法陣の部屋の近くまで来たので、罠や魔力反応に注意していたのだが、部屋はあっけなく見つかってしまった。と言うより、近くまで来たら勝手に壁が開いて部屋への通路が現れたのだ。条件はわからないが、きっとなにかのスキルを持っていれば開くようになっていたのだろう。


ここで手に入ったのは、



契約魔法

ーー人と人の間に魔法による契約を施す。契約は守るべき事と、守られなかった際のリスクを決めることが出来る。また、契約には双方の合意が必要。



つまり人と契約する時に守るべき条件と、条件を破った時の罰を決めることができるということか。まぁ商売では契約なんかはあるだろうから、商売の大迷宮らしいスキルだな。使う機会があるかはわからんが……。


あ、でも嘘をついたら死ぬとかいう契約をすれば、情報を引き出しやすいか? でも双方の合意が必要だから、簡単に合意する奴はいないか。まぁ、そのうちいい使い方を思いつくだろ。とりあえずボスを倒して次の層へ向かおう。


ボス部屋へ入ると、いつもの如く魔物が実体化していく。出てきたのは初めて見る魔物で、数は20匹。鑑定すると、


ウインドウルフ

ーー風の魔力が強くなったウルフが進化した魔物。飛び道具や弱い魔法を防ぐ風を纏っている。


これがウインドウルフか。胸の魔石とは別に、額にも緑色の魔石のようなものが付いている。そして、ウインドバードやハリケーンイーグルのように風が体から吹き出しているのがわかる。

その中に1匹だけ一回り大きく、額の魔石のようなものがツノのように伸びている個体がいる。どうやらリーダーのようだ。


ギルドで魔物を調べていた時に見た情報だと、ウインドウルフは飛び道具がほとんど効かないので、直接攻撃が有効って書いてあったな。あとは牙や爪の攻撃も強いが、それ以上に風を纏った体当たりが危険だとも書いてあった。


まぁ、改良した魔道具の実験をするつもりだからまともに戦うつもりは無いんだが……。オレは魔力を最大まで貯めた魔晶石で作った、腕輪を取り出してはめる。そして、


「茨の庭」(ソーンガーデン)


一瞬で目の前は枝分かれしたストーンピラーで覆われ、ウインドウルフ達は消滅する。これはーー思った以上に強力になっている。発動スピードが2〜3倍になってるし、範囲も広がっている。消費魔力は1/5くらいだろうか? これは少し調整しないとダメだな。人がいるところで使うと被害が大きくなりそうだ。


茨の庭(ソーンガーデン)を解除すると、また魔力や魔素が集まりウインドウルフが出現する。これもいつもと同じだ。改めて茨の庭(ソーンガーデン)を発動。更にもう一度復活したので計3回茨の庭(ソーンガーデン)を使ってボス戦は終了した。


この層から地上部分が増えたから、仕様が変わるかと思ったが、この辺は変わらないようだ。ボスとの連戦が3回なのも10層と同じだしな。


出てきた宝箱を開けると、中には結構沢山入っていた。



風の魔晶角のナイフ

ーー風属性の魔物の魔晶角を加工して作られたナイフ 風の魔法を増幅する力がある


風のマント

ーー風属性の魔物の皮を加工して作られたマント 常に風を纏い飛び道具から身を守る力がある


風の靴

ーー風属性の魔物の皮を加工して作られた靴 軽く丈夫で敏捷性が上がる



ここら辺は装備品だな。結構貴重なアイテムっぽいが使う予定は無さそうなので、魔法庫の中へしまっておく。あとは、



鑑定板

ーーアイテムを鑑定出来る 何度も使える


ポーションの壺

ーー魔力を一定以上込めるとポーションを生み出す


マジックポーションの壺

ーー魔力を一定以上込めるとマジックポーションを生み出す



ここら辺も使わないな。鑑定板は鑑定スキルがあるし、壺2つはなかなか面白いアイテムだが、今まで怪我もしてないし魔力切れも起こしたことがないんだよな。



そして最後に保存バッグ 4/5 とウインドウルフの肉10kgが入っていた。


パッと見だと、今までのボス部屋の宝箱の中身に、ボスの素材から作られる装備品が入っているといった感じだろうか? 層が進むにつれて中身のアイテム自体はレベルアップしてくとは思いたいが、今回1番嬉しいのが肉だからな。それ以外は使う予定がない。


まぁこんな時もあるか。気にしてもしょうがないので、オレはさっさとボス部屋を後にして、階段を降りたのだった。











お読みいただきありがとうございます。

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