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天 落 者  作者: 吉吉
第1章 異世界転落
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相談と人攫い

 大分夜も更けてきた。オレは特にやる事がなかったので、魔道具をいじっていた。改良したり、試しに使ってみたり、周りに影響の無い範囲でやっていたが、人が動く気配がしたので取り敢えず全て仕舞う。動いたのは洞窟の中、つまり『レディ・ジャスティス』の誰かという事だ。


 しばらくすると、その人はこちらに向かって来た。


「な、なぁ黒猫さん、少し良いか?」

「ん? あぁ、外にも動きが無いようだから大丈夫だ」

「そうか……」


 来たのはジュリーだった。そして、ジュリーはオレの近くに腰を下ろす。


「どうした?」

「あ、いや、その、は、話を聞いてもらいたいんだ」

「話?」

「あぁ」


 そう言ってジュリーは軽く息を吐き、真剣な目でこちらを見ながら口を開いた。


「私は今まで、弱く虐げられている女性冒険者を見ていられなくて、いろいろやってきた。助けてきた。だが今回、もし襲われた理由が私だったら、私のせいでみんなを危険な目に合わせてしまったことになる。そう思うと、みんなに申し訳なくて……」

「そうか……」

「私は、間違っていたんだろうか? もっと良い方法があったんではないだろうか? そう考えると眠れなくて。なぁ、黒猫さん、あんただったらどう思う?」


 ジュリーはずっとこっちを見ている。参ったな、オレにはそういう相談に乗った経験は無いんだが……。

 取り敢えず、思ったままを言うか。


「そうだな、まずオレには何があったのかは詳しく知らない。だから今までのジュリーの行動が正しいか間違っていたかは判断できない」

「そ、そうだな……」

「ただ、今回の件はまだジュリーの所為と決まったわけじゃないよな? それに、他のメンバーを見るとアンタの事をかなり信頼しているように見える。あの子達もアンタが助けたんだろ?」

「あぁ、男の冒険者に絡まれたり、無理矢理勧誘されそうになったり、いろいろ危ない時に助けたが……」

「じゃあ、あの子達を助けた事は間違ってたのか? 助けない方が良かったか?」

「そ、それは……」


 そのままジュリーは黙ってしまった。


「仮に今回の件がジュリーのせいだったとしても、自分より弱い女に力ずくで手を出したり、逆恨みして襲ってくるような奴らが正しいとは思えない」

「た、確かに……」

「だから、ジュリーが間違っていたとは思えない。ただ、もし今までやり過ぎていたことがあるなら、これからはあまり恨みを買わないようにしていくことも必要だとは思う」

「……そうだな、確かにあまり恨みを買いすぎても、メンバーに迷惑をかけてしまうからな」

「そうだな。ただ、その手の連中ってのは、自分より弱い奴にしか絡まなかったり、数で勝ってる時だけ大きな態度を取ったりと、馬鹿な奴が多いからな。あんまり意味がないかもしれないが」

「フフッ、確かにそうだ。女性冒険者1人に3〜4人で絡んでたんだからな」

「きっと、1人じゃ怖くて話しかけられなかったんだろ?」


 情けない。女1人に3〜4人って、何考えてんだか。


「だが、どんなに頑張っても全てを救うなんて事は出来ない。それはわかってるのか?」

「……あぁ、今までも助けられなかった事はあるし、助けられても結局冒険者を辞めてしまった人もいる。だけど、そういう人を思い出すたびに、もうこんな目にあう人をできる限り出したくないと思うんだ」

「そうか……。強いな、アンタは」


 オレがそう言うと、ジュリーは首を横に振る。


「いや、まだまだ弱いよ。だからもっと強くならないと」

「だからって、1人で抱え込むなよ? 折角仲間が居るんだから。なぁ?」


 オレがそう言うと、奥から他のメンバー3人がすごすごと出てきた。


「みんな……」

「ゴメンね、ジュリーちゃん。盗み聞きするつもりは無かったんだけど、出て行くタイミングが掴めなくて……」

「いや、私こそすまない。起こすつもりは無かったんだが……」

「いいのよ、私たちもジュリーちゃんの事が気になってたし」

 そう言うと、残りの2人も頷いている。


「でも、私たちにも相談して欲しかったわ」

「いや、あの、今回は私の所為で迷惑を掛けたかもしれなかったから、言い辛くて」

「だから無茶をしてたのね?」


 あぁ、だから責任を感じて、自分は1人で戦ってたのか。


「大丈夫、ジュリーちゃんの所為じゃないわ。弱いくせに粋がっている男達が悪いんだから。もし、ジュリーちゃんが助けてくれなかったら、私たちは今冒険者をしていないかもしれないのよ?」

「なぁ、そんなに酷い状況なのか?」


 オレは気になったので聞いてみる。あまりにも酷ければ、ギルドやギルマスが動くと思うんだが。


「最近はジュリーちゃんのお陰で、大分良くなったわ。ただ、前は馬鹿な男が多くてね。弱いから他の町に行くのが怖いくせに、態度だけ強い冒険者ぶる男が結構いたのよ。主に自分より弱い女性冒険者や新人の冒険者に威圧的な態度を取ったり、喧嘩をふっかけて虐めたり。今ではそいつらはこの町から居なくなったし、他の冒険者も協力してくれるようになったから大分過ごしやすくなったけどね」


 ホントに情けないな。そんなんでよく冒険者になろうと思ったな、その男達は。いや、逆にそんなんだから、冒険者ぐらいしか出来る仕事が無かったのか。


「だから、私達はジュリーちゃんに感謝こそすれ、迷惑を掛けられたなんて思わないわ」

「そうか……、すまない」


 ジュリーは少し嬉しそうな顔をして、頭を下げる。


「それに私の方が年上なんだから、少しくらい頼ってほしいわ」

「わかった、本当にありがとう」


 とりあえず大丈夫そうか。表情も大分柔らかくなって、さっきまでの思い詰めた表情はなくなっている。


「黒猫さんもありがとう、助かったよ」

「あぁ。人の相談に乗るのはあんま得意じゃないんだが、役に立ったなら何よりだ」


 オレがそう言うと、改めて頭を下げてくる。ホント、律儀な子だな。


「そういや、なんでオレに話をしようと思ったんだ? 初対面だと警戒こそすれ、信用なんてしないんじゃないのか?」

「あー、なんでだろう? 自分でもよくわからないが、多分黒猫さんは強くて真面目そうだからかな? 依頼とはいえ、私たちを助けに来てくれたし、ポーションや料理もくれたし、何より強いのにそれを鼻にかけてないから」

「私たちは普段、あまり人に頼ることをしない、と言うか頼れる人がほとんどいないから……。周りには私達と同じか弱い冒険者しかいないし、相談に乗ってもらえるのはギルマスぐらいだからね」

「そうだな、だから頼りになる人が現れたから、頼ってしまったのかも……。すまない」

「いや、初対面でそこまで信用してもらえるのはこっちとしても嬉しいよ」


 こんなに信用されたのは初めてかもしれない。今までは利用された事はあっても信用された記憶が無いからな。


 さて話も終わったようだし、改めてこの子達を休ませないとな。


「それじゃ、そろそろ休んだ方がいい。明日は戦闘があるかもしれないからな」

「そうだな、改めてありがとう、黒猫さん」


 そう言って、ジュリー達は洞窟の奥へと戻っていく。まぁ、明日は戦闘がなければそれに越した事はないんだが、どうなるかまだわからないからな。





 翌朝、食事を済ませて出発をすることに。


「って、これが朝食!?」


 驚かれてしまった。夜ヒマだったから、低温調理をしてみたんだが……。


 肉は焼くと硬くなる。煮込み続ければ柔らかくなるんだが、焼くとなるとそうはいかない。だから、低温調理をしてみた。この世界には微生物がいないので食中毒の心配はない。偶に魔素によって分解途中の肉を食べて、体調不良に陥ることがあるらしいが。


 ヒートリザードの魔石をつかったフライパンにスノウウルフの肉を置き、最初は強火で表情を焼き固め、その後低温で熱を通していく。このフライパンは、火の魔石を使った調理よりも熱の調整がしやすい。最初は加減が難しかったが、すぐに感覚がわかってきた。出来上がった肉は、昨日の夜食べた肉より柔らかくてジューシーだ。


 スノウウルフの肉はヒートリザードと逆で、温度が低い方が美味しい気がしたんだが、正解だったみたいだ。その肉を今度は冷まして食べてみたが、冷たくなっても柔らかく、しかも肉汁も脂も滴り落ちてくる。普通牛なんかだと冷めると脂が固まってしまうが、スノウウルフは脂も固まらず美味しい。やはり寒冷地の魔物だからだろうか?


 その肉を柔らかいパン(昨日町で買ったと偽った)に挟んでサンドイッチにした。そして、乾燥野菜と肉のスープ。これが今日の朝食だ。

 スープの肉はヒートリザードの肉だが、乾燥肉だと言っておいた。そういやヒートリザードの肉は熱に強いんだから、乾燥させてジャーキーにしてもいけるんじゃないか? 今度試すか。


 そんな朝食を食べて、みんな驚いている。


「柔らかいパンだけでも驚きなのに……」

「サンドイッチのお肉は何!? こんなに柔らかくてジューシーなのは初めて!」

「スープのお肉も食べた事ないくらい美味しい」

「黒猫さん、あんた何者だ?」


 みんな驚いているが、今回の料理は自分でも驚くくらい美味しくできた。オレの中でスノウウルフの肉はヒートリザードの肉と並ぶくらいの高評価だ。これは、マリネにしても絶対に美味いな。今度必ずやろう。



 朝食後に一休みした後、出発する。外に出ると周りの気配が強く感じられるようになる。


「なぁ、ジュリー、町へ戻る道ってのは1つしか無いのか?」

「え? あぁ。山の中を通れば他の道へ行けるが、そうじゃなければ1つだな」

「そうか……」


 昨日の夜発見した気配が移動している。向こうも夜休んでただけなんだろう。人数は15〜16人くらいか。幸い周りに魔物の気配はないが。さて、どうするか……。


「どうしたんだ? なにかあったのか?」

「いや、少し離れたところに大人数の人の気配がするんだが、どうやら同じ方向に向かってるようなんだ」

「それはーー」

「どうする? 時間をずらして向こうが居なくなるのを待つか? それとも……」


 みんなの表情が強張る。しばらくして、


「出来れば倒しておきたい。もし、ここで逃して他の冒険者が被害に遭うことを考えると……」


 ジュリーはそういうが、表情は硬いままだ。普通に考えると向こうは大人数なんだから勝ち目がない。だが放って置くわけにもいかない。そんな葛藤をしているみたいだ。


「わかった、倒そう」

「えっ!?」

「ん? どうした? 倒しておきたいんだろ?」

「あ、あぁ。だが相手は大人数なんだろう?」

「大丈夫、大半はオレが受け持つ。そっちは数人受け持ってくれればいい。出来るか?」


 オレがそう言うと、みんな顔を合わせてから頷きあう。


「わかった、出来る限り引き受けよう」


 覚悟も決まったようだし進むか。それから1時間ほどで最初の開けた場所に戻って来た。そして、そこには16人の男たちが居た。


「お? なんだ、自分たちから捕まりにきたのか? 痛い目に遭いたくなかったら、大人しく言う事を聞きな!」


 リーダーだろうか? 1人の男がデカい口を叩いてくる。が、どう見ても満身創痍で疲労困憊している。よく見ると、周りの男たちも同じような状態だ。


「そんなヘロヘロな状態で、なにが出来るんだ?」


 オレが言うと、男たちは反論してくる。


「ウルセェ! そいつらが山の中を逃げ回ったから、こうなったんじゃねえか! スノウウルフもしつこいし、どうしてくれんだ!?」

「いや知らねぇよ、そんな事」

「つーか貴様は誰だ!?」


 気づくのが遅い。明らかに精彩を欠いている。こりゃダメだな。オレはジュリーに話しかける。


「コイツらオレが倒しておくから、町に行って警備隊を連れて来て貰えないか?」

「1人で大丈夫か?」

「あんな状態のやつらに苦戦すると思うのか?」

「……、大丈夫だな」


 そんな話をしていると、


「お、お前1人でこの人数がどうにかなると思ってんのか? それにもう少しすれば、助っ人が来るからな。お前に勝ち目はねぇよ!」


 助っ人ねぇ。気配を探してみると、確かにこっちに向かっている気配がある。速さからして、馬が馬車に乗っているのか? だがどう頑張っても30分以上はかかりそうだが、そこまでコイツらが持ち堪えられるとは思えない。まぁ、とりあえず邪魔だから片付けるか。


 瞬殺! オレはいつもの如く、ストーンピラーで一気に近づき、全員の顎目掛けてストーンピラーを発動する。そして、全員意識を失った。


「なっ、いつのまに……」

「速い、ていうか速すぎる」

「な、何が起きたの?」

「これが、黒猫……」


 オレは気絶した男たちを紐で後ろ手に縛っていく。ついでに足も。盗賊のところにあったやつだから、多分強度も大丈夫だろう。


「さて、じゃあ助っ人とやらを待つか」


 それから30分、やっと助っ人とやらが到着する。やはり馬車で移動して来た。そして、荷台から4人の男が降りてくる。4人の男は、縛られている男たちを見て驚き、『レディ・ジャスティス』を見て睨み、最後にオレを見て言った。


「誰だ?」

「通りすがりの冒険者だ」


 オレは答える。まぁ事実、町を通りがかった時に依頼を受けたから、間違いじゃないよな。すると、ジュリーが、


「久しぶりだな、ジェイソン」

「ほう、無事だったのか、ジュリー。まだ冒険者をやっていたとはな」

「貴様も冒険者をクビになった後に、まさか人攫いをやっているとは思わなかったよ」

「こっちの方が冒険者をやるより金回りが良いんでな。まぁお前も今から、俺の金に変わるわけだがな」


 そう言ってジェイソンは、腰から剣を抜く。するとジュリーも剣を抜き、オレに話しかけてくる。


「悪いが、コイツらは私達にやらせて貰えないか?」

「わかった。何か因縁がありそうだしな」

「すまない、説明はあとでする」


 そう言ってジュリーがジェイソンの方を向くと、ジュリーの後ろに『レディ・ジャスティス』のメンバーが並んで構える。ジェイソンの後ろには一緒に来た人攫いのメンバーが構えている。そして、ほぼ同時にジュリーとジェイソンが走り、戦闘がはじまる。


 最初に仕掛けたのはジェイソン。ジェイソンの方が身長が高く手足も長い。そして武器はロングソード。明らかにリーチが長い。そのリーチを生かして、ジュリーの間合いより外から攻撃する。ジュリーは急停止し、剣をやり過ごしてから近づくが、ジェイソンもわかっていたのかすぐに切り返して近づけさせない。


 ジュリーはそれを剣で受け流して近づき、斬り込む。ジェイソンはバックステップでかわして斬りつけるが、間合いが狭くなっているのでやり辛そうだ。ジュリーが有利になったかと思えば、ジェイソンは回し蹴りを放ち、それをジュリーは避けるが、その所為で間合いが広くなる。そしてまたジェイソンが有利になりジュリーを近づけない戦いをする。

 そんなやり取りがずっと繰り返されている。


 うん、なんか飽きて来た。斥候風の女の子(そういやジュリー以外名前を知らない)も同じ斥候風の男とナイフでやり合っているし、1番年上の女性と1番年下の女の子は魔道士らしく、相手の魔道士と魔法を撃ち合っている。


 なるほど、これがこの町の冒険者の実力か……。連携とかしないんだな。それとも対人戦が経験ないのか? かれこれ20分ぐらいは戦ってる気がするが終わらないし、お互い疲れて来たのか動きが悪くなっている。そろそろオレが動いた方がいいか? そう思った時、ジェイソンが叫ぶ。


「おい、 お前ら!」


 そういうと男たちはジェイソンの元に集まってくる。『レディ・ジャスティス』のメンバーもジュリーの元へ集まる。


「お前らなかなかやるな! だがここまでだ!」


 そういうと、ジェイソンは『レディ・ジャスティス』へ向けて拳大の瓶を放り投げ、魔道士がそれを魔法で破壊する。恐らく睡眠薬か痺れ薬の類だろう。それが降りかかる直前、何故か突然突風が吹き、薬が全てジェイソン達に降りかかった。そして、ジェイソン達は意識を失いその場へ倒れ込んだ。


 突然の事に『レディ・ジャスティス』のメンバーは唖然としている。


「とりあえず、縛った方がいいんじゃないか?」


 オレが言うと、メンバーはハッとなってジェイソン達を縛っていく。オレも念のため武器を回収しておく。


「もしかして、今の黒猫さんが……」

「オレは地属性だぞ?」

「そ、そうだよな……」


 まぁ実際オレがやったんだが、地と風という反属性を両方使える、というか全属性を使えるのは黙っていた方がいいからな。


「さて、それじゃさっき言った通り、警備隊を連れて来て貰えないか? オレが説明するより、ギルマスの娘であるジュリーが説明した方が信用できるだろうし、話が早いだろう」

「あぁ、わかった。黒猫さんはどうするんだ?」

「もちろんコイツらを見張っている。他に何か隠し持ってるかも知れないし、もしかしたら他にも仲間がいるかも知れないからな」

「確かにそうだな」


 因みにジェイソンが乗ってきた馬車は一頭立てな上に小さいので、人攫い達全員を乗せられない。だから『レディ・ジャスティス』に町へ向かうのに使ってもらう。


「そういや、御者は誰か出来るのか?」

「ええ、私がやった事があるわ」


 1番年上のメンバーがそう言ってくる。なるほど、年の功か。


「今、失礼な事考えなかったかしら?」

「ん? いや気のせいだろ?」


 穏やかそうな表情でこちらを見ながら言ってきたので、オレも笑顔で見ながら返してみる。笑顔で見つめ合うという状況だが、ロマンチックな感じはしない。むしろ目を逸らした方が負けのような気がする。


「と、取り敢えず、なるべく早く帰ってくるから、その間頼む」


 ジュリーが間に入ってきたので、引き分けだな。

 まぁそれはともかく、注意だけしとかないと。


「あんたらも、気を付けろよ? もしかしたら町までの道中にアイツらの仲間がいるかも知れないんだからな」


 オレの言葉に、メンバーはハッとした顔をして、気を引き締める。そして、馬車に乗って町へと向かっていった。


 さて、待ってる間にもう一仕事するか。オレは人攫い達を良く見ていく。特に魔力の反応が無いか詳しくチェックする。すると、魔力の篭ったナイフや防御用の魔道具、あと、ジェイソンがアイテムバッグを持っていた。アイテムバッグはレベルは2で、みんなで共用する為か誰かの所有にはなっていなかった。中にはさっき投げてきた拳大の瓶がいくつか入っている。鑑定してみると、睡眠薬と痺れ薬、毒と解毒剤など色々な効果の薬が入っていた。


「これ、欲しいな」


 恐らく警備隊に没収されるだろうが、少しだけなら分からないよな? オレは睡眠薬と痺れ薬を貰っておくことにした。

 ついでにさっきのナイフと魔道具を鑑定してみたが、魔力の篭ったナイフは火属性のミスリルナイフで、防御用の魔道具はいつもの飛び道具から身を守る守ってくれるやつだった。


他にあったのは金貨や銀貨、保存食などで、めぼしいものはなかったのでスルーだ。


 まぁ、こんなもんか。改めて人攫い達を見てみるが、まだ目を覚ます気配はない。オレは魔法庫からヒートリザードの串焼きを出し、それを食べながら町から警備隊が来るのを待つのだった。



お読みいただきありがとうございます。

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