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天 落 者  作者: 吉吉
第1章 異世界転落
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初めての大迷宮

「よお、1日で随分と稼いだなぁ、黒猫」

「黒猫?」

「あぁ、昨日のアンタの動きが猫みたいだったからな。黒猫って通り名になってるぜ」

「そういうのって、自分で名乗るもんじゃないのか?」

「いや、大体周りやギルドがつけたりするな。それが広がっていく感じだ。今回はオレが付けたけどな」


 ザインは得意げな顔で言ってくる。何を勝手なことを。通り名『黒猫』って、全く強くなさそうだな。というか、この世界に猫はいるのか?まぁ、いまはそれはいいか。


「通り名ねぇ。お前のお漏らしザインみたいなもんか」

「おい!その名前を言うな!」


 オレが言うと、周りのメンバーが笑い始める。ザインはそれを睨んで制止する。


「で、何の用なんだ? わざわざ話しかけてきたってことは、用事があるんじゃないのか?」

「いやいや、用がなくても知り合いがいたら声かけるだろ?」

「そうか?」

「あなた、ホント変わってるわよね〜」


 そうだろうか? 日本にいるときは、大体用がなければ話しかけたり連絡したりしなかったんだが。と言うか、よく考えたらそこまで親しい相手はいなかったな。


「じゃあ、用は無いんだな?」

「いや、無いわけじゃないんだが……」


 オレが聞くと、ザイン達は口ごもる。何かあるのか? ここで、話しづらいことが……。


「じゃ、とりあえす解体頼んだモノを受け取ったら、外で話を聞くってことでいいか?」

「あぁ、頼む」


 それから5分ほど待ち、解体が終わったヒートリザードを受け取って外へ出る。街中を歩きながらオレはゼットのメンバーと話をする。


「で、要件はなんだ?」

「大したことじゃ無いんだが、要件は2つ。明日、一緒に大迷宮に潜らないかと言う話と、」

「それと?」

「それと……ヒートリザードの肉、俺達にも食わせてくれないか?」

「は?」


 見ると、全員がこちらを真剣な目で見ている。そんなに食いたいのか?


「なぁ、オレはヒートリザードの肉を食ったことが無いんだが、そんなに美味いのか?」

「あぁ、魔物の肉の中ではかなり美味いと思う」

「そうね、熱に強いから焼いても柔らかいし、煮込んでも形が崩れず弾力も失われない」

「そうそう、串焼きにした時の、弾力や脂が滴ってんのもたまんねぇんだよな」

「でも〜、高いしなかなか出回らないんだよね〜」


 なるほど、かなり美味いみたいだな。


「たが、これはセイブンさん家へ持っていく予定だからな」

「セイブンさん家? 宿じゃ無いのか?」


 オレは昨日のミリィとのやりとりを話す。


「なるほど、やっぱりいい子ねミリィちゃんは」

「それじゃ、難しいか〜」


 かなり落胆している。こうなると、少し申し訳なくなってしまうな。コイツらは嫌いじゃないし、関わりたく無い相手でも無いしな。それに、ここまでの反応だとヒートリザードの肉の味が非常に気になってくる。


「あーじゃあ、セイブンさんに聞いて許可がもらえたら、晩飯をご馳走してもらえばいいんじゃ無いか?」

「いいのか!?」

「オレは構わない。セイブンさん次第だからな」


 ということで、邸宅に戻る予定がお店の方に顔を出すことになったので、お店へ向かう。


「で、明日はどうだ? 一緒に潜らないか?」

「んー、潜ろうかと思ったんだが、先に王都へ行こうかどうか迷っていてな」

「王都?もしかして、その為に身分証を欲しかったのか?」

「あぁ、王都の出入りは普通の街より厳しいからな」

「そうね、確かに厳しいわね。身分証と犯罪の有無は全員調べられるし、場合によっては荷物も全て調べられる事もあるわね」


 だが、王都に行っても国王様やエリーゼ姫に会う方法がまだ無いんだよな。そういえば……。


「ちなみに大迷宮では、何か高価な物や希少性の高いものは出るのか?」


 オレは聞いてみる。もしあるなら、国王様への献上品という形で、面識を持てる可能性があるからな。


「んー、そうだな。過去には大容量のアイテムバッグやレベルの高い鑑定石が国に高値で買い取られたりしてるな。他にも記憶石や記録石も高レベルだと貴重だし、大迷宮産の魔石も大きさや純度によってはかなり希少性が高いな」


「そ、そうなのかーー」


 これは、もしかしたら大迷宮で高価な物や希少性の高いモノを手に入れたら、国王様に面会できる可能性があるか?いや、どのみち今王都へ行っても手段がない以上、こちらの方が可能性があるか。


「そうか、だったら大迷宮に潜ってみるかな」

「オマエ、現金な奴だな」


 オレがそう言うと、エゾが突っ込んでくる。今の流れだと、オレが欲に釣られて大迷宮に潜ろうとしているように聞こえるのか。まぁ、それでもいいか。


「なんだ? 悪いのか?」

「いや、別に悪くは無いけど、なぁ?」


 エゾは隣にいたリザに話を振るが、


「別に良いんじゃない〜? それより〜機嫌を損ねてヒートリザードを食べられなくなる方が嫌かなぁ〜」

「うっ、確かに……」

  それ以降エゾは黙ってしまった。そこまで食いたいのか。ますますヒートリザードの肉に興味が湧いてくる。



「と言うわけで、コイツらも一緒に食べたいみたいなんだが良いだろうか?」


 店に着いた俺たちは、早速セイブンさんに話をする。


「ええ、ゼットの皆さんにはお世話になっていますし、ヨシキ様が素材を提供してくださるなら構いませんよ? それよりも、本当に良いんですか? ヒートリザードですよ?」

「そんなに美味いのか?」

「ええ、私も大好きなんですが、ヒートリザードは討伐が大変そうですから。1匹2匹ならなんとかなるそうですが、複数匹に囲まれて熱線を乱発されると、勝ち目は無いそうです。だから、なかなか出回らないんですよね」


 そうなのか? ゼットのメンバーを見ると、皆うんうんと頷いている。そんなに貴重なのか。なら、もう1匹分出すか。人数が増えたから、肉が足りないかもしれないしな。


「セイブンさん、どっか解体が出来る場所ってあるか? 人数が増えたから、もう1匹分増やそうと思うんだが」

「おい、全部売ったんじゃなかったのか?」

「いや、念のため、1匹残しておいたんだ」


 正確には45匹残してあるわけだが……。


「あの、本当に良いんですか?こんなに沢山も」

「ああ、もし必要になったら、また討伐に行けば良いだけだからな」

「いや、普通はその討伐が難しいんだよ」


 ザインに呆れられながら、移動をして解体をする。

 ヒートリザードの肉以外はセイブンさんが買い取ってくれた。金貨1枚だ。ギルドでは金貨5枚だったから、肉が金貨4枚か。まぁ、ギルドと商人では買取価格が違うかもしれないが……。


 ヒートリザードの皮は耐熱性があるが、強度がそこまでないのでそんなに高くないようだ。そのかわり、鍋敷きやミトンなど調理に関するものにも使えるとのことだ。



 そしてセイブンさんの邸宅へ行く。ミリィもゼットのメンバーと再び会えて嬉しそうだ。その後、さっき店にいなかったロンソーさんが帰ってきた。今日は商業ギルドの方でやることがあったらしい。そして、みんな揃ったところで夕食を食べる。


 メインはヒートリザードのステーキで、スープにも使っているようだ。こちらの世界では、肉料理と言ったらとりあえずステーキなんだろうか? まぁ、でもこの方が肉の旨みを存分に味わえるからいいか。


 と言うわけで、早速ヒートリザードを味わってみる。ナイフで切り、口へ運ぶとーーーー美味い!


 肉はしっかり火が通っているのに全く固くなっておらず、程よい弾力で、しかも思った以上に脂が乗っている。トカゲだからタンパクかと思っていたがそんなことはなく、噛みしめると口の中に肉汁と脂の旨味が広がっていく。


「これは、美味いな!」


 オレが驚いていると、


「だろ?炎系の魔物の肉は全般的に熱に強いが、ヒートリザードは他のとは何故か違うんだ」


 ザインが得意げに言ってくる。確かにそうフォレストウルフのリーダーよりも美味い。周りを見ると、皆あまり喋らずに肉の味を堪能している。


 スープも飲んでみる。こちらもある程度煮込んでいて、肉がスープに溶け出している。が、肉自体は変わらず柔らかい。煮込んでホロホロ崩れる肉も美味しいが、それとは別の旨さがある。これは、魔霧の渓谷の魔物と同じくらいかそれ以上かもしれない。


 そして、会話も少なく食事が終わる。皆満足そうな顔をしている。


「いゃあ、美味かった」


 エゾがそう言うと、皆口々に美味しかったと言っている。


「これなら、また討伐に行ってもいいな」


 オレがそう言うと、


「だったら一緒に行こうぜ?俺が魔力庫に入るだけ入れるからよ」


 エゾが乗ってくる。


「いや、ゼットのパーティで行けばいいだろ?って、もしかして銀ランクの依頼は受けれないのか?」

「いや、一応俺たちは金ランクだから銀ランクの依頼は受けられるぞ」


 あ、金ランクなのか。そういやランク聞いてなかったな。まぁ、あの馬鹿が金ランクなんだからゼットが金ランクでもおかしくはないか。


「ただ、私たちでも同時に3〜4匹が限度なのよね。あの熱線が無ければもっと楽なのだけど……」

「そういや、アンタはどうやって1人で倒したんだ?」

「ん? そんなの熱線を撃たれる前に近づいて、首を斬ればいいだろ?」


 ……


 ……


「参考になんねえな」

「ホント〜」

「戦い方は人それぞれだろ?」


 なんか理不尽だな。オレはオレなりに効率よく戦ってるつもりなんだが。


「あ、あの、そういえば、ヨシキ様は大迷宮に潜られるのですよね?」

「あぁ、明日からこのゼットと一緒にな。っとそうだ、美味い肉を食わせたんだから大迷宮について色々教えてもらおうかな?」

「あぁ、いいぞ。大迷宮の仕組みや魔物なんかも、実戦付きで案内するぜ」

「あの、お気をつけて」

「ありがとう。大迷宮を出てきたら、また顔を出すよ」

「はい!」


 オレが言うとミリィは嬉しそうな顔をする。そして夕食会はお開きになった。ゼットはもう宿を取っていたのでそのまま帰り、オレは今日も泊めてもらった。



 翌朝、ミリィ達セイブンさん一家が見送りをしてくれる。


「大迷宮を出たら、また泊まりにきてくださいね?」

「いや、そう何度もーー」

「いえ、2人の命の恩人なんですから遠慮しないで下さい」

「私も娘もその方が嬉しいですから」

「はい、いつでもいらして下さいな」


 と一家で歓迎してくれる。あぁ、やっぱりこういうのは良いな。でも、甘え過ぎて迷惑を掛けないようにしないとな。


「わかった。大迷宮を出たらまた寄らせてもらうよ」


 オレはそう言って、大迷宮に向かう。待ち合わせ場所は大迷宮の入り口にある冒険者ギルド迷宮管理部の建物、通称「迷宮ギルド」だ。


 大迷宮はこの街の1番奥まった所にあり、小高い丘の麓に入り口がある。なので結構歩くのだが、待ち合わせ時間より早く着くようにしているので、屋台などで買い食いしながら向かう。


 迷宮ギルドに着くと、1階の受付カウンターを無視して2階へ。そこには情報課があり、ギルドカードを見せると迷宮の情報を閲覧出来る。と、教えてもらった。なので、カードを見せて情報を頭へ入れていく。


 特にアイテムの入手方法やドロップする敵についてしっかり把握しておかないと。途中で、この大迷宮についてまとめた本が3冊売っているのに気づき、買うことにした。内容はこの大迷宮の基本情報についてと、魔物の種類や攻撃方法について、あとは過去に手に入ったアイテムの種類や入手方法、入手階と大まかな買取価格についての3冊だ。


 この場所であればタダで閲覧出来るのだが、全て暗記するのは無理だろうから買っておいて損は無いはずだ。価格は各銀貨3枚で9枚。


 そうこうしているうちに、時間になったので1階へ。ちょうどゼットのメンバーが来たので、そのまま受け付けをすることになった。受け付けでギルドカードを渡すと、


「迷宮は初めてですか?」

「あぁ、初めてだ」

「俺たちは初めてじゃない」

「では、初めての方に説明致します」


 ザイン達にカードを返してからオレに説明をしてくれた。


「迷宮、大迷宮問わず、ギルドカードは肌身離さず持っていて下さい。魔力庫やアイテムバッグに入れておくと、到達階数などが把握出来なくなります。そして、到達階数によっては転移水晶の仕様が可能になりますので、くれぐれも魔力庫やアイテムバッグには入れないで下さい」


 おっ、大事なことだから2回言ったのか?


「具体的には6階11階16階へ到達すると、その階へ入り口から転移出来るようになります。また、迷宮内でのみ使える保存バッグなどが、入り口で有料で貸し出ししておりますので、必要でしたらご利用ください」


「保存バッグ?」

「はい、迷宮内でのみ使用でき、その中のものは時が止まり劣化しないバッグです。容量によって金額が変わりますので、必要な物をご利用ください」


 なるほど、食料などが手に入った場合の為か。


「そして、入り口では買取もしておりますので、直ぐに売却したいもの、ポーションなどかさ張るけどそんなに量は必要ではないものなどを売却する際にご利用ください。逆に、必要な物の販売もしておりますので、是非ご利用ください」


「わかった、ありがとう」


 オレはカードを受け取り礼を言って、待っていたゼットのメンバーの所へ行く。


「悪い、待たせたな」

「いや、初めては同じ感じだから大丈夫だ」


 そして、大迷宮の入り口へ。最初なので、保存バッグは借りずに行くことにした。入り口には地下へ降りる階段と、そして部屋の隅のうち3箇所に水晶の様なものが立っていた。


「あれが転移水晶だ。ギルドカードに記録された到達階数によって、ショートカット出来る」


 なるほど、一度その階に行かなければならないものの、転移できるのはありがたいな。


 そして、俺は大迷宮に足をふみいれた。まず、最初の感想は、天井が高い、ということだ。地下1階の筈だが、高さが5m以上ある。2〜3mぐらいしか降りてないはずだが、どういうことだろう? それに明かりが無いはずなのに明るい。床が光っているのだろうか? 天井付近は薄暗いのだが、床に近い部分は普通に明るい。


「さて、どこから敵が出てくるかわからないから気を付けろよ」


 ザインが気を引き締める。それに合わせて他のメンバーもそれぞれ武器を構える。まぁ、神々の試練と呼ばれているくらいだから気にしても仕方がないか。オレもナイフを出し周りに合わせる。


 しばらく進むとゴブリンの群れが出てくる。数は6匹。まぁ、この程度なら楽勝だろう。だが、油断は禁物だな。ザインはメンバーを見渡すと、ゴブリンへ向かっていく。


 ゴブリンもすぐに戦闘態勢に入るが、ザインの方が強い。あっという間に2匹斬り伏せ、すぐに下がる。ザインを追って迫るゴブリンに、ザインの陰に隠れていたエゾが前へ出て斬る。エゾもすぐに下がり、動揺しているゴブリンにウォーターアローが刺さる。そのすきにまたザインとエゾが迫り残るゴブリンを斬り伏せる。


 そして、ゴブリンが分解したかと思うと、ゴブリンがいた場所へ魔力や魔素が集まっていき、ポーションが2個ドロップする。


「ポーションか。ゴブリンだからな。まぁ、という感じで、魔物を倒すとアイテムがドロップする。100%落とすわけじゃないけどな」

 

 ザインがオレに説明する。なるほど、これが迷宮の仕組みか……。しかし、今少し違和感があったな。もう少し様子を見させてもらうか。


 その後、何度か戦闘を見させてもらい、オレの違和感は少しずつ確信へと変わっていく。しかし、それを言っていいものか迷ってしまい、結局言うのをやめることにした。


 そして道中、壁や床に魔力を感じた。


「おっと、ここはトラップがあるぜ!俺の出番だな」


 そう言ってエゾはトラップを解除していく。見ると、床の魔力反応は探知機の役目をしているようで、そこが反応すると、壁から矢が出てくるようだ。エゾはその探知機の信号を壁へ行かないようにする事で、トラップを無効化している。なるほど、こう言う感じでトラップがあるのか。


 しばらく進むと、湧き水のある綺麗な部屋があった。


「ここはセーフティールームだ。ここにいれば魔物に襲われることはない。せっかくだから休憩していこう」


 なるほど、魔物から逃げたり、体力を回復させたりするのに使えるのか。


 オレたちはセーフティールームで休むことにした。ゼットのメンバーは硬いパンやドライフルーツなどを口にして、軽い食事をしている。オレは来るときに買った屋台の串焼きとサンドイッチで食事をした。すると、


「お前、それ……」

「あぁ、来るときに屋台で買ったもんだ。まぁ、1日くらいならもつと思ってな」

「しまった、そう言うやり方があったのか……」


 オレが食事をしているのを見て、エゾが悔しそうにしている。


「次は私たちもそうしましょ?」

「せっかくエゾが居るんだし〜」


 どうやら、携帯食じゃないのが羨ましかったみたいだ。ていうか、エゾじゃなくてもアイテムバッグがあるんだからいれておけば良いのにな。



 休憩後も出てくるのはゴブリンやフォレストウルフのような弱い魔物ばかりだった。途中から俺も戦闘に参加したが、どうやら俺が思った通りのようだ。


 攻撃してきたゴブリンの腕を切り落とし首を斬る。攻撃を避けて首を斬る。魔石に当たる部分をナイフで突き刺す。

 同じゴブリンでも、ドロップなしとポーション、ハイポーションと別のアイテムが出てくる。


「おっ、この階でハイポーションとは珍しいな」


 やはりそうか。だがこのことが広まると、新人冒険者の死亡率が高くなるかもしれない。やはり黙っておいた方がいいだろう。


 そして、さらに今度は自分自身に違和感が出てくる。これはいつものアレだな。まぁ、すぐに違和感にも慣れるだろう。


 そして、どんどん進むこと数時間、オレたちは魔法陣の描かれた広い部屋へとたどり着いた。ここはそう、迷宮や大迷宮にあるジョブやスキルが得られる場所。

 この大迷宮の基本情報にもあった、商人の為の魔法陣だ。


「ここが第1層にある魔法陣だ。ここでは商売のスキルを持つ人が入ると、商人のジョブが得られると言われている場所だ」

「へぇ、じゃあもし商売のスキルを持ってない者が入ったらどうなるんだ?」

「その時は魔法陣は反応しないらしい。それに、魔法陣に入れば必ずジョブが手に入るわけではなく、神からの問いかけが有るらしいぜ」

「神からの問いかけ?」

「あぁ、その人が商人として相応しいか問いかけられるらしい。そしてその問いに答えられたものだけが、商人のジョブを手に入れられるそうだ。まぁ、その答え自体も商業ギルドで買えるらしいがな」


 なんだ、 金で買えるジョブって事か? だが、商売のスキルは自力で得なきゃならないし、ここまで冒険者を雇って来る勇気や、ちゃんとした冒険者を見る目がないとここまで来れないか。


「俺たち冒険者には直接関係ないが、商人の護衛としてここまで来ることもあるから覚えていてもいいと思うぜ」


 なるほどね。オレは魔法陣に興味が湧き近づいて見る。見たことの無い魔法陣だ。直径2mぐらいの円で今まで見たことの無い文字で描かれている。これを解析できれば新しい魔法陣を作れるだろうか? そうなれば新しい魔道具も……。


 オレは魔法陣を覚えるために円の中へ入る。すると突然、魔法陣が光を放ち、頭の中に声が響いて来たのだった。


お読みいただきありがとうございます。

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