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天 落 者  作者: 吉吉
第1章 異世界転落
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魔霧の渓谷

虫や魔物の捕食シーンあります。苦手な方はご注意を。

「うぉぉぉぉ!」

「「うわぁぁぁぁ!」」


 オレと盗賊2人は真っ暗な穴の中を落ち続けた。この先どうなるかわからない。オレは魔力を身体中に巡らし、土属性のシェルの魔法を使って防御力を上げる。そして、風魔法を下に向かって放ち、落下のスピードを落とそうとしたが、あまり効果はなかった。


 もう一度放とうとした時、穴の中が少しだけ明るくなった。周りを確認してみると、少しづつ穴が斜めに角度を変えているようだ。


 助かるかも!


 穴はどんどん角度を増し、滑り台のようになっていく。そして周りが明るくなり、ついに出口が見えた。


 盗賊2人が先に出口から飛び出す。そして、オレも出口から飛び出そうとした時、何がゴムみたいな膜に阻まれ外に出ることが出来なかった。が、その膜が衝撃を吸収してくれたのか、跳ね返されることもなく、オレは出口の前に座り込んでしまった。


「いつっ!」


 身体が痛む。どこかにぶつけたのだろうか? オレが自分の身体を確認しようとした時、


「うぎゃぁぁぁぁ!」


 突然、外から絶叫が聞こえた。慌てて確認すると、盗賊の1人が目、耳、口、鼻などあらゆる穴から血を吹き出しながら転げまわっている。


 まさか毒か⁉︎


 もう1人の盗賊を見ると、すでに事切れているようだ。

 やがて、転げまわっていた盗賊も動かなくなる。

 オレはしばらく、呆然として動けなくなってしまった……。


 すると、今度は外からガチガチという音が聞こえてくる。


「な、なんだ? あ、蟻⁉︎」


 そこには確かに蟻がいた。しかし大きさが普通ではなかった。俺より少し小さいくらいのサイズだろうか?前に王都の防具屋で見た看板の蟻よりも大きい。


 蟻は盗賊の1人を触角で確認すると、巨大なアゴで挟み持って行ってしまった。蟻を目で追っていたオレは、異変に気付いた。


「蟻が……消えた?」


 よく目を凝らしてみると、どうやら深い霧に覆われていたようだ。視界は5〜10mだろうか? 遠くになんとか樹木の影が見えるぐらいだ。


「もしかして、魔霧の渓谷……か?」


 魔霧の渓谷ーートレー王国の西に位置する正体不明の谷。古代文明の魔法実験で、人が住めなくなったとも言われている場所だ。ここの霧は強い魔力を含んでいて、吸い込むと意識を失ったり、吐き気や虚脱に見舞われたり、体内の魔力が暴走したりするらしい。


 もしかして盗賊たちは、ここの霧にやられたのか? しかし血を流して死ぬというのは、調べた本にはかいていなかった。だが、王都から北西に移動し、そのまま西へ盗賊に連れてこられ、さらに落とし穴で深いところまで来ているので魔霧の渓谷の可能性は高い。


 そんなことを考えていると、またガチガチといえば音が聞こえてきた。そういえば、ここは安全なのか? 魔物は入ってこれないのか? とりあえず周りを見渡し、岩陰になっているところへ身を隠す。


 岩陰から観察していると、蟻は今度は2匹できたようだ。触角で盗賊を確認していると、ドスドスドスという音が響いてくる。蟻が警戒している。出てきたのは体高3mはありそうな真っ黒い魔物だった。


「象? いや、アリクイか⁉︎」


 蟻はガチガチと威嚇をしているが、アリクイは気にせずに蟻に近づき、右前足で蟻を攻撃する。


 ガンッ!


「うおっ!」


 蟻は真っ直ぐにこっちに飛んできたが、やはり何か膜のようなもので守られているらしく、穴の中へは入ってこなかった。アリクイは蟻に近づくと、巨大な爪を頭と胸の間に刺し、頭を引き抜いてしまう。そして、細長い口を蟻の頭がついていたところに突き刺し、中身を食べ始める。


 食事が終わると、アリクイは直ぐに立ち去ってしまう。残ったのは蟻と盗賊の死体だけで、もう1匹いた蟻は逃げ出したようだ。


 目の前で巨大な魔物の捕食シーンを見たオレは、しばらく動けなかった。その後、巨大な蜂が現れ盗賊の死体を持ち去って行ったことで我にかえった。


「と、とりあえずこの場所は安全みたいだ……」


 オレは一応外から見えないように、岩陰で休むことにした。超小型コンロでお湯を沸かし、紅茶を淹れる。一口飲むと、紅茶の香りが鼻を通り抜け、暖かさが体に染み渡ってくる。


 それにしても、大変な目にあった。盗賊に襲われ遺跡に連れていかれ、盗賊のボスに迫られたかと思ったら落とし穴に落ち、目の前で巨大な虫や魔物が捕食を始める……。


 と、そこで気がつく。今は夜じゃなかったか?

 そうだ、確か暗くなって飯を食って、盗賊のボスに呼ばれてからまだ数時間しか経っていないはずだ。


 改めて外を見る。確かに暗いといえば暗いかもしれない。しかし5〜10mは見える。もしかして霧が淡く光っているのか?

 今いる穴の中も確認してみる。穴の中は外よりも暗い。大きさは高さ2m、幅3mぐらいだろうか。辛うじてオレが落ちてきた場所が見える。2m×2mぐらいの穴が開いていて、落ちてきた坂の上は真っ暗で何も見えない。


「ん?」


 よく見ると、オレが落ちてきた穴の横に扉らしきものがある。近づいてみると、石で出来た扉みたいだ。オレは、紅茶を作るのに使った道具を全てしまい、扉を調べてみる。


「どうやって開けるんだ?」


 石の扉だ。何か丸い模様がいくつか書いてあるがそれだけだ。蝶番やドアノブのようなものも見当たらない。押してみたがビクともしない。他に何かないか穴の中を確認してみたが、この扉以外は何もないようだ。


 さっきの蟻や魔物を見て、外に出るという選択肢は今の所ない。今のオレではあんな魔物には絶対に勝てないだろう。だからオレは少し強引に扉を開けようと、火と土属性の魔力を身体に巡らし、体当たりを行おうとした。すると、扉にあった模様が赤と黄色に光る。


「えっ?」


 オレは身体に巡らした魔力を止めてしまう。すると、扉の模様の光も止まってしまう。もしかして、魔力に反応しているのだろうか? 赤と黄色ということは、火と土属性だろう。オレは火と土属性と一緒に、水と風属性の魔力も身体に巡らしてみる。

 

 キィィィィィィン


 甲高い音が聞こえたかと思うと、扉は消えてしまった。そして、奥に向かう通路が現れた。通路はぼんやりと薄明るくなっている。


「…………行くしかないか」


 外に出るつもりがない以上、この通路を行くしかない。オレは覚悟を決めて、通路を進んでいく。10mほど進んだところに、今度は木製の扉があった。


「ふぅ」


 緊張する。この先に何があるのか……。ゴクリとツバを飲み込む音がやけに大きく聞こえる。オレはゆっくりと扉を開ける。中を覗くと10畳程の広さの部屋だった。人や魔物の気配はない。オレはゆっくりと部屋の中へ入る。


 扉を閉めると、薄明かりだった部屋がゆっくりと明るくなっていく。


「ここは…………」


 部屋の中はシンプルだった。木製の机にベッド、作業台らしきものに、本棚がある。

 ベッドには白いシーツが掛かっており、白い掛け布団がある。本棚は天井まであり、本で埋め尽くされている。


 なにかとても清潔な印象を受ける。ここは、誰かが住んでいるのだろうか? もしかしたら不法侵入かもしれない……。


 そんなことを考えていると、机の上に手紙が置いてあるのに気付いた。勝手に見てはマズイと思いながらも、つい見てしまう。手紙の表にはこう書いてあった。


『この部屋にたどり着いた人へ』


 思わず手紙を手にとってしまう。裏を見ると、名前が書いてある。この世界の言葉と、そして日本語で、


 タイチ ヤマダ


 山田 太一


 と…………。


やっと、ほかの日本人を出せました。

予定では10話過ぎには出る予定だったのですか……。

文才が欲しい。

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