転落の人生
小説を読むだけでなく、書いてみたくなったので、書き始めました。オーソドックスなファタジー物になる予定なので、よろしくお願いします。
「ふぅ……」
私は深くため息をついた。
アラフォー、独身、彼女無し……
さらに勤務先が潰れ、転職も失敗続き、住んでるボロアパートも建て替えのため、明後日までには出ていかなければならない。
安月給だった為、引っ越しする金も無く、頼れる人間も居ない。
厄年ってのは、本当に厄が来るんだな、そんなくだらないことを考えながら、灯油の匂いが蔓延した部屋に座る。
ライターを持つ手が震える。
部屋の中には、好きな漫画とちょっとの思い出の品、あとはゴミと、赤いポリタンク数個。
「ははっ、本当につまんない人生だったな……」
自虐的な笑いがこみ上げてくる。
もう、何もないしどうしようもない。
というか、もうなにもかもどうでもいい。
私は、震える右手を左手で抑えながら、ライターに火を着けた。
そして、目の前がオレンジ色に染まった……
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気がつくと、私は暗い空間に居た。と言うか、暗い空間に浮かんでいた。
全身が痛い。
なんとか頭を動かして身体を見ると、全身が酷い火傷状態だ。特に両腕がと右足が焼けただれて酷いことになっている。
そういえばTVで見た幽霊特集なんかに出てくる幽霊は、死んだ時の状態で出て来てたな。頭から血を流したり、下半身が無かったりしてたっけ。死に方を間違ったか……
と、痛みが酷いのに以外と冷静に考えられる自分に気づく。
死んだんなら安らかに眠らせてくれればいいのに……
そんな、くだらないことを考えながらあたりを見ると、光の玉のようなものがいくつか輝いて見える。ふと、後ろを見ると、一本の巨大な樹のようなものが天へと伸びている。
よく見てみると、その樹のようなものから太い枝状のものが伸び、さらに細い枝状に分かれた先に光る玉が付いていた。
そして、周りには枝状のものに繋がってない光の玉が、無数に浮かんでいる。
まるでクリスマスツリーの周りを蛍が飛んでいるような、幻想的な風景だ。
「キレイだな………」
身体の痛みを忘れ周りを見渡していると、真上にある光の玉の中に知っているものが見えた。青く美しい球体が……。
「地球だ……」
よく知っている、そして、私が生きていたはずの地球が、その光の玉の中に写っていた。
そして、その地球が写っている光の玉が、ゆっくりと、確実に遠ざかっていく……
そこで初めて自分の身体がゆっくりと落下しているのに気づいた。
「ああ、私はきっと地獄に落ちるんだなぁ。まぁ仕方がないか、自殺なんてしちゃったわけだし……」
地球に背を向け、自分が落ちている方向をみる。
その方向にも光の玉があり、その中に青い海と緑の大地が見えた。樹のようなものの枝の先端に、お盆を突き刺したような感じの大地とその周りを囲うような海が。
「……変わった地獄だな?」
ゆっくりと近づいてくる変な地獄がある光の玉。そこに触れそうなくらい近づいた時、後ろから声が聞こえた気がした。
「……って……」
「ん?」
ゆっくりと後ろを振り向いた瞬間、俺はピンク色の光に包まれた。