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70話「結局。無茶をしたらダメって事だぜ!」

2章終わる予定です。

すみません。中途半端なものが出てしまいました。休出が終わったら修正します。まだ5000文字。オチまでまだまだ。。。、

 「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 地上。領軍の本陣にリムの絶叫が響き渡る。


 「なんで!」


 胸を押さえて必死の形相でリムが叫ぶ。

 

 「お母様の! 聖女の技なのに! なんで!!!」


 半狂乱のリムはアルフノールに抑えられながら暴れる。数分長くもなくも短くもない時間リムが狂気に侵され暴れると、やがて力尽きた様にその場に倒れ込んだ。


 「どうしたの? これ」

 「前から思ていたがこれは本当に聖女なのか?」


 タナスとサムはリムを抱えて救護テントに急ぐアルフノールに問いを投げかける。

 聖女の指輪に反応したリムだが、言動も行動も聖女らしくない。

 イットを独り占めにするためにアユムの排除を企てていたことも聖女らしくない。


 救護テントの仮設ベットのリムを横たえるとアルフノールは重い口を開く。


 「彼女は間違いなく聖女だよ。まだ借り物の力で、『仮』の状態だけどね」


 リムの母は聖女である。

 本来聖女とは長い時間をかけて聖なる場所で聖なる試練を受けつづけ、魔法力を生成する臓腑が聖気を生成する機能に変換された人間の事をいう。男であれば聖人だが、性の特性差から男が聖人になるのは聖女が生み出される可能性の1/100である。聖女が100万人に1人の確率であれば聖人は1億人に1人である。魔法力の各属性への適応がある者でその確率である。聖人は既に物語の中にしか存在せしない。聖人と比較して若干なり易いと見られている聖女ですら世界でも希少な存在である。聖人と聖女は過酷で聖なる物と触れ合い続ける試練を受けてきた上でなる。それだけあって清廉潔白な人物が多い。

 つまるところ、辛く厳しい試練の結果、必然的に聖なる者へと自然となっていくのである。


 リムの母も類に漏れる事なく、幼女の時分より辛く厳しい修行を経て聖女となり、とある国の国難に夫である村長と共に乗り越えた経験がある。尚、現在聖女の夫たる村長はリムの母による聖人修行中である。アユムの事でリムの母は身内に優しすぎたと後悔していた。同時に末の娘という事で『リムを甘やかしすぎた』事についても後悔していた。


 リムからしたら、とんでもない発言である。リムは幼少からつい先日まで朝から晩まで母親付きっきりの聖女教育を施されていたのだ。肉体的にも精神的にも追い込まれた修行である。あれで『甘やかしすぎた』と聞かされては、リムは命を懸けて逃げ出すだろう。


 本来の聖女教育であれば自我など残す余地もないほどにプレッシャーを掛けられ、教育の中で『聖なる力を扱い続けることが可能な価値観を持った性格』に書き換えられる。正しい精神と、正しい肉体。徹底された管理の下、少なくとも10年を修行に費やしその後、神殿に、神に仕える。


 リムの母が『甘やかしすぎた』のになぜリムが聖女の力を発現させられるのか、それはリムの母がリムの魔法器官に子供の頃から欠かすことなく聖女の力を籠め続けていたからだ。リムの母の強力な聖気によって、リムの魔法器官は徐々に聖気へ適合し、家出前にはついに聖気を生み出すようになっていた。


 だが、それは微弱な力であり、今リムが聖女としての術を使えるのはリムの母が彼女の体に込め続けた聖気の影響である。


 そう、リムの体の重要器官と『密接に絡んで存在している』聖気の影響である。


 「……はぁ、リムは『聖気』を抜かれている。術を逆手にとられてね……聖女の術まで仕込まれていたとはね……」

 「どういうこと?」


 アルフノールは、大きくため息を吐き出すと軽く頭を抱える。


 「すべては超級モンスターの手のひらの上で踊っていたって事だよ……逃げる先もなく、戦力は消耗し続け、奥の手も逆手にとられた。……悔しいけどもう、アユムが頑張ってくれることを祈るしかないよ……」


 重く冷たい空気が救護テントを支配する。戦は優位に進んでいるので利用者は少ない。

 テントの片隅でアルフノールは中級悪魔として無力感に苛まれていた。


 「出し抜こうとして……すべて裏目に出た……」


 リムが眠るベットにある椅子に腰を下ろし、アルフノールはリムの手を握る。アルフノールの力を通すと、苦痛に歪んで居たリムの表情が緩和される。


 「僕はここで何をしているのかな……」


 アルフノールの問いに回答できるものはここにはいなかった。

 帰ってきた答えは聖気を強制的に引き抜かれ、呻き声を上げるリムの声だけだった。



 ☆☆☆


 「3回前、3百年前か。僕は聖人として育ち幾人か弟子を取った。勇者の情けで、『勇者と共に旅に出て、命を落とした』って事にされたんだっけか……」


 黒タヌキチは、眼前に倒れ伏す勇者一行を眺めて痛快と言った表情で漏らす。


 「……お前、僕達に何をした!」


 タヌキチが吠える。



『2章終了祝い会場』


…‥



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アームさん
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