56話「格闘大会1日目午前の部」
あいふぉんから投稿!
全角スペースが入らなくて大苦戦!
太陽が昇る前から大会委員は大忙しだった。
テントの設営や会場の設営、屋台への指導など事前にこなせるものはこなし、出場者リスト、医者の手配、審判の調整何より予選進行の張り出し、今回に限れば秘策も用意して迎えるが進行の遅れが大会に致命傷を与えかねないので朝から確認やら、選手へ配布用の飲み物の手配、業者からの納品チェックに追われ8会場ある予選会場のスタッフ達はてんてこ舞いだった。
「おはようございまーす」
受付に来た選手の1人目はアユムだった。
朝焼けに照らされる笑顔を見てアユムの兄弟子である大会委員は達は『こいつ巻き込んだらどんなに捗ることか』と思ったが実行しない。選手が大会委員と関係を持って仕舞えば不正を疑われる。大事なお祭りである。委員達は涙を飲んでアユムの受付を済ましゼッケンを手渡す。
「??」
アユム。気にしちゃダメだ。
さて、太陽が登り切るとそこは修羅場になって居た。
「ばかやろー! アンダーの受付をなんでしてねーんだ! このカテゴリが一番多いんだぞ!!」
「医者はいるか! 救護テントに人がいないぞ!」
「誰だ! 朝食のデリバリーなんかしやがったやつ! こんな状況で食えると思ってんのか!!」
「こら! 会場警備! しっかりしろ! おばちゃん侵入しちゃってるじゃないか!」
けんけんがくがく騒がしく準備が進む運営テント。
選手受付が締め切られ初日の予定が張り出された。
予選第6会場
09:00 オープニングセレモニー(本会場)
09:30 試技(ダジルvsアユム)
10:00 アンダー20(予選グループ11)
11:00 クラス20予選6(ゼッケン1〜5)
12:00 昼休憩
13:00 クラス40予選6(ラムズvsオーライアス)
14:00 クラス20予選14(ゼッケン6〜10)
15:00 クラス40予選14(ヘルトvsカインズ)
16:00 クラス20予選6勝者vs予選14勝者
18:00 クラス40予選6勝者vs予選14勝者
19:00 会場解放 マスターリンカー解説&婦人会による楽器演奏
予選会場は8まであり本会場であるコロシアムである。
初日は40以下のクラスはコムエンド各地の予選会場で戦う。その間コロシアムでは民衆による出し物を挟んで有力者のお抱え武人達でのフリー対戦が開催される。こちらは思い切り賭けの対象になる上に有力者達の見栄がぶつかりあうため、非常に見応えがある。
コロシアムの2日目はアンダークラスの各予選会場代表者達による決勝大会が行われる。3千人入るコロシアムで白熱の戦いが繰り広げられることとなる。なお当日の各予選会場では1試合のみだがクラス60の高レベルな予選が開催される。毎年コムエンド市民はどちらを見に行くかで大いに悩むことになるのである。
そして3日目は本会場でのみ午前クラス60の決勝大会。午後オーバー80の1試合になる。オーバー80については参加者がおらず、毎年領主オルナリスvs国外の挑戦者が行われる。
そして毎年泥酔したオルナリスの我流酔拳が華々しい祭りのトリを務める。その後毎年コムエンド市民の心が一つになる。『来年こそはあの酔っ払いを!』 と挑戦者を慰めて来年の奮起を期待して明るく終了する。まぁ、酔っ払いが笑いとりながら相手を翻弄するのは見ていて痛快だが、格闘大会にはちょっと違う。非難して許されるのはオルナリスと民の関係が良好で、愛情脳r返しという雰囲気があるからである。
アユム達選手は会場入りし、本会場であるコロシアムへ向いて整列、右手を心臓の上に置いてそれを待つ。
『暴れん坊ども! 祭りの開幕だ!!!!!!!!!』
ドンドンドン
無数の花火が打ち上げられ、街の各所から楽器の音が響く。浮かれるコムエンド市民とは対象的に参加者達の表情は引き締まって行く。
そしてゆっくりと選手たちはステージから出る……。アユムとダジルを除いて。
会場の中央部にはおよそ3m離れた位置に線が引かれ競技者はそこで開始を待つ。
早速酒を煽る市民がいる中、アユムとダジルは睨み合う。
アユムにいつもの甘さはない。
ダジルにも油断や傲慢、焦りといったものが見受けられない。
互いに試合に挑む覚悟と準備が万端であることを示している。
『あーあー』
アユムとダジルの緊張感を消しとばしたのは、黒い箱である。
正しくは、祭りの話を聞いた賢者の娘から貸与された拡声装置だ。
『すまんすまん。びっくりした?』
大会役員が少しも悪びれずにいう。
『わーた、わーた。夜の宴会にもこれ貸し出すから。みんなちょっと落ち着いて』
色々騒動があったが市民達も徐々に落ち着き始める。その時時計塔に時刻は09:40を指していた。
『とりあえず! この会場のスターターはこの注目若手2名による試技から開始だ!』
大会役員が腕を振り上げ民衆を煽ると酒の勢いと、祭りの雰囲気で会場が燃え上がる。
『じゃあ、公式ルールを確認しとくぜ。
武器は禁止だ。あと、仕込みもなしだ。己の体一つで語れ!
魔纒や身体強化は許可するが遠距離技はダメだ。だが魔纒の延長線上はオッケーだ! アユム! よかったな!』
「そんなに小さくないよ!」とアユムのツッコミで会場に爆笑が満される。
『じゃあ、時間もないから早速2人の紹介だ!
こっちの小さな少年は街で噂の便利屋冒険者アユム! 剣から弓まで、果ては魔法拳士もできる器用貧乏!』
持ち上げられて照れたアユムはすぐさま落とされて落ち込む。
『もう1人はみんな知ってるよな! 昨年のクラス20ベスト4! 最近サボってレベルダウン目前! ラーセン爺さんがこわいぞ! ダジル!』
盛り上がる会場、ダジルは確かにサボった時期があったので憮然としながらも受け入れる。戦いが怖くて肘の違和感に逃げていただけだった。覚悟を決めると肘はいつも通り動いてくれた。
『2人とも、行くぜ! 試技開始!!』
大会役員の言葉とともに『タン』と2人の足元から破裂音が発生し残像が見えるほどに加速される。
その後の状況は周囲の予測に反しアユムの一方的な展開となっていた。音のフェイント、動作のフェイントに翻弄されしたたかに腹を打たれ、太ももを蹴り抜かれる。
あまりの一方的な展開に音声魔法道具を持った大会役員も思わず言葉を忘れる。
ダジルの巨体が宙に浮き、『ぐはっ』肺に溜め込んだ空気が吐き出され、ダジルは力が入らない状況に追い詰められる。そして顔を上げるとアユムの拳が迫っていた。
ごーーーーん
その瞬間、時計塔の鐘が鳴り10時に、時間制限になった事を知らせる。アユムは拳を納めてダジルに背を向け歩き去る。
『おーーーっと! これは予想外! 2人ともいい試技ありがとう! では引きつづいて………』
大会役員が元気にアンダーの情報を流しているのを背中に感じながらアユムは静かに興奮していた。アユムの拳を眼前にしてダジルはこう言い放った。
『この程度か、安心したよ』
アユムは今までに味わったことのない類の興奮を感じていた。そしてその興奮を教えてくれたゼッケン1ダジルに感謝した。
ゼッケン10のアユムが彼と対戦するとしたらこの会場の代表者決定戦。
おあつらえ向きのシュチュエーションだ。
ワクワクを抑えながらアユムは試合会場の外で下のクラスの試合を眺める。
あれ? いつの間にかうちの主人公バトルジャンキーになっちゃってるよ……。
(次話につづく!)
定型挨拶忘れたのであとがきでの言い訳コーナー!
◆アユムはバトルジャンキー?
鱈「違います、場に流されてるだけです。ノホホンとしているので空気読んでのっかちゃう子です」
◆ダンジョン農家はバトル小説?
鱈「怪しいところですが、ノンビリものです。きっとアームさんが15階層でニートしてるので地上は真面目に見えるのかもしれません」
◆アームさん達は地上にこないの?
鱈「1章の最後は特例での結界解除で通れたので今は通れません。あとアームさん達はフロアボスのお仕事がちゃんとありますので。。。きっと。。。」
ということで、週一になるのはいつになることやら、環境がかわるとかけた。『作家を缶詰にするのは有効的』と認識したぐう鱈でした。
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何? 作家気取りかって?
そんなつもりは全くないです。誤解しないでね。
単にファクトを確認しただけなのですよ。