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54話「恋するワームさん」

主人公の名前を書かない話が数話続いて名前を忘れる。

カクヨムでアップした短編のキャラクター設定やりすぎたか……。

 広くなった15階層で普通の者には廃棄物の葉を食み、地中に潜って土を肥やすそんな仕事を区域割をして行っているワームさん一派。


 「ボッ(そう言う事で今日も頑張りましょーっす)」

 「ボッス(了解。とっところでユーキさん、今日もいい天気ですね……)」


 (ダンジョンでそれか――――――!)


 ワームさんは知的クールの虫、ジルキスさんが外れたことを言っている。当然ながらユーキさんは興味無さげに去っていった。

 言っておくがワームさんはユーキさんに声さえかけられない。ジルキスさん一歩リードの状況である。


 「甘酸ッパイ青春シテマスネ」


 ナイトウさんがマールの手伝いをしつつあきれがちに言う。


 「え?」


 それを聞いて戸惑うマール。マールにはモンスター達の言葉はわからない。そしてどれがワームさんなのかもわからない。


 「春だからかな………」

 「夏デスヨ? 今」


 なんとなくマールが漏らした言葉に不思議そうにナイトウさんが突っ込む。

 ダンジョンに季節感はないので分かり辛いが今は夏である。


 「夏かぁー、格闘大会の夏だなぁ~」


 コムエンドに夏の到来を知らせる夏の祭り格闘大会。

 気温に、男たちの熱意に、観客たちの予想に熱気あふれる季節格闘大会。


 「お店お休みして観に行こうかな………」

 「エー、イイナァ。私モオ祭リ見ニ行キタイデス」


 緊急事態という事と師匠達が連行する形だったので、アームさんと権兵衛さんとワームさんは待ちに出れたが、さすがにアンデットのスケルトンを街に出すわけにはいかない。


 「無理デスヨネー」

 「………うん。ぶっちゃけ無理かな~」


 とマールが言いかけたところでダンジョンの天井からスポットライトの様にまばゆい光の柱が降ってきた。


 『改造。お望みですか?』


 降臨はせず、音声だけが降ってくる。


 「可能ナノデスカ?」

 『ぶっちゃけ、可能です!』

 「デハオ願イシタイデス!」


 「ちょっと、落ち着いて考えて」とマールがナイトウさんを押さえたところで光の柱が細くなる。


 『ムムム。干渉力が……おかしいのです。そちらにアクセスできな……』


 光が消え、音声も消えた。


 「期待サセテ、落トサレタ…………」

 「相手は神様だから、落ち込まないで…………」


 ちなみにどんな改造を施すつもりだったのでしょうかブラック様。

 【ここだと、地上が見えますね……何だったのでしょう………。あ、改造内容ですか?】

 そうです。

 【岩を肉代わりにしてアンドロイドにしようかと思ってました!】

 アンドロイドっすか? ちょっと時代に合わなくないですか?

 【違う世界の言葉ですが行き過ぎた科学は魔法と変わらないのです!】

 へぇ。


 さて、なんとも不思議そうにしつつも『スケルトン改造サンプル一号……惜しい事をしたのです……』などと宣いながらもブラック様が去っていきました。

 さてダンジョンに再度視点を戻すと師匠達のオーダに応えるマールと、20階層にやってきた農業研修生モンスターのお世話をしつつ指導役の師匠の横で通訳をしているナイトウさんが映る。


 さて、現在我らが主人公アユムだが、壮絶なしごきにあっていた。

 本気の動きをするリンカーに翻弄され続け、既に体はボロボロである。


 動きだけ本気のリンカーを視界の端にとらえることもできず、足音や空気を切る音でフェイントを入れられ死角から急所を軽く打たれる。足を払われる。宙に放り出される。


 下手な対処をすれば骨を折られる勢いの攻撃が飛んでくる。


 「アユム、やる気があるのか?」


 朦朧とする意識の中、アユムはその声を聴いた。


 (呆れられた…………)


 緩んでいた感覚はなかったが、本格修行を前にアユムは自分の意識が緩んでいたことを実感する。

 平和な日常。ダンジョンでの特別な日常。仲間や共に囲まれやりたいことをしていた日常。


 悪だとは言わないが、未だアユムは冒険者である。


 心配げに見守っていたメアリーが駆け寄ろうとしたが、それをアユムが手で制した。

 そしてアユムは自らに回復魔法を施し、戦闘不能状態から回復する。

 『下手なことはやめなさい! 後遺症が出たらどうするの!』

 心配そうに叫ぶメアリーを見て、アユムはふと思い出す。メアリーがトップランクの冒険者に成り上がった秘技を。そして魔法組合での修行で体得した技を。

 アイディアはふとした瞬間に下りてくる。

 アユムは解けた身体強化を張り直し、メアリーの身体変異(メアリー本人は【レベルブースト】と呼んでいる)を使う。

 ピリピリとした感覚が全身を覆い、疲労と痛みで緩んでいた意識が一気に覚醒する。

 そしてこの状態の自分に先日掴んだ土気の魔法力を纏う。


 魔纏と呼ばれる技術である中級から上級を目指す冒険者にとって登竜門と呼ばれる技術だ。

 メアリーは目を丸くして驚く。リンカーは獰猛な笑みを浮かべてアユムの挑戦を待つ。

 2人は教えても居ない技術を体得した弟子に驚愕するも、見たものを凍りつかせる笑みを浮かべる。


 ((面白い………))


 彼らの現役時代を彷彿とさせる気配を受けてあっさりと意識を手放すアユム。

 この時アユムのレベルは21。中級駆け出し程度のレベルである。レベル40超えてやっと魔纏の尻尾を掴みかけると言われるこの業界で偉業とも呼べる出来事であったが、アユムのレベルではまだまだ負荷に耐えられなかったという事だ。


 と


 リンカーとメアリーは夕飯の席で言い訳をした。


 兎にも角にもアユムは農作業は程々でリンカーによる鬼のしごきがこの後1週間続いた。


 「がう(アユム! お風呂いこっ!)」


 湯船で沈みかけたアユムを背中に担ぎ上げたアームさんはうっすらとアユムにお湯がかぶる様にかがみながら背中のアユムが完全に寝入るのを待った。


 「がう(……急いで強くならなくったって良いんだよ……)」


 (でも……)


 寝湯につかる様にうっすらと心地よい湯に浸かり、心地よい眠りに落ちそうになりながらもアユムは強さを求めた。


 (戦いたいときに戦えないのは嫌なんだよ………)


 不意にあの時のグールガンの表情が脳裏をよぎる。そしてアユムに再度決意を促す。強くなるという強い決意を。




 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

明日もアップします。


そして7月から本職が変わるので

週に1話のペースになりそうです。


設定追記:通常の魔纏は『身体強化』+『魔法力コントロール』で可能です。『レベルブースト』を混ぜたのはレベルが成熟していないアユムのオリジナルになります。

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アームさん
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