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40.4話「モンスター農家スカウト!そのよん」

こんばんは!

 20階層へ続く階段を降りると石造りのフロアがアユムたちを迎える。

 薄明かりが巨大な両開きの扉を映し出され、扉をくぐった後に待ち受ける集団対集団の激戦を想わせる重厚感が漂っている。

 15階層には無い雰囲気だ。

 15階層は本来、階段を下りるアームさんと目があう。

 そこから始まるのは達人同士の間合いの読み合い、そして戦闘が始まる。つまりは徹頭徹尾一騎打ち用のフィールドなのだ。


 さて20階層だ。


 コンコン


 とりあえず何も言わず、ドアをノックするアユム。

 いやいやいや、とツッコミを入れたいモンスター達。


 ゴゴゴゴゴゴゴ


 重たい音を響かせながら両開きの扉が明けられる。

 隙間から1.5mほどの小柄なスケルトンがぬっと体を出す。豪華な鎧を着ているのでナイトスケルトンだろうか。


 「ハイ、20階層モンスター集合居住地域デス」


 若い女性の声だった。


 「がう(女か!)」

 「ボウ(俺も知らなかった。この情報!)」

 「ボッ(割とどうでもいいと思うっす!)」


 空気を読まないモンスターズを横目にナイトスケルトンはこう言い切った。


 「女性騎士ダカラ何ダトイウノデスカ! 私ハ誇リ高キ、ナイトスケルトン! アマリ侮ルト、ドア締メマスヨ?」

 「ボウ(すまぬ。侮ったわけではないのだ。驚いただけだ)」


 権兵衛さんが正直に頭を下げるとナイトスケルトンはその謝罪を受け入れたとばかりに鷹揚にうなずく。


 「チナミニ、前世ノ記憶トカ生前ノ記憶ナンカナイデスカラネ! 他ノモンスタート何ラカワナインデスカラネ! 差別スルト拗ネテ扉溶接シマスヨ!」


 ぷんぷんと音を立てるように怒るスケルトン。

 ……なんだか可愛いスケルトンである。


 「がう(…………貴女もダンジョン作物たべたの? 骨なのに? どうやったの?)」


 勇気あるアームさんが空気なんか読まず、ナイトスケルトンに質問する。


 「食ベマシタ」

 「がう(食べたものどうなるの?)」


 続けざまに投げかけられたアームさんの質問にナイトスケルトンは真面目に考える。

 うーんとうなり首を傾げる姿は普通にホラーだ。


 「食ベタラオイシカッタンデス。ナイハズノ胃ニ染ミ込ム感ジデ……」

 「がう(そのまま床に落としちゃうとかないよね? そんなことしたら勿体無いんだよ?)」


 アームさんの頭脳が久しぶりに仕事をしたのはそう言う事だった。

 そう言うこと。つまり食べ物勿体ない=食欲!


 「ソンナ勿体ナイコトデキマセン! 美味シイモノハ正義デス」

 「がう(アユム! 逸材発見!)」


 キラキラした瞳でアユムを見るアームさん。

 アユムは熟考した結果こう告げる。


 「うちで通訳しませんか?」


 アユムがはじめに考えたのはウェイトレスだ。

 しかし、すぐにそれだけではもったいなく考えてしまった。

 モンスター達と師匠や冒険者たちの間を今はアユム一人がつないでいる。大変だがやりがいがったある。しかし。そればかりにかまけている時間もなかった。故に、アユム以外で通訳できる者がいると助かる。とっても。


 「ウーン。ココノ暮ラシモ快適ナノデス。ドウシマショウカ………15階層ニ行クト人間トノ交流ガ増エルノデスヨネ?」

 「はい」


 アユムは期待のまなざしで見つめる。


 「人間ガイルッテ事ハ帰リ道デ襲ワレソウデ……コワイデス」


 怯える骨騎士。

 いや、可愛くはない。かわいくはない。重要なので2度書きます。


 「大丈夫です。うちの師匠たちに言っておけば安全です。きっと」

 「オ師匠様デスカ……」


 「片手剣から両手剣、槍の師匠もいますよ」

 「通訳シマス。デキレバオ給料デ可愛イ鎧ドレス希望デス」


 内またでルンルン気分のナイトスケルトンが15階層で働くことになった。


 「名前付けてもいいですか?」

 「オ願イシマス」 

 「じゃ、ナイトウさんで」


 アユムのセンスについていけない。そう空気を読まないモンスターズは思った。

 そして、アユムはナイトウさんを仲間に引き入れ15階層に戻っていった。


 「ボウ(まて、20階層が本来の目的地だろ?)」

 「ボフ(あー、中でムウさんが拗ねて体育座りしちゃってますよ……)」


 本命をすっかり忘れていた一行であった。


 

ここまで読んでくれてありがとうございます。


あ、明日も朝に20階層でのお話を出します(予定)

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アームさん
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