20.5話「ダンジョンに出会いを求めるモンスターたち♪」
こんばんは!
今日は作風がちょっとだけ違います。
少し真面目です。
ダンジョンとは神々の創作物である。
世界を管理する超常なる存在、それが神。
神はその形に意味はない。肉にも意味を持たない。出身が熊であれば熊であるし人間から昇華されれば人になる。その美醜においても在り方が美しいと判断されれば美人であるし、醜いと判断されれば不美人。
では、その美醜はどのように判断されるのか。
簡単である。その存在意義に近い者が美しくあるのだ。故に高位の神ほど美人である。
恋愛神が美しいのは私心無く世界を構成する生物の恋愛、生殖行為に伴う種の発展分野にて多大なる貢献をしているからである。
では存在意義とは何か。
神は世界の管理を行うもの。世界を安定させ【神々の理想】に近い環境を模索する。
そんな神々が何故ダンジョンを作ったのか?
人間からするとダンジョンとは、モンスターの巣窟だ。
放置すると暴走し、神話に登場する災厄の様なモンスターが出てくる。
害悪としか言えないのではないだろうか?
しかも宝物・素材・栄誉、つまりは人類にとっての欲を刺激する。
往々にして欲に走る人類は害悪である。
つまるところダンジョンとは、欲深い人類を集め誘惑し誘い込んで殺す1次被害。欲深い人類が関係のない人類を巻き込んで害をなす2次被害。
人間から見た視点では害悪にしか見えない。
それが神々の理想だというのだろうか?
ないに越したことはない?
だが、必要だから存在する。
世界創生時、創造神は世界に【魔法】を生み出した。
世界の法則の一つとして、力の流れを作った。構成する要素の一つとして力を作った。
初期段階まではその世界は非常に安定していた。
新たなる魔法と言う力を純粋に扱えるものが現れ、徐々に知的生命体が現れてきた。
それを指して人類と呼んだ。
初めに文明に目覚めた者達を人間たちの呼び方で言うと魔族という。
魔族はその在り方が魔法の根源に近く、その根源の力【魔法力】を尊い存在としてあがめていた。
数も少なく、長く生きる種であったため彼らは神々の想定内で力を使っていた。
次に竜が生まれる。神々から離脱した龍から派生した一族であった。彼らは肉に固執し純粋で残酷な生物だった。彼らも力について神聖視しており使い方を誤らなかった。
更に龍が竜を作ったのを見て精霊が獣人を作った。獣人はより精神的な存在であり、力について親である精霊と同様に親愛の情をもって接していた。
最後に人間が発生した。
彼らは力を力として認識した。そしてその認識は、短い寿命もあってあっさりと力の使い方を間違え、反省を繰り返し間違いも繰り返した。
神々は人類に教えを与え神殿を作らせ魔法を指導するようになった。
人間はそこでまた、間違いを起こす。
同種による個人の利益を求めた争い【戦争】に力を使い始める。
そしてそれはそれまで純粋に過ごしていた他種族にも影響を与えた。
神々が異変に気付くと世界の安定と逆の力が世界に漂っていた。
やがて原因の究明と対策に追われた神々の目に見慣れぬ生物が映った。世界初のモンスターであった。
当初モンスターは神々が滅ぼしていた。
だが人類が増えるに比例してモンスターも増え続けた。
とある神はこう吠えた。
「もうこの世界は無理だ。破棄すべきだ」
とある神はこう反論した。
「人類に対処させてはどうか。導くことも我らの職務」
神々は人類にモンスター討伐を命じた。
結果如何で世界を滅ぼすとして。
人類によるモンスター討伐は成った。
だが、それは多大なる犠牲をもって成した成果だった。
人類たちはどの種族もモンスターを避け、世界の果てに肩を寄せるように集まり始めた。
もはや、人類がいる限りモンスターは増産されるそのような状況だった為、あまり意味はなかった。
神々は焦った。このままでは世界を崩壊させるような想定外を生み出してしまう。そしてそれは神々が管理する別世界すら破壊しに渡るのではないかと懸念された。
実際に神々でなければ対応できないモンスターが徐々に生まれだしていた。
そこで生命をつかさどる神が言った。
「人類に力を与えよう。そして我らに連なる者として世界の管理をしてもらおう」
自分の尻は自分で拭けと言ったところである。
神々はここでレベルという思想を構築した。世界の安定に貢献した分、存在を力を向上させる。逆にモンスターの元になる様な行為をしたものは低下させる。
人類は力を得、モンスターを駆逐して行く。
欲に溺れ人類がモンスターを生むが、同じ人類がそれを処理する。
しかし、人類が生存圏を拡張しきれない地方は未だ力溜まりが発生し神が処理しなければならないモンスターを生み出し続けていた。
そこで神はダンジョンを生み出す。
あえて汚れた力である【汚れた魔法力】の溜まりを作り。モンスターの出現を待ち、神が見出した人類に処理させる。やがてその見出された人類たちはダンジョンマスターと名付けられた。
ダンジョンとは極小の世界であった。
ダンジョンマスターは神に従属するものとして、神様見習いとしてダンジョンを運営する。
ダンジョンを運営するにあたり、マスターは肉体をすてる。
私心をすて世界の為に、モンスターを作り出し、殺す。
時間が経つにつれ強力なモンスターを殺す為、ダンジョンを管理する為にマスターは再び肉体が必要となった。
神々はマスターの働きに満足し、管理機能や肉体構成を可能とするコアをマスターに与え融合させた。
ここである優秀なダンジョンマスターがこう考えた。
「人類が生存圏を広げたおかげでダンジョンも発見された。ここはひとつダンジョンのモンスターで彼らを強化できないだろうか?」
そのダンジョンマスターは即座にコアの機能を利用して汚れた魔法力から弱い魔物を量産した。
手狭になったダンジョンを拡張し人類を待った。
思惑通り人類が現れモンスターを退治していったが、時がたつにつれ人が減っていった。
そこで宝物と名誉を与えるとして人を寄せた。
その試みは大きな成果をあげ、そのダンジョンマスターは神に仕えるものとして天界に召し上げられることとなる。
こうしてダンジョンマスターは功績を求め相争うようになった。そしてその功績をたたえ神々の眷属とされることも増えていった。
しかしダンジョンによる世界管理はダンジョン数増加に伴い、ダンジョンマスター達の管理が【質】が問題となる。ほぼ人類に迷惑をかけているダンジョンはマスターの怠慢からもたらされると言っていいだろう。
少し話が逸れたが、つまるところダンジョンとは、絶滅しかけた人類にとってなくてはならない機能である。
いまだ世界には神にしか対応できないモンスターが存在する。
いや、人類が増えるにつけ増加している。
ダンジョンもまた、進化しなければならない段階に来ているのかもしれない…
・・・
・・
・
はぁ、長かった。語ったよ! ダンジョンが重要な理由。
人類のみんなもダンジョン見かけたらちょっと討伐に寄ってみよう♪ 神様との約束だぞ♪
―-そんな責任重大なダンジョンマスター
「酒はまだか!」
「がう(母上どうしたの?)」
「ボウ(聞くな、ながくなるぞ……)」
ダンジョンマスターが八つ当たり……じゃなく、仕事で最下層から35階層までのボスを浄化してまわったあと30階層に2人を呼んで愚痴る。
「もう、神コンなんていかない! 売れ残り扱いしてんじゃねーよ!」
「がう(う、うん。母上奇麗だよ?)」
「あー、アームちゃん可愛い! ……でね!!」
繰り返す。ダンジョンマスターは世界に重要な役割を持っている。
素晴らしい人物である。
「なーにがエリート亜神だよ。ぶりっこしやがって。そのうち抜いてやるってーの」
「がう(リッカジュースをがぶ飲みするの勿体ないよ?)」
頑張れ! ダンジョンマスター!
ここまでお読みいただきありがとうございます。
ダンジョンの存在意義を説明回でした。
真面目になり切れない!それがダンジョン農家!!