勇者が、死んだ
勇者が、死んだ。
死因は、勝負下着だったらしい。
復活させながら、聖職者は思った。
「なんて?」
教会。
勇者専用ルーム。
非常に物々しく魔法陣が複数描かれており、知識がないものであっても、一目で特別な儀式が行われる部屋であると気づくだろう。
「勝負下着ってあるだろ。嫁とファイト一発するために、嫁が装着するやつ。それで、いざ嫁とファイト一発しようとしてさ、つけてたんだよ。嫁が。紫色のやつ。そうだよ、毒属性だ。けどそん時は、そりゃもう、俺の勇者も全力でエクスカリバったに決まってるんだけど、だんだん気分悪くなってきてさ。気づいたら、死んでたんだよ。でも、よく考えたらさ、勝負下着って勝負のためのもんだよな。じゃあ、殺傷能力持ってても当たり前だよな。俺の場合は、この肉体そのものが勝負下着みたいなもんだし。嫁をみつけるまえは『もう……殺してえ………♡』って言わせてたわけだしな。ハッハッハ!」
「普通に嫁に殺された、って言うだけで伝わります」
勇者がやかましかった。聖職者は復活させたことを半ば後悔しつつ、根本的なことが気になった。
「嫁……いたんですか?」
「おう。あー、言ってなかったか。スオリアって言うんだけど」
「…………存じ上げないですね」
聖職者は頭のなかに、有力貴族やら商人やらの適齢期の娘を、思い浮かべるが残念ながら該当しそうな人物は思い当たらない。
「貴族じゃねえもん」
「そうなのですね」
「四天王だし」
「大魔女じゃねえか!!!!!!」
ばりっばりの魔王の幹部だった。山を5000個消して、人類に大ダメージを与えた存在である。
「裏切ってんのかお前」
「どっちかつうと、裏切ってるのはお互い様だぞ、こんな魔王と人類の戦争なんて。女神どもの談合でマッチポンプなんだし。お偉方しか、戦争やら領地やらを気にしてねえぞ」
「この流れで私の信仰を揺るがす真実を吐かないでください!」
「でも、女神っておっぱい小さくて太もも太いぞ」
「信仰戻りました!」
聖職者は、非常に敬虔だった。敬虔だったので、こほんと咳払いをして、話題をもとに戻せるのだ。
「で、百歩譲って、嫁が大魔女というとこまでは、認めたとして。殺されてんじゃねえかよ」
「惚れた女に命の四つや六つ捧げんのは、男の誉れだろ」
「普通は命は一つしかないんですよ」
そしてどうやら、勇者は嫁に何回か殺されているらしい。聖職者は舌打ちした。
「めっちゃ嫌われてないですか」
「かーーーーwwwwwばっかじゃねえのーーー(笑)」
「めっちゃ嫌われそう」
少なくとも聖職者はこの勇者がきらいである。
「お前は、ツンデレの見分けもできないんだな(笑)俺の嫁は、めっちゃツンデレでそんなとこもかわいいんだけど。ちなみに、毎日ゴキブリ食わされてる」
「多分、ツンデレじゃなくて、ツンキライじゃないですか」
「でも、魔族は基本的に昆虫食メインで、ゴキブリも食用が飼育されてるぞ」
「否定できるだけの魔族文化の知見がない……!でもたぶん、こいつは嫌われてると思う……!」
そうであって欲しいと、願う。
「でさ、考えたんだよ。今度聖属性の勝負下着を嫁に贈ろうかなって。協力してくれよ」
「普通に作るわけないですよそんなの」
「あ、性属性になるってか(笑)」
「さっきから思ってたけど、この勇者しょーもねーな!」
作れた。




