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勇者が、死んだ

作者: Wana-wana
掲載日:2026/03/11

 勇者が、死んだ。

 死因は、勝負下着だったらしい。

 復活させながら、聖職者は思った。


「なんて?」




 教会。

 勇者専用ルーム。

 非常に物々しく魔法陣が複数描かれており、知識がないものであっても、一目で特別な儀式が行われる部屋であると気づくだろう。


「勝負下着ってあるだろ。嫁とファイト一発するために、嫁が装着するやつ。それで、いざ嫁とファイト一発しようとしてさ、つけてたんだよ。嫁が。紫色のやつ。そうだよ、毒属性だ。けどそん時は、そりゃもう、俺の勇者も全力でエクスカリバったに決まってるんだけど、だんだん気分悪くなってきてさ。気づいたら、死んでたんだよ。でも、よく考えたらさ、勝負下着って勝負のためのもんだよな。じゃあ、殺傷能力持ってても当たり前だよな。俺の場合は、この肉体そのものが勝負下着みたいなもんだし。嫁をみつけるまえは『もう……殺してえ………♡』って言わせてたわけだしな。ハッハッハ!」

「普通に嫁に殺された、って言うだけで伝わります」


 勇者がやかましかった。聖職者は復活させたことを半ば後悔しつつ、根本的なことが気になった。


「嫁……いたんですか?」

「おう。あー、言ってなかったか。スオリアって言うんだけど」

「…………存じ上げないですね」


 聖職者は頭のなかに、有力貴族やら商人やらの適齢期の娘を、思い浮かべるが残念ながら該当しそうな人物は思い当たらない。


「貴族じゃねえもん」

「そうなのですね」

「四天王だし」

「大魔女じゃねえか!!!!!!」


 ばりっばりの魔王の幹部だった。山を5000個消して、人類に大ダメージを与えた存在である。


「裏切ってんのかお前」

「どっちかつうと、裏切ってるのはお互い様だぞ、こんな魔王と人類の戦争なんて。女神どもの談合でマッチポンプなんだし。お偉方しか、戦争やら領地やらを気にしてねえぞ」

「この流れで私の信仰を揺るがす真実を吐かないでください!」

「でも、女神っておっぱい小さくて太もも太いぞ」

「信仰戻りました!」


 聖職者は、非常に敬虔だった。敬虔だったので、こほんと咳払いをして、話題をもとに戻せるのだ。


「で、百歩譲って、嫁が大魔女というとこまでは、認めたとして。殺されてんじゃねえかよ」

「惚れた女に命の四つや六つ捧げんのは、男の誉れだろ」

「普通は命は一つしかないんですよ」


 そしてどうやら、勇者は嫁に何回か殺されているらしい。聖職者は舌打ちした。


「めっちゃ嫌われてないですか」

「かーーーーwwwwwばっかじゃねえのーーー(笑)」

「めっちゃ嫌われそう」


 少なくとも聖職者はこの勇者がきらいである。


「お前は、ツンデレの見分けもできないんだな(笑)俺の嫁は、めっちゃツンデレでそんなとこもかわいいんだけど。ちなみに、毎日ゴキブリ食わされてる」

「多分、ツンデレじゃなくて、ツンキライじゃないですか」

「でも、魔族は基本的に昆虫食メインで、ゴキブリも食用が飼育されてるぞ」

「否定できるだけの魔族文化の知見がない……!でもたぶん、こいつは嫌われてると思う……!」


 そうであって欲しいと、願う。


「でさ、考えたんだよ。今度聖属性の勝負下着を嫁に贈ろうかなって。協力してくれよ」

「普通に作るわけないですよそんなの」

「あ、性属性になるってか(笑)」

「さっきから思ってたけど、この勇者しょーもねーな!」



 作れた。


 



 

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