8話
えーっとですね、こちらはただいま、バビロン高原という場所に来ております。
ご覧になれば分かると思うのですが、あたり一面が背の低い草に覆われていて、ところどころで不穏な動物(魔物)がいますねー。
さらになんと、ここでは食べ物がない。
魔物を倒しても、
「ジュー」
っていう不穏な音を立てながらドロドロに溶ける。
怖いので食べられない。
いや本当に困っている。
でも取り合図寝る場所の確保と薪の確保と火種の確保を魔法で済ませていると、今まで黙っていたお母さんが口を開いた。
「そういえば、さっきから色々取り出しているのはなんなの?」
ってね。
ちなみにあれは、生活系魔法『家財召喚』である。
この魔法は本来、火種を自由に取り出すことができるという魔法で、火属性と召喚系魔法の二つを融合させた難易度の高い魔法の割に使い勝手が悪いので私が改造したやつだ。
確か、生活に必要なものは思い浮かべるだけで手に入るものだったはずだ。
えっと、ちょっと待てよ、食料って生活に必要だよね。
ってことは、魔法で取り出せるんじゃね?
ってことに今更気がついた。
どうして今更気がついたんだろうなと思えるような迂闊さである。
とりあえず、思い出させてくれたお母さまに感謝しかなさすぎると同時に、この程度のことにも気がつかない自分に呆れながらも魔法を試すことにした。
取り合図少しみんなとは離れたところで魔法を使い、美味しいパンとおかずと汁ものが届くようにと念じていたら、使用人たちの分も含めて、ほかほかで美味しそうなごはんが出てきた。
ごはんを魔法で取り出せるというこの魔法の使い勝手にびっくりしつつ、取り合図は全員に振る舞うこととなった。
ちなみに、みんなが絶賛してくれたので出所を白状すると、家族全員がびっくりしたような顔になり、元の表情になるまでに10秒くらいかかっていた。
まあ、あれが当然の反応だろう。
本来魔法は、生活の手助けをするためのものなのだ。
つまり、今の魔法だけで生きている状況は大変異質なのだ。
まぁ、別にいいんですけどね。
ということで、家族や使用人たちと見張りの順番を決めて見張りをすることにして、とりあいず私は寝ることにした。
布団に入ると、結構良く眠れたので疲れていたのだろう。
翌朝
朝起きてテントからでてみると、びっくりするものが置いてあった。
魔物の死体の山である。
魔物がものすごく不憫に思えるほどに、全身傷だらけの血みどろになって死んでいた痕跡が残っている。
その数およそ100以上。
正直に言って、とってもとってもかわいそうなのだが、私は知っている。
こいつら全員、街に1頭でも入り込むと大騒ぎになってくるレベルの魔物であることを。
それが100匹だよ。
すごいよねー。
まぁ、それはとりあいずいいんだよね別に。
ということで私が問題だと思うのは、何でこんなに積み重なって魔物の死体があるのかであろう。
しかし、その答えはすぐに分かった。
魔物の死体の山の真ん前に、刀身が見えている刀を握りしめ、返り血を刀に着けたまま寝ている奴がいるからだ。
血の状態と魔物の様子からして間違いないだろう。
犯人は⋯⋯⋯⋯
うちのアリスだー!!
一応、確かめるために起こして話を聞いて裏付けを取ると、予想道りだった。
アリスは、剣術に長けているのだ。
もちろん、私もそれなりの腕だけど、それはアリスに教えてもらったからだ。
妹は自主的に剣の腕を磨いていた。
私は感覚でどうにかしちゃうタイプだったので、アリスとは練習の仕方が違う。
しかし、私よりも魔物を殺すのが上手くなり、私が作った専用の覆面をつけて正体を隠しながらこの大陸でSS級冒険者として崇められている。
ちなみに、SS級冒険者の称号を手にしている人は、歴代で3人しかいない。
そして、歴代の中でも極めて凄い剣術から、
『剣鬼』とか、『剣神』とか呼ばれている戦闘狂だ。
まあ、だからこそなのだろう。
妹曰く、
「あんな近くに魔物がいたら、狩りたくなっちゃうもん。」
だそうだ。
まあ、本人が楽しくやっているので別にいい。
ということで、食事を済ませて拠点を移動させる。
結界に関してはとりあいず放置することにした。
結界の維持には魔力を使わないので、あってもなくても変わらないのである。
なのでそのまんまだ。
それからも、私たちはたびたび休憩がてら結界を張りながらバビロン高原の探索を続けていくのだった。
そしてついに見つけた。
森の入り口を。
ということで、森の入り口付近に結界を発動させようと思って森の近くまで来ると、なんとびっくり。
先ほどまで自然エネルギーを集めていた死の森からエネルギーがなくなっていったのだ。
さらに、びっくりしている私たちの前に、一人のエルフが現れた。
そいつは、
「ひとまずこの中にお入りください。」
と言って、森の中に私たちをいざなった。
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