71話
ラノールドがあかりの魔力を解析して、ノイズを見つけた時、突然異変が起こった。
あかりの体の中の魔力が、突如として反転したのだ。
魔力は、個々がもつ波のようなものだ。
それが細かい人、大きい人、流れる水が多い人、少ない人。
属性が限定されたら色が着き、全属性なら透明になる。
名前をつけると言う行為は、そんな個々の水の中に、別の水を入れるようなもの。
つまり、魔力が変化する。
でも、所詮はその程度。
人間の魔力は人生の中でそこまで変化しない。
それは、亜人や魔族も同じことだ。
魔力の波が大幅に変化すれば、生物は大抵死んでしまう。
動物がしょっちゅう死ぬのは、この名付けがうまく行ってない時がほとんどだとも言われる。
だが、そんな魔力の変化の中で、唯一死なない変化がある。
それが魔力の反転だ。
イメージは、海の波の満ち潮と引き潮のようなもので、これだけはむしろプラスに働くことが多い。
魔法を使った直後、魔力の多い場所に向かった後などに起きやすく、全生物が魔力を増やす唯一の手段だ。
だが、今回のこの反転は、少々様子がおかしい。
さらに解析を続けると、やがてノイズは収まり、嘘のように正常に戻っていった。
想像してしまう。
こんな初めての魔力の波。しかも反転。
アメリアに何かあったのだろうかと。
すると、あかりに服を掴まれて言われた。
「何ぼさっとしてんのバカ!さっさと行けよこの愚鈍が。お前はアメリアのこと考えてりゃいいんだよ。バカップルめ」
終盤の言葉の意味がわからなかったが、早く行けと言っていることはわかった。
どこにアメリアがいるのかを聞くまでもなく、すぐさま転移で飛ばされた。
アメリアは気絶していて、魔力があるから生きてはいるようだった。
でも、虫の息だ。
鼓動が少しずつ弱まって、魔力がなくなっていく。
意味のないことなのかもしれない。
それでも、失われてく魔力を埋めるように魔力を入れ続けた。
結論から言おう。
アメリアは無事目覚めた。
そして、アメリアの記憶は正常なままでいた。
あの頃のことは、正直言って対して覚えていない。
ただ、私が目を覚ました時、ラノールドがいたく心配していたことを覚えている。
多分、私が記憶を失わずにいられたのは、本当に偶然だったと思う。
私が目を覚ます前、多分システムがバグを起こしたんだと思う。
剣の代償である記憶を失うは、本来自分の記憶を魔力ごと巻き戻して消滅させるものだろう。
しかし、魔力は本来、名前をつけることで連なっていくものだ。
あの剣は、そういうバグが起こるようにって作られた剣なんだと思う。
誰が作ったのかは分からない。セルビアという人物が何をしたかったのかも分からない。
でも、きっと彼女は、彼女たちは消えた。
そう。消えた……はずだった。
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