69話
アメリアの家臣たちが魔力暴走に蝕まれ、身動きが取れなくなった頃。
アメリアを助ける人物はいないと思われた。
だが、いたのだ。
この騒ぎに驚かず、冷静に状況を見つめた者がいた。
ラノールドだ。
彼はアメリアを引き止めようとした時、アメリア本人からこう言われた。
「すまないけど、多分私はこれから暴走する。制御不能になる。だから、もし私を戦場で見かけたら、制御して。できるよね」
アメリアはそれをいうと、まるで返事を聞かないでどこかへ行ってしまった。
思えばアメリアはこの時すでに、剣の力を使うことへの代償を支払い始めていたのかもしれない。
そう考えればこの短絡的な行動も、納得がいくものだ。
そしてラノールドは、アメリアが暴走することを魔力の暴走と位置付けた。
魔力を与えた者が暴走すれば、与えられた側も暴走するのは自然の摂理だろう。
そう考えたラノールドは正しかった。
すぐさまラノールドは魔力暴走似ついて、己の魔力について実験を始めた。
魔力のデータはすぐに集まり、いよいよ分析と言うところで始まったのがあかりたちの魔力の暴走だった。
ラノールドはまず、あかりの魔力の分析を行った。
あかりを辿ればアメリアに辿り着けるかもしれない……。
そんな希望を抱きながら、必死だった。
別に、あかりさんはあまり好きじゃない。
むしろ、あの人のことは好きじゃない……と思う。
でも、アメリアのことを一番に考えている。
だから、アメリアのために動く。
魔力の分析はかなり難易度が高い。
アメリアならすぐに出来るのに……。そんな歯がゆい想いに囚われ、身動きが取れなくなりながら。
〜あかり〜
一方あかりも、歯がゆい想いに苛まれていた。
魔力暴走の兆しは確かにあったのだ。
いつもよりも魔力が乱れて、苦しくなって。
でも、それ以上にいろんなことが重なって、アメリア様に迷惑なんてかけたくなくて、だから何も言えなかった。
でも多分、本当はどこかで、アメリア様に甘えてたと思う。
何があっても、助けてくれるって。
でも、アメリア様はある日を境に別人のようになった。
そんな暗くて、理性をどこかに置いてきたようなアメリア様に、独り言のようにこぼされたのは、いつだったか。
「あかりと、ラノールドって不思議だよね。二人とも魔力の扱い方とか波長とかは似てるのに、根本的に何かが違うような……」
この言葉で合点がいった。
こんなことを言うのはラノールドさんに失礼だと思っていたが、ラノールドさんのことはあまり好きではなかった。
なぜかはわからない。ただ、行動全てが鼻につく。
最初は、アメリア様に好きな人ができる人が許せないのかと思っていた。
でも、アメリア様を使ってラノールドさんに嫌がらせをしてしまった時、自分が単純に彼が嫌いなのだと思った。
でも、あの人はそれ以前に、アメリア様の大切な人だから。
だから、彼に何かあったらアメリア様に申し訳ない。
だから、ラノールドさんの魔力を分析していた。
なのに、よりにもよって解析が終わる前に私が倒れるとは思わなかったな……。
ごめんなさい。アメリア様。ごめんね。ラノールドさん。
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