68話
アメリアが聖ヨガ王国へと向かったその直後、あかり及びその配下たちに異変が起きた。
魔力の暴走である。
特に、あかりやアメリアの家族たちがひどい有様だった。
彼女は元から魔力暴走が起きやすいが、今回起きたのは彼女の体質によるものではなく、端的にいえば創造神ノ剣の影響だった。
名前をつけられるという出来事は、魔力を持つ者にとって大きな意味がある。
例えば一般的な魔力がほぼない人間。
彼らが名前をつけると、その少ない魔力の一部が譲渡される。
名前をつけられる時、その子供の魔力の10%分を親が与えなければならない。
そのため、魔力が10ある親から魔力が5の子供が生まれ、その10%の0、5を譲渡する。
大人も子供も魔力が10%を切れば死亡のリスクがあるが、これなら基本的に死亡のリスクは低い。
そうして名付けをされた子供は初めて親子の魔力という繋がりを得ることができる。
だが、魔力を幼いながらに多く持った者の場合、事情が大きく変わる。
基本的に魔力量は遺伝する。
もしも魔力の強い人間同士の子供であれば、魔力が乗算のような塩梅で両親の魔力量よりも多くなることがあるのだ。
こうした場合、名付けは親子としての繋がりではなく、自分に身の危険が及ばないように、自分が管理できるようにするため名付けをするのだ。
最も、そんなことは基本的に起こり得ない。
せいぜい三世代に一人いるかどうか。三世代というのは魔族という人外の存在基準での三世代、人間よりも辛くて、苦しくて、長い一生だ。
こうした場合、名付けは生まれた瞬間に儀式として行う。
基本的に仕組みは単純で、両親が二人で魔力を増幅させ、子供の魔力を少しずつ吸収する刻印を魔法で子供につける。
そうしてある程度魔力が弱まったところで、一時的に魔力を強めた両親が、特殊な魔法陣を形成する。
完成した魔法陣は隷属の魔法陣と呼ばれる。
完成した魔法陣に刻まれた名前は魔族
だが、この魔法陣はよく失敗してしまう。
神の悪戯かのように作られた彼らはやがて、魔力の濃い場所、人間が近寄らない場所に捨てられていった。
そんな場所にはずっと魔力が残り続ける。
やがて人々が扱うことのできる魔法が少なくなってきた頃、魔族たちは忘れ去られ、魔族の捨てられ場所であった死の森という名前だけが残ってるそうだ。
話を戻そう。
今回のあかりたちは、少し事情が異なっている。
アメリアの配下の中で名前のなかった緑の民たちは、あかりと魔力によって繋がっている。
あかりは元々の名前を喪失し、名無しになった。
つまり緑の民たちはアメリアと密接な魔力のつながりがある。
そしてそれは、家族も同じだ。
アメリアが危ない。
そのことに気がつく時には、あまりにも時間が経っていた。
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