57話
俺はまず、貴族たちの説得を行うことにした。
貴族たちは議題が出される度に会議を行い、その結果によって議題については決定される。
その結果は基本的に皇帝であっても干渉することができない。
だが、結果ではなく会議そのものに対しては干渉することができる。
貴族会議は年に四回ほど行い、よほどの事情がない限りは年に二回は必ず出席しなければならないとされる。
貴族は全員参加でき、新興貴族から歴史ある名家まで、様々な貴族たちが集う場だ。
一応全ての貴族が一票投票権を持つが、実質派閥の意見に同調する貴族どもしかいない。
要はただの派閥の大きさ争いだ。
だが、貴族会議の難しい点は別の所にもある。
貴族会議は定期的に開催され、出席を推奨されはするが強制はされない。
つまり、自分の派閥の人数と貴族会議での影響力が必ずしも一致する訳ではない。
だからこそ貴族会議は、始まる前の情報収集が命と言われている。
だからこそ、自分の派閥の人間が買収され、来ると思っていたのに来なかった⋯⋯なんてこともありえてしまう。
ちなみに、貴族会議は貴族という名前がついているものの、皇帝も出席することができる。
皇帝の立場は中立であることが多いけど、議題を出す立場であれば意見を言ってもいい。
ただ、建前上貴族会議は平等なので皇帝がだした提案に反対しても不敬罪には一切ならない。
俺は早速直属の部下を動かして情報を探る。
本音を言えばアメリアが持っている陰の一族のように諜報に特化して、かつ自分に忠誠を誓ってくれている者がほしい⋯⋯と言っても仕方がない。
だが、今の俺には信用できる部下が少ないというかほぼいない。
俺に忠誠を誓っている諜報員、騎士、文官などは多い。
だが、それはあくまでも仕事。
心から忠誠を誓っているかなんて分からないと腹をくくってやるしかない。
今回既に提出されている議題は二つ。
一つ目「次期宰相をどうするか」
元宰相は既に罰を受けていることは誰もが知る事実。
だが、まだ宰相の枠が埋まらないがために宰相にふさわしい者を剪定する。
そして二つ目が、「皇帝の結婚および次の皇帝について」という議題だった。
これは本当にたまたま、貴族どもが連名で出してきた議題で、あわよくば自分の娘を⋯⋯という態度が透けて見える。
そして、この二つ目の議題の時に私は結婚相手を決められることを阻止し、聖ヨガ王国の話に持ち込む必要があるのだ。
貴族どもが俺の婚姻の問題を持ち出してきたのは貴族会議だけで三回目。
これまではなんとか誤魔化してきたが、今回は連名で、しかも公爵家が入っている。
これからのことを考えただけでため息が出るラノールドであった。
アメリアside
一方その頃、アメリアはあかりに再び怒られていた。
何を怒られたかって?それは⋯⋯⋯⋯ちょっとラノールドの事で⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。
説教は長かった。
途中で一瞬意識が飛びそうになりながら、それでも頑張って正座をして耐えていた。
アメリアは、あかりが起こっている時にどうこう言っても無駄だと言うことを理解していたため、あかりの話に「はい。すみません」としか相槌を打っていない。
そして、話の内容も聞いていない。
聞く気が一切ない。
だからこそ、説教が終わったあとで、
「今日はこのくらいで良いでしょう。アメリア様、先ほどお伝えしたように、私の部下をラノールド様の元へ派遣致します。仕事の調整はこちらで行っておきますので」
と言われて立ち去られた時は本当にびっくりしていた。
「ちょっと待って⋯⋯⋯⋯」
という主の静止も聞かず、もう仕事の調整に入ったあかりは内心、
(アメリア様話聞かなさすぎですよ⋯⋯。でも、ラノールド様は応援しないと動かないしな⋯⋯⋯⋯)
と考えながら部下の配置を変えていく。
ついでに今暇だと思われるファーストを動かすことも忘れない。
こうして、ラノールドは早速心強い助っ人を手に入れたのであった。
面白いと思ってくれた方はぜひともブックマークお願いします。
誤字とか設定の矛盾とかあれば遠慮なくどうぞ。




