50話
ラノールドは、何故生きているのだろうか。
突然ごめんね。
でもね、私は言いたい。
なぜこんな、絶対に死ぬでしょみたいな魔力の暴走してるのに死なないのだ、と。
何?ラノールドって友人思い的な感じの人だったりして、気力と根性だけで魔力の暴走による死を止めているってこと?何その特殊能力。
頭の中に?がいっぱいだが、とりあいずやれることをやろう。
一刻も早く手当てをしなければならない。
呼びかけながらラノールドに少しずつ近づく。
反応は、ない。
私が行うのは手当と言っても、私はあくまでも補助だ。
ラノールド自身の適応能力と精神力、強さへの渇望があってこそ成功する。
まあ要するにラノールド次第だ。
ラノールド、頑張れ!!!
〜ラノールドside〜
アメリアがいなくなった時、周囲が真っ暗になった。
周辺の景色すら見えなくなった。
そして、相手を倒すという行動を行うためだけの動きしかできなくなった。
余計なものを削ぎ落とせば強くなると思った。
無意識に、相手を倒す以外の思考を捨てた。
思い出、記憶の全て、意識、理性、そして命。
そんな余計なものを捨てた時、動きは早くなっていった。
もはやなんのために戦うのかも分からぬまま、ただ
「戦わなければ」
という思いのみで動く。
ラノールドに理性はなくなっていった。
目的も、自分自身についても、なんのために戦うのかも思い出せなくなった。
ただ、誰かのために戦っている。そんな気がした。
自分のことを呼ぶ声がする。
厳しくて、でも優しくて凛とした声。
ずっと呼び続けている。
誰なんだろう。
そう思った。
だが 次の瞬間、ラノールドの目の前にその人は来た。
きれいな白銀の髪をなびかせて。
恐れなんて全くないみたいな顔で、僕のことを呼んでいる。
無理矢理何かされているわけでもないのに、何故かその声には、起き上がらなければならないと思わせるような必死さがあった。
ラノールドは、自分が呼ばれる方向に歩き出した。
たくさんの声が聞こえてくる。
「強さを捨てて、お前は何をするのだ」と聞く老人の声。
「また守れなかったらどうするの」と聞く女性の声。
「弱い人は嫌い」と言う子供の声。
「お前ごときにあのお方は守れない」と言う誰かの声。
「消えろ」「誰もお前なんか見ない」「消えろ」「消えろ」という誰かの声。
全部全部その全てが、鋭い刃物のように向かってくる。
怖い。
すごく怖い。
でも、それでも私には会いたい人がいるんだ。
その確固たる意志を持って歩き続けた。
たくさんの声を聞きながら、それでも歩き続けた。
一歩歩くごとに、少しずつ周りの声が受け入れられるようになってきた。
少しずつ、周りの声を聞きながら歩くことができるようになった。
それに呼応するように、自分の中の心の芯の部分が強くなっていくことを感じた。
どのくらい歩いたのだろう。
気がつけば、目の前には一番会いたかった人がいた。
思わず抱きついてしまった私のことは誰も咎めなかった。
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