28話
王太后アデリーナ・リデルリンはかつて結界に守られた小さな島国、ヤマハシ王国の第一王女だった。
ヤマハシ王国はかつて、結界師と呼ばれた者がいた。
その者がはった結界が、魔物も敵国の軍勢も弾き続けてきたという歴史を持った小国だ。
結界の管理は、結界師と婚姻を結びその地を受け継いだ王族がやる仕事だった。
それが変わったのはちょうど今から20年前の事。
最初は少しの異変があるだけだった。
結界の管理をしていた王族達が突然、狂ったように癇癪を起こして暴れるようになったのだ。
そして、結界を維持する任務も滞るようになっていった。
次々と違う王族が任務を行なっていった。
それでも、最初は王子が、次に王女が暴れるようになった。
もはや王族とは呼べなくなるような振る舞いに、国王は怒りを覚えていた。
だが同時に、暴れているのは少し前まで国の政治を共に担ってきた家族であり、仲間だ。
憎みたくても憎めないにきまっている。
アデリーナは優秀な王女だった。
国王の側近として経済や政治の中枢を担う存在だった。
結界の管理は基本的には魔法の制御に長けた王族から担っていくものだ。
かと言って結界は、管理しなければ膨大なエネルギーを維持できない。
王族が次々と手のつけられないようになったため、自ずと役目は内政に長けた王族が駆り出されることになる。
アデリーナは、成人した国王の子供の中でも最後に任務につくことになった。
アデリーナは優秀な側近として重宝されていたものの、背に腹は変えられない。
ヤマハシ王国は弱小国で、過去に何度も侵略されそうになり、その度に結界の効果で追い払ってきた閉鎖的な国のため、頼れる国などない。
最後の王女として、全ての責任を背負って結界の管理をしようとしたものの、結果は同じだった。
少しずつ、自分でも感情が制御できなくなり、結界が揺るぎ始めていく。
それなのに何もできない焦りだけがつのっていく。
結界は制御できなくなった。
そんな中現れたのが、リデルリン王国のアメリア。
つまり私のことだ。
私は、結界を解除して属国になる代わりに優秀だと噂されるアデリーナを第三王子だったアンリーに嫁いでもらう事にした。
当時のアンリーには後ろ盾が私しかいなかった。
アデリーナという優秀な人間をアンリーにつけ、玉座を近づけたかった。
しかし、アデリーナは前評判と違って癇癪持ちの問題児だった。
かと言っても精神支配などはされていなかったためにヤマハシ王国に訴えることもできなかった。
私が独自に調べても、一切何も出てこなかった。
しかし、そんな尻尾をつかもうとしてもつかめなかった相手が目の前にいる。
アデリーナの魔力には、今まで全くなかった精神支配の禁術がはっきりとかかっている。
まずは、アデリーナの精神支配を解除する事にしよう。
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また、
毒親に転生した2児の母親は、娘を大事に育てます
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に番外編を投稿したのでぜひ見てください。




