2話
いやはや、バカというのはどこまでいってもバカにしかなり得ないことが良く分かる。
わざわざ自分の愚かさを他の貴族なんかにも知らしめに来るなんてね。
なんて言ったってあいつは、
「うるさい。僕のような偉大なる王子が勉強などしなくても全く問題ないのだ。新しいことを学ぶなど、めんどくさいではないか」
と言って勉強を拒否していたために成績はいつも底辺。
そのせいというかなんというか、バカ王子は外交も貴族の掌握も政治もできない無能の分際で、プライドだけ無駄に高い王子なので、マジで使えない奴だ。
婚約破棄からの国外追放であれば、国王が誠心誠意謝罪して、バカ王子を切り捨てて隠居させるなり監禁させるなりすればまだ、ランディーネ侯爵家と王国とでの関係は改善する可能性はあったし、国としてのメンツも保てた。
しかし、バカが追求してくるなら別だ。
あれはバカだが一国の王子なのだ。
それに加えてあのバカは、予想外のことを言う才能に満ちている。
主に悪い意味で、だがな。
要するに、この国は完全完璧に詰んでしまっているのだ。
そう、完膚なきまでに詰んだのだ。
そしてバカ王子は案の定、婚約破棄後なのにバカでアホな女をはべらせている。
あれだ。
バカ王子のことを、
「すごいですアレクサンダーさま!」とか、「さっすがですアレクサンダーさま」
とかしか言えず、そのせいでバカが余計にバカになっているものだ。
顔だけが無駄にいいバカの横にいたいのだろう。
まあ、それはさておいておいて、問題はこのバカ集団だ。
一応、この国の王子様なのだよ。
普通に考えて無礼は許されないだろう。
しかし、それは私が普通の貴族であればの話に限られる。
私はランディーネ侯爵家の当主だ。
そして、それはすなわち、たいていの無礼は許される、特殊立場なのだ。
ランディーネ侯爵家は、たくさんの知識を持っている者たちのため、古くから歴史の中心にいた。
優秀な者たちを使おうとするのはどの時代も同じなのである。
しかし、私たちは非常に、非常に気まぐれだったので、ある日突然仕える国を変えたりすることがよくあった。
ちなみに、今のこの国に仕えているのは私の前の代からだ。
前まで仕えていた国が、なにを間違えたのか滅んでしまい、そこに手を差し伸べていた今の国王に好印象を受けたらしい。
そして、それは全く間違っていない。
事実、この国はかなり発展しているのだから。
そして、その原因は私たちにもあると言える。
われわれランディーネ侯爵家をどうすれば手玉に取れるか理解しているのだよ。
そしてその結果、私たちは国王と、いろんな資金面や道具や場所などの支援を受けていて、その結果が今の発展だ。
しかしまぁ、結局賢い国王の息子でもバカはバカのままだ。
びっくりするほどバカなのだ。
しかし、それは全く関係ない。
□ □ □
いろいろ考えていたから、すっかり話を聞いていなかったのだが、どうやらバカなりに煽っていたらしい。
いやー、聞いてませんでしたね。
あいつはよくもあんなにネチネチ話すことができるものである。
すみませんとも言えないけど、まぁ可哀想?なものである。
そして、バカがあまりにもうるさい。
バカが、
「お前のような可愛くない女がこの僕に嫁ぐことができるのだぞ!もっと可愛げを持つべきだったな、愚か者が!」
て言っていた。
しかし、周りから聞こえてくるのは
「王子はおしまいだな」
とかなんとか言っている声と、
うるっさいバカの声の2種類だ。
少しだけ威圧してやると、バカはガタガタふるえだしている。
この程度の威圧でふるえるような小心者であったのかと、あらためて再確認していると、妹が声をだしてきた。
「お姉様、どんなやり方にしますか?火であぶります?それとも四肢の切断でもします?」
とか言っている。
物騒だなあ。
しかしそんな真似はできない。
先ほど国王が乗っている馬車がでたと報告があったからだ。
国王の馬車は私の魔法が付与されているため、かなりはやい。
おそらく、そこまで離れていないようなこの場所には、今つくだろう。
ということを妹に説明していると、予想と同じく国王が来た。
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