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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

私、ラスボスじゃありませんからっ! リブート ~最凶ダンジョンは最強パーティーでもどうにもなりませんが、ダンジョンのラスボスは当然ダンジョン内を無双する~

作者: 御堂 騎士

挿絵(By みてみん)


 これは、世界を救った勇者を私が抹殺する話。

 今回は、その触りの部分だけお話ししましょう。




 私の名前は、猫見みずき。

 ネコ耳好きの16歳。高校1年生。

 最近はやりのTVアニメ『アサシンXファミリー』の主人公アーニャ・ボンドちゃんの髪型をまねて、ツインテールなのだ。


 今日は、朝から少しウキウキです。

 ちょっと前に転校してきた、ちょっとイケてる男子からお誘いを受けたから。

 といっても、二人きりじゃないし、デートの類ではなさそうなんだけど。


 実は私、高校ではずっとボッチなんだよね。


 小さな頃から凝り性で、好きなことを徹底的にやってしまう。

 時々仲良くなる子は確かにいたんだけど、この凝り性に付いてこれず離れていってしまう。

 その為、いつも一人で行動していたんだ。

 ずっと話し相手は、日本語の通じないネコ2匹だったんだよね。


※ネコの前は、ウサギだった。



 だから、別に男女問わずお誘いを受けただけで嬉しいんだよ。


 ただ、それが市役所の前にできた洞窟の探検ていうのは、どうかと思うけど。

 あと、今日の朝は飼っているネコの健康診断があると言ったら、昼前から合流するように言われた。

 普通、朝は空いてないと言ったら、開始時間は午後からとかにしません?




 とにかく、動きやすい恰好をしてリュックサックを背負って家を出発した。

 リュックサックの中には、大急ぎで作ったおにぎりが入っている。


 市役所の前まで自転車を飛ばして駐輪場に停めると、駐車場横の芝生に駆けていく。

 オタクは家に閉じこもっているイメージを持っている人が多いけど、私は一人でアニメの聖地巡礼とかをしていたので、体力はあるんだよ。

 芝生の端に、柵で囲われた穴が開いている。


 穴の横にパラソルを立てて、パイプ椅子に座ったおじさんが一人。

 市役所の職員だ。

 間違って人が落ちないように、日中は交代で見張っているんだ。

 見張っているはずなんだけど、スマホに熱中している。

 前を通り過ぎようとしたら、声をかけられた。


「おや、猫見さんの所の娘さんじゃないか。

 今日は、どうしたんだい?」


「暑い中、おつかれさまでーす。

 今日は、クラスメイトが洞窟探検に行くというので付き合わされたんですよ」


「クラスメイトって、みつるライトさんたちかね?」


「はい。なんだか洞窟に入る許可は、もらっていると聞いたんですが」


「ああ。僕たち一般職員には教えてもらえないけど、彼らは何やら公的な任務を帯びているみたいだね。

 今日は上の方から、君たち四人以外は通さないように言われているから」


「へえー、単なる探検だって聞いているんですけど。

 持ち物は、灯りとお弁当と五百円以内のおやつと水筒とレジャーシートって言われたんですけど」


「それだけなの?

 彼らは、武器らしきものを持ち込んでいたみたいだけどなあ。

 まあ、気を付けて行っておいでよ」


「はーい、ありがとうございます」

 武器を持って行くって、なんか危ないのかなあ。

 私は、職員さんが用意してくれた縄梯子をつたって、穴の中へ降りて行った。


 中は真っ暗だったので、LEDランタンを点ける。

 本当にただの洞窟だ。

 私たちの家の近所にこんな地下洞窟があったなんて、ちょっと驚きだ。

 観光名物とかにすれば良いのにとも思うけど、ライト君によると一般人には危険らしい。


 えっ、ちょっと待って。

 一般人には危険ってことは、私も危険ってことじゃないの?

 ちょっと不審に思いながら、言われていた通りにライト君に電話する。

「もしもし、猫見みずきです。

 今、穴を降りて洞窟に入ったけど。

 どこに行けばいいの?」


「ああ、みずき。やっと来たか。

 僕たちは今、地下2階にいる。

 まず、穴の近くの椅子が動いた後に階段があるはずだ。

 そこを降りて来てくれ。

 モーグルマップで僕たちの位置は分かるはずだから。

 君との距離は実質5百メートルってところか。

 15分ほどで会えるな」


※モーグルマップとは、GPSで現在位置の分かる地図アプリだ。

 地上の地図が表示されるだけだが、自分の位置と方角が分かる。

 当然、地下迷宮の地図が表示されることはない。

 それでも、4人の携帯電話の位置がマーカーで表示される。

 同じ階層にいるなら、マーカーに向かえば、会えるわけだ。



「みんな、もう3時間以上も探検しているのに、5百メートル先かあ。

 私を待って、ゆっくり進んでくれたんだね。

 別アプリで見ると、近いからライト君が虹色に燃えているよ。

 開始時間を変更してくれなくてどうかと思ったけど、みんな優しいな」


 私は、ご機嫌で進んでいく。


※本人は全く気付いていないが、みずきはラスボスである。

 地下迷宮内の弱いモンスターは、ラスボスに近寄らない。

 ラスボスを護衛する配下が、みずきを秘密裏に守っている。

 中途半端に強いモンスターは、逃げずにこの護衛達に倒される。

 そのため、みずきは地下迷宮内では危険な目に合わないのだ。



 -*-*-*-*-*-

(場面は変わって)



 僕の名前は、みつるライト。 16才だ。

 ということになっている。


 ヒューゴ県カッサイ市のホクジョウ高校に通う、普通の高校2年生だ。

 だが、僕には学校では秘密にしている裏の顔があった。


 僕は、異世界自衛隊という組織の一員だ。

 一般人として市中に潜んで、異世界からの侵略を防ぐのが僕たちの仕事だ。

 ホクジョウ高校には、2か月前に派遣されてきた。


 転校してきたクラスにいたのが、猫見みずきだ。

 最初、彼女のことは単なるオタクのクラスメイトだと思っていた。


 なぜ、そんな彼女を誘おうとするのか?

 それは、彼女がラスボスだからだ。

 そして驚くべきことに、彼女は自分がラスボスだということを自覚していないようなのだ。


 僕は、任務遂行のために使えるモノは何だって使う。

 彼女も超強力なラスボスとはいえ、僕の役に立ってもらうぞ。

 特に、自分でラスボスであることに気付いていないなんて好都合だ。


 実は、僕は人間ではない。

 異世界から召喚されたネコ獣人なのだ。

 普段ネコ耳は髪型と帽子で隠しているが、探索の時はネコ耳を出している。

 僕は、潜入が得意だ。

 それは、このネコ獣人の特徴を活かしているからだ。


 気配を消して、音を立てずに歩く能力を持っている。

 ネコ族の敏捷な身のこなし、暗闇でも気配を感じる嗅覚。

 敵の後ろに回ってステルスキルすることもできるし、敵と戦わずにスルーすることもできる。


※ステルスキルとは、相手に気付かれずに倒すこと。



 そんな僕の能力が買われて、探索の仕事を任されている。

 今回僕が転校してきたのは、僕が以前いた異世界で百獣の王と言われる最強クラスのラスボスを調査するためだった。

 誰が何の目的で連れて来たのか?

 どれほどの強さなのか?

 放置できないほどの脅威となり得るのかどうか?


 しかし、その調査は失敗に終わった。

 はずだったが、そのラスボスは排除されてしまった。

 猫見みずきが、ラスボスの座を奪い取ってしまったのだ。

 しかも本人は、そのことに気付いてもいない。

 ことの経緯は、機会があれば話そうと思う。


 その百獣の王が巣としていたのが、この洞窟だ。

 そして、僕は気付いていた。

 この洞窟の構造が、昔僕が攻略中だったダンジョンとそっくりだということを。

 試しに、地下2階への入り口を開いてみた。

 全く同じギミックだった。


 そのことを異世界自衛隊の司令部に報告したところ、地下2階より下層の探索が新たに指令されたのだ。

 だが、昔僕が攻略中だったダンジョンは地下50階層の大規模ダンジョンだった。

 そのラスボスが地下一階にいたのだ。

 地下2階にいる敵は、やはりラスボスクラスということも考えられる。


 僕は、今考え得る最強メンバーを手配した。

 僕が以前いた世界から召喚されたCランク冒険者二人と、ラスボスの猫見みずきだ。

 猫見みずきについては、同級生なので同行を依頼しただけだが。



 僕は7時55分に市役所の前の芝生に開いた穴を降りて、地下の空洞に入っていった。

 行動は、5分前を基本とする。

 大切なマイルールだ。


 洞窟内は、茶色い土の壁のトンネルになっていた。

 地下には男女二人が待っていた。

 彼らも時間前に集合するとは、さすが優秀なようだ。


 男の方が話しかけてくる。

 身長180センチを超える大きな、いかつい男だ。


「おう、お前がみつるライトか?」

 犬山ケンタ。戦闘職能はサムライだ。

 戦闘職能とは、異世界の者たちが共同で戦う時に、その戦い方が一言で分かるように体系化された役割のことだ。



 もう一人の小柄な女子が、黙ってペコリと頭を下げる。

 あいさつのつもりなんだろう。髪型がお団子2つのシニヨンの可愛い子だ。

 三好みよし晴海(ハルミ)。戦闘職能はニンジャだ。


「とりあえず、僕のことはライトと呼んでくれ。

 君たちは、ケンタとハルミで良いか?」


「俺は構わないぜ。

 ハルミ、お前も良いか?」


「うん。構わないよ」


 ハルミは、僕と言葉を交わす気もないらしく目も合わせない。

 嫌われてしまったかな?


 ケンタは、あいさつ代わりに話を振ってくる。

「異世界自衛隊の数少ないCランク冒険者を三人も集めるなんて、今回の仕事は結構厳しいのか?」


「いや、厳しいなんてもんじゃないだろう。

 多分、僕たちだけでは浅い階層を少し冒険して帰るくらいしか出来ないだろう」


「なんだ、ライト。お前、この洞窟ダンジョンについて、何か情報を持っているのか?」


「ああ。このダンジョンは、恐らく僕が異世界転移してくる前に足を踏み入れたことのある場所だと思うんだ」


「それは、どうしてそう思うんだ?」


「僕たちが今日出入りに使った穴は、実は以前僕がこのダンジョンのラスボスと戦って開けたモノなんだ」


「ダンジョンのラスボス?

 ここは地下一階だぞ」


「いや、本来地下50階にいるべきラスボスが、すぐそこにいたんだ。

 ダンジョンの構造やラスボスの特徴から考えて、入ったことのあるダンジョンだと判断したんだが……

 そのラスボスは、弱っていたとはいえ、とてもじゃないがCランク冒険者に太刀打ちできるような奴じゃなかった」


「でも、お前は今ここにいるじゃねえか。

 まさか、そのラスボスを倒したのか?」


「僕が倒したか? その答えはノーだ。

 ラスボスが倒されるのを見たというのが、正解だな」


「地下50階層のダンジョンのラスボスを倒すって、日本にもAランク以上の冒険者パーティーが存在したってことか?」


「いや、同級生の女子が倒すところを見てしまったんだ」


「な、なにー? 単独でそんな地下50階層にいるラスボスを倒せるとしたら、俺たちのいた世界ではSランク冒険者に認定されるぞ」


 さっきまで、二人の会話を黙って聞いていたハルミが、驚きの声を上げる。

「ボクたちと同じ年頃の女の子が、Sランク冒険者なの?」

 どうやら、このハルミという子はボクっ子のようだ。


「いや、たぶん違うと思う。

 冒険者ですらない、ただの高校生だ。

 ただ、戦力的にはSランク冒険者同等だろうけど。

 どちらかというと、ラスボスに取って代わったというべきだろう。

 戦ってすらいない。

 結果として、戦闘職能はラスボスと言っていいんじゃないかな」


「「戦闘職能がラスボス?」」

 二人は、声をそろえて驚きの言葉を口にした。


「その子の名前は猫見ねこみみずき。

 今日の冒険には、彼女も誘っている。

 おそらく昼前には合流するだろう」


 三好みよし晴海(ハルミ)が、その名前に反応する。

「ネコ耳好き? 変わった名前だね」


「いや、猫見ねこみ、ここで切って、みずきだ」


「それはそうと、どうして合流が昼前なんだ?」

 ケンタが不思議そうな顔で聞いてくる。


「飼っているネコを病院に連れて行くそうだ。

 無理を言って、参加してもらったんだ。

 今回みずきは、洞窟探検のピクニックだと思っている。

 だから、武器自体持って来ないと思う。

 普段の戦闘では頼りにできないが、本当の強敵が出てきたら出番だ。

 彼女というより、その取り巻きが倒すことになるけどね」



「そんなラスボスを倒すような子を呼んでいるなら、到着を待ってから冒険を始めた方がいいんじゃねえか?」

 犬山ケンタが、聞いてくる。

「なんだ? 怖気おじけづいたのか?

 出来たら彼女には、本当にピクニックと思っていて欲しいんだ。

 浅い階層の僕たちで対処できそうな敵は、やっつけてしまっておきたい。

 だから、とっとと冒険を始めようぜ」


「そんな、ピクニックだと思って来てみたら、進んだところで強いモンスターにぶつけられるなんて、ひどくない?

 だまし討ちみたいなものジャンか」

 さっきまで、目も合わせなかった三好晴海(ハルミ)が、怒りを込めた瞳でジッとにらんでくる。


「いやだから、さっきも言ったように彼女を危険な目に会わせるつもりはないから。

 おそらく、地下2階から3階くらいまでなら、Cランク三人のパーティーでも十分踏破できると思うんだ。

 ただ、彼女に来てもらうのは不測の事態に備えてと、今後ダンジョン攻略に手を貸してもらう布石にしようという魂胆があるんだ。

 だから今回は、地下三階で引き返すつもりだ」


「なんか、アンタの言うことは気に入らないけど、洞窟探索に女の子の仲間バディが増えるのは嬉しいな。

 とりあえずそういうことなら、まあ許してあげるよ」

 女友達が出来そうなことが、嬉しいのだろうか?

 晴海(ハルミ)が、何だか少しニコニコしている気がする。


「それで、その猫見ねこみみずきさんだっけか。

 ラスボスって言っても、どんなタイプのモンスターなんだ?」

 ケンタが興味津々に聞いてくる。

「百獣の王、ライオンのモンスターだ。

 トラや豹などを含めて、あらゆるネコ族のモンスターを操ることができる。

 そして、配下のモンスター軍団が恐ろしい。

 彼女に手を出した者は、配下に食い殺されることになる。

 その名も地獄の山猫軍団(ヘルオセロッツ)

 地獄に住む野生ネコの戦闘集団だ。

 その数は数百にも及び、襲われたものは骨も残さずしゃぶりつくされる」


 晴海(ハルミ)がゴクリとツバを飲み込む音が、聞こえる。

 フッフッ、ビビっているな。



「確かに、数百匹の山猫軍団が怖いのは確かだな。

 俺も地獄の山猫軍団(ヘルオセロッツ)のうわさは聞いたことがある。

 最強のモンスターとしてな。

 しかし、お前は50階層のダンジョンとか言ってなかったか?

 実は俺とハルミは昨日下見に来たんだが、地下一階にはスライムが一匹うろついているのを見ただけで、ほぼモンスターはいない。

 そして、地下二階に降りる階段や梯子の類は無かったぜ」

 ケンタが不審そうだ。


 僕は、懐中電灯の光量を最大にする。

「これを見ろ」

 僕の指さす先は、舞台のように一段高くなっていて、玉座のような豪華な椅子が置かれている。


「さっき言っていたラスボスは、ここに座っていたのか?」

 ケンタの質問に、僕は落ち着いた調子で答える。

「そうだ。そして、この地下一階の地形、この位置に置かれた椅子、以前の世界(ジークガルト)でボクが足を踏み入れたダンジョンそのままなんだ」


 と、その椅子の上にスライムが乗っている。

「やあ、またあったね。

 ぼくは、わるいスライムじゃないよ」


「あっ、こいつ。この前うろついていたスライムじゃねえか。

 逃げ足が速くて、逃げられちまったんだよな」

 ケンタが、忌々しそうに言う。

「きみたち。こうげきしてくるなんて、ひどいよ」

 スライムは、ペッと十字の手裏剣を吐き出した。

「あっ、ボクの手裏剣」

 晴海(ハルミ)が、慌てて手裏剣を拾う。


「ぼくのなまえは、スラミン。

 ぼうけんにいくなら、ぼくもつれていってよ」


「すばしっこいのは認めるけど、お前弱そうだよな。

 足手まといは要らないぜ」

 ケンタは冷たい。


「ぼくは、かいふくまほうがつかえるよ」


「回復魔法を使えるのは貴重だな。

 このパーティーには回復役がいなかったから、ちょうどいいかも知れないな」

 僕は冷静に判断する。


「おいライト。良いのかよ、こんな得体のしれないモンスターなんか仲間にして」


「僕は、使えるものは何だろうと使う主義だ。

 たとえそれが、モンスターだろうがね」


 僕は、スラミンが乗ったままの椅子を後ろから力を込めて押す。

 椅子が少しずつスライドしていくと、下に階段が現れた。

 フーッ、結構力が要った。


「よくこんな仕掛けに気付いたな」

 感心するケンタに、息を弾ませながら答える。

「仕掛けも同じなんだ」


「そうか。じゃあ、地形だけでなく罠とかも分かるってことだな。

 ありがたいことじゃねえか」


「だが、そのダンジョンのラスボスと言われていたモンスターが一階にいた上に、倒されてしまった。

 この先、出てくる敵がどんなレベルか分からないから怖いんだ。

 単純に、深い階層に強い敵がいるのか、ランダムなのか。

 地下二階からのモンスターが、以前の世界(ジークガルト)のダンジョンと同じなのか、あるいは最も弱い敵が前の世界(ジークガルト)のラスボスレベルなのか」


「おいおい。50階層ダンジョンのラスボスレベルのモンスターが出るなら、Cランク三人のパーティーなんか一撃で全滅だぞ」


「うん。だから慎重に進みたい。

 もし、すごい敵がいきなり出てくるようなら、全力で逃げる。

 冒険は中止して、昼まで地下一階のこの場所で、みずきを待つ。

 自衛隊の上層部には、ボクたちで太刀打ちできるレベルのダンジョンじゃなかったと報告する。

 それでいいな?」


「おう、分かった」


「慎重に進まないとね」

 晴海(ハルミ)も分かってくれたようだ。



 -*-*-*-*-*-



 思いのほか、みな消耗しているな。

 意外に厳しい冒険だった。

 しかし、数時間で地下2階の大部分を無傷でクリアできた。

 地下2階は、ネズミやクモのようなモンスターばかりだったが、いかんせん数が多かった。


 昔僕が攻略中だったダンジョンに比べて敵が強くなってはいたが、対処できないレベルではなかった。

 あと少し敵を排除クリアーすれば、みずきにはモンスターを見せずにハイキング気分で帰ってもらえる。


 僕は前の世界(ジークガルト)では、単独ソロで冒険することがほとんどだった。

 パーティーでの冒険は、単独ソロでやるよりは、かなり楽だ。


 辺りを見渡すが、敵はいなかった。

 みずきが来るまで、この辺で慎重に時間をつぶした方が良さそうだ。


「よし、そこの岩陰で一休みして、みずきの到着を待とう」

 岩陰に行くと、辺りはぬかるみだった。

 チョロチョロと水が、流れている。


 ここでは、休憩しにくい。

 10メートルほど先に、乾いた地面が見える。

 僕は、ズンズンと歩き始めた。


 ピュンッ


 その足元に何かが飛んできた。


 続けて、何本も矢が飛んでくる。

 晴海ハルミは、ひとつだけあった岩陰に隠れた。

 スラミンは、少し離れた位置にいる。

 こいつの戦闘能力は、無いに等しい。

 遠距離攻撃の危険に、晒したくない。


「スラミンは、そのまま近くに隠れろ!」

 僕の叫び声を聞いて、ケンタが走ってくる。


 僕は、持ってきたカバンから鍋のフタを取り出した。

 アルミ製の鍋のフタだ。

 軽くて、そこそこ強度もある。

 多少の矢弾よけにはなる。


 僕は叫ぶ。

「当たらなければ、どうということもない」

 男二人は矢をかわしつつ、進む。


小鬼ゴブリンだ」

 ある程度進んだ所で、小鬼ゴブリン達がワッと湧き出てきた。

 盾を持って、槍を構えている。


 数が多い。

 そして、こちらの剣や刀の攻撃を盾で受ける。

 槍は、こちらの攻撃が届かないところからでも、突いてくる。


 僕達は、外を歩いても不審がられないように、甲冑の類は着て来なかった。

 それぞれの学校の制服姿だ。


 3人は鎖帷子くさりかたびらを、服の中に着込んでいた。

 剣のような切る武器には強いが、打突系の武器には弱い。

 じりじりと押され始める。


 後ろから晴海ハルミが魔法攻撃で、敵を削る。

「爆裂魔法、ファイアーボール」

 上手く当たると、一発で2,3匹爆発に巻き込まれて、倒れる。

 しかし、倒しても倒しても後続が来る。


「爆裂魔法、ファイアーボール。

 爆裂魔法、ファイアーボール。

 ……

 爆裂魔法、ファイアーボール。

 ダメだ。

 もう、魔力切れで撃てない」

 晴海ハルミが膝をつく。


 ついに、ガス欠になった。

 手裏剣に切り替えたが、持っている数に限りがある。

 一本の手裏剣で一匹倒せるとは、限らない。


 僕は、ここしかないと判断した。

「電撃魔法、連鎖する電撃(チェーンライトニング)


 腕から、雷が発せられた。


 前方にいた小鬼ゴブリン達に電撃が流れる。

 電撃で焼き殺された者の周りの者も、感電して震えている。

「今だ! ラッシュするぞ」

 前衛の男2人は、敵を次々と切り伏せて勝利をつかんだ。


「やったー!

 二人とも危なかったね。

 ボクももう、魔力が尽きたし、手裏剣もほとんど残って無いよ」

 晴海ハルミが喜びを表現するが、力が抜けている。


「僕も、1日一回しか使えない魔法を、使用してしまった。

 もう、さっきみたいに大量の敵には、対処できない」

 息をついた僕は、淡々と述べた。


 そこで、スマホが振動した。


「もしもし、猫見みずきです。

 今、穴を降りて洞窟に入ったけど。

 どこに行けばいいの?」


「ああ、みずき。やっと来たか。

 僕たちは今、地下2階にいる。

 まず、穴の近くの椅子が動いた後に階段があるはずだ。

 そこを降りて来てくれ。

 モーグルマップで僕たちの位置は分かるはずだから。

 君との距離は実質5百メートルってところか。

 15分ほどで会えるな」


 電話を切った僕は、ホッとして地面に腰を落とした。

 腰掛ける岩を探すのも辛い。


 何か所か、斬られた傷をスラミンに回復してもらう。

 敵の攻撃は上手く避けたつもりだったが、何発かかすっていたようだ。




 休憩しつつ考える。やはりおかしい。

 ダンジョンの構造は、昔攻略中だったものと同じだ。

 前の世界から、ダンジョンごと転移してきたかのようだ。

 なのに、出てくるモンスターが違う。

 転移してきたダンジョンに、モンスターが自然発生するものなのだろうか?

 それとも、ダンジョンとモンスターは、別々に転移してきたのか?


 いずれにせよ、何者かの思惑を強く感じる。




「ねえ、何か落ちているよ」

 晴海ハルミが指さした方向を見ると、小鬼ゴブリン達が出てきた岩の横に、いかにもゲームで出てきそうな形の宝箱がある。


 晴海ハルミが、箱のフタをパシパシ叩きながら言う。

「これ、小鬼ゴブリンが落としていったんじゃない?

 開けてみようよ」


「どうして小鬼ゴブリンが、わざわざ宝箱を持って来て戦うんだよ?

 いかにも怪しいだろ」

 ケンタが止めているようだ。


「いや。この宝箱を守ろうとして、戦ってたのかも知れないよ」


 二人の話し声で、考えを中断する。

(やれやれ、このダンジョンの意味を考えている場合では無さそうだ。)


 晴海ハルミとケンタが言い合っているのに、口をはさんだ。

「宝箱に擬態ぎたいするモンスターもいる。

 せめて、みずきが到着するまで待って……

 えっ?」


 晴海ハルミが、やっちまったって顔で、突っ立っている。

「もう、開けちゃったよ」


 箱から煙が出てきた。

 その煙の中に、悪魔デーモンが立っている。

 身長は2メートル以上。

 ケンタを見下ろす大きさだ。

 頭に大きな角が生えている。

 露出した肌は、青く鈍く光っている。


 もう、攻撃魔法が使えないパーティーの前に、魔法攻撃しか効かない敵が現れた。





「ワシを召喚したのは、貴様らか?」

 宝箱から現れた悪魔デーモンが、質問する。


「いかにも、その通りでございます(イグザクトリー)

 僕は、大げさに執事のポーズをとって答えた。


「ワシは、心地よく眠っておった。

 その眠りを覚ました理由を聞こう。

 何が目的だ?

 返答次第では、ただでは置かんぞ!」


 空気を震わせる怒りの口調に、3人は沈黙した。

 さっきまでの小鬼ゴブリン達とは、格が違う。

 まだ、そんなに深い階層まで潜ったわけでもないのに、こんな強力なモンスターが出るとは。

 あの宝箱は、強力なトラップだったのか。

 僕は、頭をフル回転させる。

 攻撃魔法なしで、悪魔デーモンを倒す方法。

 いや、倒さなくても追い払うだけでいい。

 デーモンの質問(目的)に、正解すれば良いのだろうか?


 そこに、

「ぼくは、スラミンだよ。

 ぼくは、わるいスライムじゃないよ」

 と、スラミンが前面に出た。


「それが、どうした?」

 悪魔デーモンは、ますます不機嫌だ。


(スラミン、みんなの犠牲になって時間を稼ぐつもりか?

 ダメだ。多分、ほんの数秒しか稼げない。

 そんな事の為に、スラミンを犠牲には出来ない。

 何か、何か作戦を思いつかなくては)

 動揺しているのだろうか、考えがまとまらない。

「返事はないか。

 要するに、興味本位でワシを起こしたわけだな」

 悪魔デーモンが静かに、しかし威厳を漂わせて言い放つ。


「ご、ごめん。軽率だった」

 晴海ハルミが、消え入りそうな小さな声で謝る。


 悪魔デーモンの周りから浮き出る様に、3匹の幽霊ゴーストが現れる。

 ガス状の漂う幽霊ゴーストが今にも、スラミンをついばみそうだ。

(ヤバい。このゴースト達も、僕の全力魔法で一匹倒せるかどうかの、強力なやつらだ。

 もう魔法すら使えないのに)

 手が汗ばむのを感じた。



「氷雪魔法、氷の槍(アイシクルランス)

 悪魔デーモンが、突然魔法を発動する。


 氷の槍が、正面にいたスラミンと僕の周りに降り注ぐ。

 僕は、咄嗟とっさに鍋のフタで防いだ。

 スラミンは上手く体をくねらせて、攻撃をかわそうとした。


「いたいよー」

 スラミンは、何発か喰らったみたいだ。

 傷ついた場所が凍って、変色している。


 僕も、鍋のフタで防ぎきれなかった場所が何か所か傷ついている。

 痛みを感じたが、平気なふりをする。


「ハハハ、スライム。痛いか?

 簡単には殺さんぞ。

 じわじわと、なぶり殺してやる。

 どこまで耐えられるか、ワシを楽しませてみろ」


 僕は、剣を抜いた。

 仲間がやられて、黙っているわけにはいかない。

 物理攻撃が効かなくても、何か弱点があるはずだ。

「スラミン、下がれ!

 僕が相手だ」


「検知魔法、解析アナライズ

 悪魔デーモンは、僕らの能力を測る。


 勝てると判断したようだ。

 ニヤニヤしながら話しかけてくる。

「魔力を使い果たしておるな。

 戦闘力はそこそこだが、ワシにその剣の攻撃は効かんぞ。

 次の攻撃は、全員まとめて可愛がってやるぞ」


「ま、待て。

 僕たちは弱い。それは事実だ。

 そんな僕たちをやっつけたって、何の自慢にもならないぞ」


「フッ、貴様は道を歩くときに前に虫がいたとして、虫が飛び去るまで待ってやるのか?」


「少なくとも、無益な殺生はしない。

 避けようと努力する」


「殊勝なこった。

 ワシは、気にせずに踏みつぶしていく。

 これから起こることは、そういうことだ」


 ケンタと晴海ハルミも、スラミンを守る形で身構える。

 だが、物理攻撃の効かない悪魔相手に攻撃手段がない。

 敵の攻撃を受けることしかできない。

 どうやって防御すればよいのだろう?

 僕たちには、何の手もない。

 まさに、こういう状況を絶体絶命というのだろう。




 その時、パーティーの後ろから

「ニャー」

 とねこの鳴き声がした。


 僕たちと悪魔デーモンの間に、トラねこが一匹ジャンプしてきて、着地した。


「何だ、貴様は?」

 悪魔デーモンが、少し呆れたように言う。


 トラねこは、悪魔デーモンを無視して宣言する。

『もうすぐ、うちの女王陛下がいらっしゃる。

 邪魔したり、陛下のご機嫌を損ねる奴は、いないだろうね』

 こいつは、地獄の山猫軍団(ヘルオセロッツ)の渉外担当だとか言ってたやつだ。

 地獄の山猫軍団(ヘルオセロッツ)が近づいてきているということは、どうやら猫見みずきが近くまで来ているんだろう。


『ネコ風情が、ワシを無視するとは舐められたモノよのお。

 ひねりつぶしてやろうか?』


『お前、誰に向かって言ってるのニャ?

 やれるものならやってみな』

 トラねこが、ヤレヤレという表情で答える。



 幽霊ゴースト3匹は、悪魔デーモンとトラねこの後ろを見比べて、スッとかき消えた。

 戦力差を考慮した、賢明な判断である。


「おい貴様ら、ワシを置いて逃げるとは何事だ!」


 怒りをあらわにする悪魔デーモンに、トラねこが再度注意喚起する。

『最後にもう一度だけ、聞いてあげるよ。

 女王陛下の邪魔したり、ご機嫌を損ねる奴は、いないだろうね。

 そこの悪魔、お前目障りなんだよ』


『貴様、このワシにそんな口をきいて、ただで済むと……』


『いいのかい?

 あんた、血の一滴も残さないよ!』


 トラねこの口調が、グッと厳しくなる。

 ネコの後ろの暗闇に光る目の数は、数えきれない。

 悪魔デーモンが検知魔法を詠唱しなくても、相手の魔力の大きさが分かるほど強力だ。

 一匹一匹の魔力が、彼の数倍に達する。

 僕らとでは、比べ物にならない。


『ま、待ってくれー!

 ワシは、この宝箱にいているのだ。

 ここから去ることが、で、出来んのだ。

 そ、そうだ。箱の中の宝を、宝をやろう』


『そうかい、ご愁傷様だね』

 トラねこは、宝に全く興味を示さない。


 数発の魔法の矢が、悪魔デーモンの体を貫いた。

 続いて、爆裂魔法を喰らって、悪魔デーモンの体は四散した。

 細かい破片になるまで、執拗なほど小型の爆裂魔法が飛んでくる。

 その一つ一つの破片に火炎魔法が着弾して、燃え尽きた。

 本当に、血一滴も残らない。


 ここで戦いがあった、そんな痕跡すら残っていない。

 宝箱も、中に何が入っていたのかは分からないが、粉々になってしまった。


「マ、マジかよ」

 ケンタの震えた声。

「フッ。

 け、計算通りだな」

 僕のいつものセリフも、切れが感じられない。


 ねこ達は、かき消えるように、いなくなる。

 気配が消えて、存在を感じることも出来ない。




「おーい!」

 猫見ねこみみずきが、手を振って駆けてくる。

「ラ、ラスボスの登場だ。

 これでもう大丈夫だ」

 安心した僕は、思わず心の声を漏らしてしまった。


「ラスボスが登場して、大丈夫になるって。

 まるでボク達、悪の一味みたいだね」

 晴海ハルミが茶化す。



 -*-*-*-*-*-

(猫見みずき視点に戻ります)



 ちょっと不気味な地下迷宮を一人で進むのは、心細かった。

 でも、ちゃんとライト君たちと合流できて安心したよ。

 さすがは文明の利器。スマホの位置表示は、地下でも役に立つって分かったよ。


 4色ストライプのレジャーマットを地面に広げる。

 その上に、作ってきたおにぎりの入った弁当箱をずらっと並べる。

 ライト君に全部で四人と聞いていたので、四人分握ってきたのだ。

 LEDランタンの明るさを上げて、周りがパッと明るくなる。

「華やかだ」

「地下迷宮の中とは思えねえ」

「なんか、助かったーって感じだよね」


 3人の称賛を浴びて、上機嫌になっちゃう。


 まずみんなレジャーマットに腰を下ろして、自己紹介をしあった。

 一応、初対面の二人のことは前もってライト君に聞いていたんだけどね。


「私の自信作だよー。

(味には、ちょっと自信ないけど)

 さあ、召し上がれ」




「猫見みずきさーん、このおにぎり、本当に美味しーよ!」

 この人が、三好晴海ハルミさんだな。

 ライト君によるとニンジャだということだったけど、普通の女子だ。

 服も忍者の装束じゃなくて、ホクジョウ高校の隣にある農業高校の制服だ。


「みずきで良いよ。

 あなたは、三好晴海ハルミさんですね」


「みずきが、こんなに美味しいご飯を食べさせてくれる、良い人だったなんて。

 それと、私も呼び名はハルミとかで良いよ」

 晴海ハルミさんは感動して、泪がこぼれている。

「ハハハハ。ハルミは、食べ物に弱いなあ。

 でも、俺もこのおにぎりには感動しているぜ」

 晴海ハルミさんの兄代わりだという犬山ケンタさんが笑う。


 こんな急いで作ったおにぎりで、こんなに感激されるとちょっと申し訳ない気持ちになってくる。

「ハ、ハルさん。

 おにぎりなんかで良かったら、いつでも作ってあげるよ」


「えっ、本当?

 じゃあ、次の探検も来てくれる?」


「うん。もちろん。ハルさんがいるなら、お安い御用だよ」

 なんだか、ライト君が悪い顔でニヤリと笑っているけど無視する。




 そのあとも、私の好きなTVアニメの話をハルさんが真面目に聞いてくれるので、つい話し込んでしまった。

 あっという間に1時間以上休憩していたので、その場は片付けて出発した。


 地下3階に降りたけど、特に何の変哲もないただの洞窟だ。

「ライト君は危険だとか言っていたけど、ぬかるみに気を付けないと靴が汚れる程度の危なさだね」

 私が言うと、ライト君は少しムスッとして言い返してくる。

「それは、みずきがラスボスだからだよ」


 なにそれ? ムカつくー。

 大体こんな何もない洞窟の探検で、ラスボスとかどうとか何の関係もないじゃない。

「ライト君、一つ言っておきますけどっ。

 私、ラスボスじゃありませんからっ!」

挿絵(By みてみん)


 ただ、この探検でお友達になったハルさんとの話が弾んで楽しかった。

「じゃあ、今日の探検はここまでにしよう」

 ライト君が宣言したので時計を見ると、もう夕方の四時だった。

「そうだね。みんなは、朝から探検しているんだもんね。

 明日は学校だし。

 今日は楽しかったよ」


 私はその日、すごーく幸せな気分で眠ることが出来た。



 -*-*-*-*-*-

みつるライト視点です)



 今日の冒険は、大成功と言って良いだろう。

 まず、ラスボスの猫見みずきを仲間に引き入れることが出来た。

 三好晴海ハルミは単純に戦力として期待していたんだが、みずきと仲良くなるなんて期待以上の成果を上げてくれた。

 特に次回の冒険への参加の言質げんちを取ったのは、ファインプレーだ。

 いや、全て僕の計算通りの結果だな。


 とりあえず、異世界自衛隊の上の方には『地下3階まで調査してみたが、Cランク三人では戦力不足だ』と報告しておいた。

 ラスボスの話とかをすると、ややこしくなるからな。



 翌日月曜日の学校帰りの通学路で、みずきがタッタッタッと走ってきた。

「ライト君。昨日は誘ってくれてありがとう。

 ハルさんは良い人だし、洞窟探検はちょっとスリルもあって楽しかったよ。

 また機会があったら、誘ってね」


「ああ、近いうちにもっと深いところまで探検する予定だから、誘うよ」


「うん。じゃあね」

 みずきは、走り去る。


 僕は思わすガッツポーズしてしまう。

「すべて計算通り」


 僕の漏らした言葉に、前にいたトラネコが反応する。

 こいつは、洞窟の中で姿を見せたトラネコだ。

「お前、ニャに言ってるニャ?

 アタイたちが、みずき様の露払いをしてやっただけニャ。

 お前らは、ニャーンもしてニャイだろ?」



 僕たちの冒険は、この時始まりを告げたんだ。

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