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メモリーズトリガー  作者: かにチャーハン
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第2話 出会い

夢人が意識を取り戻した時は病院だった。

今回の学校での出来事で巻き込まれたという事で多くの負傷者がいる中の1人という扱いで、今回の戦いについては誰も触れる事はなかった。

直前までアユリの力を使っていたが、力尽きた時には既に指輪の留まっており、実際夢人が巨大のゴブリンと戦った事は曖昧な状態になった。

病室で白い天井を見上げながら、夢人は思う。

(散々な目にあったな、、、)

右手の指輪を見る。

「アユリ」

「何よ」

「なんか、世界が少しおかしくなっている気がする、、、」

「うーん、、、あたしには記憶が戻ってないからなんとも言えないけど」

「アルデシアに、勇者か。何か別の世界でもある言い方だな」

想うイメージで武器に変化するアユリの力。

それが勇者の力というゴブリンの発言。

(いずれまたあういう怪物がやってきて、戦う事になるなら、、、)

「アユリ」

「何よ」

「まず、戦う力をつけたいんだが、どうしたらいいんだ?」

「うーん、修行するしかないんじゃないかしら」

「剣の素振りでもしろと?」

「まぁそうね。後、魔法の練習。魔力が圧倒的に少ないし」

「それはどうすればいいんだ」

「魔法は、精神的なものだから、心を強くしないといけない。でもまぁ色々魔法を打つ練習している内に少しずつ慣れてくるんじゃないかしら。今、顕現できるのは剣と杖。他の武器にも変化できると思うけど、まずその二つの武器からやってみた方が良いと思う」

「後は、アユリの記憶を取り戻すのも同時平行だな」

「私は別にそんなに急いでないけど。巨大なゴブリンの事だったり、意味がわからないけど、その原因のヒントには確かになるわね」

「アユリの記憶が戻れば、おかしくなりつつある世界がなぜこうなったのか原因が少しわかるかもしれない」


退院をした夢人は、約1週間程度で再開した学校へと戻る。

多くの負傷者や亡くなった学生とかもいたが、学校は少しずつ日常へと戻っている。

今回の事件の事も、トラウマを持った学生の登校率はやや下がっているようだ。

授業が終わった後、剣道部の部室へと顔を出す。

「お、来たか。皇」

同級生の松本 空。中学校からずっと一緒の同級生だが、美術部の夢人とはあまり接点はないが、クラスメイトとしてつかず離れずの存在だ。

「剣道に興味を持つなんて意外だな」

「松本、今回相談乗ってくれてありがとう。どうしても必要になって」

「何か悩みでもあるのか?剣道は精神的な修行でもあるから」

「ずっと色々と悩んでる。稽古を頼む」

夢人は松本から剣道の基本をみっちりと約2週間の稽古を受けた。

その間に、家の近くの山の麓で、アユリからも魔法の指導も受けた。

アユリの力は水と氷。

どうやら、火や風といった属性の魔法は使用出来ない事が判明した。

「あたしもびっくり」

アユリ自身も水と氷の属性しか持ってない事がわかったようだ。

剣は長剣と大剣への変化、魔法については杖の形への変化を自由自在に出来るようになった。


「アユリ、一度事件が起きた神社を色々と調べてみないか」

山下やさくらが記憶を一時的にゴブリンから奪われた場所。

そしてアユリが出現した場所。

学校の近くにある神社へと再び足を運んだ夢人は捜索を始めた。

学校の終わりに放課後に行った為か空は朱く染まりかけていた。

人影は少なく、燈篭や倉庫、神社が静かに佇んでいた。

夢人は何か見つからないか歩きながら探っていた。

「特に何も見つからない、、、か」

「ねぇ、夢人」

「どうした?」

「あそこの倉庫の扉を触ってみて欲しくて」

夢人はゴブリンが出てきた周辺にあった倉庫の扉を調べる。

扉には鍵がかかっていた。

「開けらないな、、、」

「夢人、扉に触れながら、あたしの力を使うように念じてみて。もしかしたらと思って」

「ん?ああ、わかった」

夢人は目を瞑り、扉に手のひらを合わせて念じる。

=アユリの思い出をスキャンしました=

「え?」


・・・・・・・・・・


(あたしは本当のあたしを見てくれていない。お姫様であるあたししか皆は見ていない。誰も愛してくれない)


(お父様、、、なんであたしを残していかれるの!?どうして!!どうして!!)


(あたしはあなたが人間じゃなくても、あなたのことを、、、)


夢人は思わず扉から手を離した。

「これは、、、誰かの声が頭の中に、、、」

「・・・これはあたしの記憶かも、、、しれない」

「本当なのか?」

「はっきりわからない、、、でも何かもっとはっきりしたものがこの先にあるはず」

「もう一回触れてみるか」

「うん」


再度、夢人は扉に触れる。

=アユリの思い出にログインします=

(ログイン?!)

すると、地面がいきなり反転しだし、夢人の足が天を向け、天から地面に転げ落ちる。

「うわぁぁ!!痛っ!!!!」

地面に叩きつけられた夢人は背中の痛みでもがき始める。

「痛い痛い痛い痛い!!!」

「夢人!大丈夫!?」

しばらくジタバタした後に、体の痛みが少し引き始めた頃、夢人は起き上がると、先程まであった倉庫や森がなく、うっすらと暗い場所だった。

「何処だ、、、ここは」

何処かの洞窟なのだろうか、周りを見回す。

地面には不可思議な模様が描かれていた。

岩陰と天井から少しだけ差し掛かる光が眩しい。

全く見覚えのない場所に移動されてしまっていた事に気が付き、不安と警戒心を引き締める。

「また意味がわからない事を起きてる」

「夢人、、、ここ見覚えある」

「どういうことだ?」

夢人はゆっくりと立ち上がると、目の前に見た事のない魔物が十数匹ほどこちらを見ていた。

大きな芋虫と蛾が夢人にゆっくりと近づく。

「ここはあたしがいた城の近くの遺跡だわ、、、少し思い出した」

「それより、、、目の前の見たことないでかい奴らがこっちに来てるんだけど、俺って美味しそうなのか?」

「奴らはこの遺跡の魔物!当然襲いかかってくるわ!」

=思い出をスキャンしました=

=グレードソード 魔法剣アイス=

「修行の成果でも出してみますか!」


魔物達を一網打尽にした夢人は、着ている私服が泥と血で滲んでいた。

敵の動きが遅かったといえば、持続する体力がそこまで多くないのもあり、夢人にとってギリギリの戦いでもあった。

=ヒール=

多少の怪我程度の回復魔法を使える事をわかっていたが、精神力を残す為に何度も使用できる代物ではない。

剣を杖に変化させ足摺をしながら、初見で入り口さえも分からない遺跡の中を歩く。

「アユリ、出口はわからないのか」

「ごめん、、、ただ見覚えあるけど、そんなに深い遺跡じゃなかったはず」

先程の騒動で、違う魔物が遺跡の中を蠢いていた。

魔物が夢人を探しているのだろう。

息を潜めながら、壁に背中を張り付けて、周りを見渡す。

暗い洞窟の中で、差し掛かる光の方へと歩いていく。

「あれが入り口の方向かもしれない、、、」

「夢人!後ろ!」

大きな芋虫2匹が後ろから襲いかかってくる。

「クッソ!」

先程の戦い傷ついた体を無理やり奮い立たせ、重くなった両足を猛ダッシュで光が差し掛かる方向へと走り出した。

左から右からへと隙間から芋虫と蛾の魔物が溢れだす。

「こわ!きも!!」

「夢人!あそこ!」

入り口らしき門が見えるとその方向に向かって残りの体力を使い、走り切る。

「あなた!前転して!!」

何処から女性の声が聞こえる。

「アユリ?」

「あたしじゃないわ!前!」

入り口に逆光で黒く見える人影が立っていた。

輪郭からすると恐らく女性だ。

夢人は前方に前転しながら、右斜めへと転げる。

「氷の女神アイシャスよ!我に力に与えたまえ!顕現せよ!アイストーネード!!」

女性の両手から氷の嵐が吹き上がる。

嵐に巻き込まれた魔物達は一瞬にして氷漬けになり、砕け散る。

「アユリの力と一緒、、、?」

「あの子は、、、」

夢人はゆっくりと立ち上がると、女性から手を差し伸べられる。

「ねぇ、君大丈夫?変わった格好してるわね」

金髪の長いストレート綺麗な髪の毛から、ふんわりとジャスミンの香りがする。

年齢は16歳程度なのかとても若々しい女の子が立っていた。

長い青色の宝玉をはめられた杖を持ち、青いジャケットと黒タイツにブーツ、皮のスカートの履いている。

「ああ、大丈夫」

「名前は言える?」

「俺は、、、夢人。皇 夢人」

「聞いたことのない苗字ね。どこの国の人かしら」

「ここは?」

「ここはファーデルサイト城の近くにあるデール遺跡。ファーデルサイト城の大昔の先祖王の墓でもあるから。こんなところで何してるの?」

「いや、まぁ、迷子、、、かな」

「迷子って、、、まぁたまにはいるか。服とかもなんか色々汚れてるし、一度城下町に戻る?」

「ありがとう。そういえば君の名前は」

女の子はにっこりと微笑むと、

「アユリ。アユリ・レイン・ファーデルサイト。よろしくね、ゆめと!」

「・・・え?」

夢人の杖の宝玉が光出すと、頭の中の声がこう言う。

「あの子は、、、あたし自身だわ。って事はあたしがいた世界って事なのね」

夢人は絶句する。

(ええええええええええええええ!?アユリがもう1人いる!?)


次話へ続く

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