壊れるその日2-1
*** 壊れるその日2
五月十二日から、学校はテスト期間に入った。
この期間は放課後の部活動も休止になり、全ての生徒がテスト勉強に集中する……といってもそれは名目で、ほとんどの生徒は空いた放課後の時間を遊びに使う。部活がないから勉強しようなどと言う生徒は非常にまれだ。おかげで今日の放課後はクラスメイトもいつもより少しばかり浮足立っていて、少しばかり鬱陶しい。いつもはすぐに人が少なくなる教室も今日はまだ多くの生徒が残っていて、談笑にふけっていた。
今日これからどうするー?
あーもう、テストとかまじダルいなぁ~。なんでテストなんかあるんだろう?
おまえペン回しすごいな! どうやってんの?
ねえねえ、聞いて! あたし見ちゃったの! 白髪の女!
その談笑を聞いているのが嫌になって、俺は席を立ちあがった。
帰ろうと思ってバッグを探して、気づく。
「……バッグが、ない?」
そんなはずはなかった。
つい数分前にバッグにノートを詰めたばかりだったのだから。
しかし答えはすぐにわかる。
教室の後ろのドアが開いていて、廊下に例の三人が立っているのが見える。
そしてそのうちの一人が、肩にかけた自分のバッグと、加えてもう一つ、逆の手に別のバッグを持っていた。
黒い持ち手にシルバーのタグがついた、俺のバッグだ。
俺がにわかに顔をしかめると、それを見た三人組はにやりと笑って廊下の奥に消えていく。
「……くだらない」
俺は慌てるでもなく固まるでもなく、ゆっくりと足を動かし、教室を出た。




