蛇に、生まれた。1−6
『返してよっ、私のっ!!』
『ゆるさない……絶対、ゆるさないッ!!』
『あー! ヘビだ!』
『ちがうよ、人間がヘビになったんだ! つかまえろっ!』
『○○ちゃんとケンカしたんだってね。ダメだよ、ケンカしちゃあ』
『学校に来て仲直りして、また遊んで……そうやって人間は絆を深めていくんだから。じゃあ、これで。また明日』
それからの私は……全てを理解した私は、逃げるように内側に引きこもった。
東京の小学校に移ってから私は、ほとんど誰とも話さなくなった。
それまでだって何度か不思議に思うことはあった。
なんで他の人はヘビになれないのか。
なんで自分だけはヘビになれることできるのか。
もしかして、私は他の人と違ってどこかおかしいんじゃないか……
そんな疑念はことあるごとに顔を見せた。
けれどその度に指輪を見てはあの時を思い出し、『そんなの余計な心配だ』『お兄ちゃんだってヘビになれるじゃないか』『私だけがヘビになれるわけじゃない。もしかしたら言わないだけで、友達の誰かだってヘビになれるのかもしれない』『気にすることなんて、ない』なんて、振り払うようにして疑念を消し去った。
そしてとうとう、その前提が間違っているって、疑念の方が正しかったって、知らされたんだ。ああ、他の人は誰もヘビにはなれないんだって。ヘビになれることは、とても異常なことなんだって。
そうして今までの普通が普通じゃなくなった時私は、急に周囲の人間が怖くなった。
『ねえねえ、つちかちゃん、いっしょに外に遊びに行こうよ』
『え……いや、私は……ごめん、なさい』
『つちかちゃんって肌白いよね~。どうやったらそんな白くなるの?』
『ううん、白くなんか! 白くなんか……ない、よ』
『前はどこに住んでたの? 東京の外から来たんだよね?』
『やめて……! 知らない、から』
『しらない? どういう意味? だって自分の住んでた場所でしょ? しらないわけないじゃん』
『いや……えと、……ここからすごく遠くで、えと』
『ふーん……あっ、そろそろチャイム鳴っちゃうから、またあとでね!』
『う……うん』
馬鹿みたいに上手く話せなくなってしまった私から人が離れていくのに、たいした時間はかからなかった。
転校してから一週間もすれば私に話しかける人はいなくなり、一ヵ月もすれば私と目を合わす人もいなくなり、一年経って中学に上がっても、それは変わらなかった。
誰とも話さなくなった私はどんどん内気になり、そんな私は格好の標的だったのだろう、中学に入ってから私は、いじめのターゲットにもなった。




