壊れた世界2-18
たまらず俺も顔をしかめて張田に問い詰める。
「……なんのつもりだ、張田」
しかし張田の表情はこれまでに増して真剣だ。とても冗談を言っている風には見えない。
張田の後ろでは燐が動転した様子で「は、張田部長……!?」と驚嘆の声をあげるが、張田はそれを気にも留めない。
一方俺の後ろでは徐々に半ゾンビがその足を動かし始めていて、さっきまでとは別の焦りが一気に込み上げてくる。
まずい、このままだと……
俺は、今度は焦りの混じった声で張田に言った。
「わけわからないこと言ってないで、早くどけ、張田。このままだと三人とも食われちまうぞ!」
しかし張田は一向にどこうとしない。
ただカッターナイフを俺の方に突きつけたまま、黙ってその場に立ち塞がる。
燐はどうしたらいいのかとおどおどしながら張田と俺の方を見やるが、何か状況を変えられそうな雰囲気はない。
その間にもじりじりと背後の半ゾンビは俺に近づいてきていて、さすがに俺も焦りを隠さず張田に聞いた。
「だから、なんのつもりだ、張田! このまま俺を半ゾンビにでも食わせる気か!?」
そこでようやく張田が答えた。
「……いいえ、どうせ食われないんでしょ、土禍くんは」
「はあ?」
本当に訳が分からなかった。
食われないって……どう考えてもこのままここでモタモタしていたら、俺が半ゾンビに襲われるなんて火を見るより明らかだ。それなのに何を言っているんだこいつは……!
俺が強いいらだちを覚えていると、その理由を張田が説明してくれて、しかし俺はこの日一番のいら立ちを、張田に感じることになるのだった。
張田は説明した。
「最初からおかしいと思ってた」
張田の説明は、最初から最後まで間違っていた。
「急にこんな事態が起きてみんなパニックになって逃げ惑うばかりなのに、土禍くんだけは冷静で、わざわざ遠くから妹を助けに来ちゃうぐらい勇敢で……」
なんでもいいので、感想をもらえるとうれしいです




