壊れた世界2-14
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「やっぱりひどいな……。さっきまでとは段違いだ」
「そうね……」
「……通り、抜けられるかな」
一階まで下りてきた俺たち三人は、あらためて校庭の状況を見渡して深いため息を吐いていた。
来るときはまだ生存者もまばらにいたが、今はおよそ半ゾンビ以外の人影は見当たらず、生きていた人が半ゾンビになってしまったせいだろう、校庭にいる半ゾンビの数もさっきの倍ぐらいまで増えていた。
校庭の広さから、一応半ゾンビの隙間を抜けられるスペースがないわけではない。しかしそれは半ゾンビが動かなかったらの前提で、半ゾンビが動き回ってスペースがなくなったり、あるいは三人のうちの誰かが少しでもつまずいたりすればあっという間に半ゾンビに囲まれてしまいそうだ。
ましてや三人のうち燐はお世辞にも運動神経が良いとは言えず、現に今一番不安そうな顔を浮かべて校庭を見つめているのが燐だ。……ここまで来たはいいものの、果たして本当に無事にここを脱出できるのか、俄然不安になってくる。
しかし不安そうにする燐と、それを心配する俺をしり目に、このとき一番冷静になっていたのが、張田だった。張田は後ろからやけに落ち着いたトーンで「ねえ……」と呼びかけてくると、視線を校舎裏に投げかけながら言った。
「とてもじゃないけど、校庭を突っ切るのは無理でしょ。絶対どこかでミスして捕まるわ。……校舎裏を回りましょ。遠回りにはなるけど、校庭よりはマシじゃないかしら」
まるでさっきまでの狼狽した様子とは変わって、かなり肝が据わった感じだった。
一度襲われて吹っ切れた……からだろうか? その言葉にはもはや変な楽観も焦りも見られず、頼もしささえあった。
「……そうだな。校舎裏の方が道は狭いけど、こっちよりかは良さそうだ」
俺がチラリと燐を見やると、燐も「……うん」と小さく頷く。
――決まりだな。
示し合わせると、俺たち三人は今度は張田を先頭にして、校舎裏へと走り出した。
なんでもいいので、感想をもらえるとうれしいです




