壊れた世界2-13
「お兄ちゃん!」
「いいから、早く行け!」
「土禍くん、噛まれないで!」
「張田も、早く!」
燐と張田が心配してこちらに振り向き足を止めたのを声だけで制し、なおも「がああ!」と力いっぱい頭を前に出して噛みつこうしてくる半ゾンビの、その身体の方に思い切り圧力をかける。
「うらああ!」
すると半ゾンビが、
「ぐあ……あッ……!」
と苦しそうな嗚咽を漏らし、抵抗がやわらぐ。
――そう、こいつはさっき思い切り鉄柵に身体からダイブしている。あれであばらを含め、その身体が無事に済んでいるはずがない。普通なら骨の数本は折れているはずだ。半ゾンビ化して身体が丈夫になってたり再生したりする可能性もなくはなかったものの、予想が当たってほっとする。
「お兄ちゃん! もう大丈夫!」
「おう……!」
燐の呼び声に反応してバッと半ゾンビから離れ、俺も反転して階段を駆け下りていく。
「お兄ちゃん!」
「ありがとう、土禍くん……。噛まれてはいない?」
下では、二人が一度足を止めて二階の踊り場で俺を待っていた。
「ああ……大丈夫だ」
俺は二人を安心させるためにあえて明るく答える。
「お兄ちゃん……よかった」
「……噛まれては、いないみたいね」
すると燐は安心した風に、張田は俺の様子をしっかり確認するように呟いた。
……これで少しは張田の信用も回復できただろうか。――それは後から考えれば全くの当て外れだったのだが――俺はその時は軽く二人の様子を見て大丈夫そうなことだけ確認すると、すぐにまた視線を階段に戻し、三人一緒に一階までくだっていった。
そしてこの後すぐ、事件は起きる。
なんでもいいので、感想をもらえるとうれしいです




