壊れた世界2-11
「……大丈夫なの? 相当危険そうに聞こえるけど、その作戦。わかってると思うけど、一度噛みつかれたらアウトなんだからね?」
当然というべきか、張田も不安そうに尋ねてくる。
けれどここを抜けるのに他に良い案があるわけでもない。
だから俺は自分自身を誤魔化し、三割増しで自信ありげに張田に答えた。
「大丈夫だ。俺に任せろ」
それはさっきの償いという意味もあった。
少し冷静になってみれば、張田が怒るのも無理はない。俺の一瞬の躊躇いのせいで、俺ではなく自分が死にかけたんだから……。だからこそ、ここは俺がリスクを取って道を開くしかない。そう思った。
「先頭は俺が行く。短い髪の方を転ばせられたら、すぐに燐、張田の順で下に向かって走り抜けてくれ。その間一瞬だけ、俺が長い髪の方をおさえてるから」
俺が二人に向けて言うと、一瞬の間をおいて張田が聞いてきた。
「……燐ちゃんが先なの?」
俺が答える。
「そうだ。美術準備室に移る時もそうだったけど、燐が先の方がいい。張田は後ろから、燐が遅れないようにはっぱをかけてくれ」
張田が答える。
「……わかった。任せるよ」
俺が燐に視線を向ける。
「わかったか、燐? ……それじゃ、行くぞ?」
燐が頷く。
「わかった」
それから三人同時に階段の下の方に顔を向ける。
その時ちょうど『キーン、コーン、カーン、コーン』と学校のチャイムが鳴った。
時刻が六時になったのだろう。けれどもう三人の誰もそのチャイムを気に留めない。ただゆっくりと三人同時に足を踏み出し、チャイムが鳴り終わると同時に俺がギアを上げる。先頭に立ち非常階段を三階の踊り場まで駆け下りていき、後ろから燐と張田が慎重な足取りでついてくる。
なんでもいいので、感想をもらえるとうれしいです




