壊れた世界2-4
「わかった……それでいこう、土禍くん」
「燐も、それでいいか?」
「うん……私は、大丈夫」
燐も不安そうながら、なんとか同意してくれる。
それから俺たちは一旦座って、手短に俺がここまでに来る間に見た町や学校の状況、それに学校から出るまでの脱出経路を話した。
二人は事態が起きてからすぐにここに逃げ込んだのだろう。俺が町や学校の状況を話す度、何度も恐怖に顔をゆがめたが、それをフォローしてるほどの余裕は俺にもなかった。
必要なことだけ話し終えると、「よし……それじゃ、行くぞ」と俺はすぐに立ち上がった。
燐と張田も「うん、お兄ちゃん」「やるしか、ないのよね……うん」と立ち上がる。
不意に俺のすぐ後ろにいた張田が呟いた。
「それにしても、一体どうしてこんなことになっちゃったんだろうね……」
「それはきっと……」
俺は反射的にに答えようとした。
――白い髪の少女のせいだ。
しかし言いかけて、口をつぐんだ。それは俺の中でほとんど確信めいたものになっていたが、ただそれを張田に話しても理解されないだろうと途中で気付いた。
「……土禍君、なにか知っているの?」
急に押し黙った俺に張田が尋ねたが、俺は「わからない。そんなことより、今は生き延びることだけを考えよう」とお茶を濁す。そうしてすぐに顔の向きを窓に戻して頭の中でもう一度脱出経路をおさらいした。
だから気にも留めることがなかった。背後で張田が「うん、そう……だね?」とややいぶかしそうに俺の背を見ていたことなど。
外を見やる。
たった一つの窓の外には、学校から漏れ出る光だけが照らす薄暗い校庭が見渡せる。さっきまで響いていた悲鳴や叫び声は今はもうなく、窓の外は不気味なほど静かだ。
俺は校舎の前でしたように一度だけ大きく息を吸って吐くと、今度は心を落ち着かせて前を見た。
不思議と、このあまりに絶望的な状況を前にしても、それほど恐怖心は湧いてこなかった。
なんでもいいので、感想をもらえるとうれしいです




